産学官
環境省 自動車向け再生プラ市場構築のためのコンソーシアムを開催 2024.11.20
環境省は、自動車向け再生プラスチック市場構築のための産学官コンソーシアムの第1回会合を11月20日に開催した。会合には、学術研究有識者のほか、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車リサイクル機構、日本プラスチック工業連盟、プラスチック循環利用協会、全日本プラスチックリサイクル工業会、日本プラスチック有効利用組合、全国産業資源循環連合会のメンバーが参加した。
背景と目的
日本では廃プラの約6割が熱回収で、国内でリサイクルされたプラスチックの約7割が輸出されていて、再生理財の活用が進んでいない。加えて、欧州で7月に自動車の再生プラスチック最低含有率の義務化等が盛り込まれたELV(廃自動車)規制案が提案されていることなどを背景に、使用済みプラスチックの処理から、再生材製造、自動車製造までのサプライチェーンを横断する業界団体の参画を得て、課題分析と、製造業とリサイクル業の連携による取り組みの必要性や国の支援策を検討し、アクションプランを取りまとめることを目的としている。
再生プラスチック市場構築における課題
関連業界団体へのヒアリングの結果、自動車向け再生プラスチック市場構築における課題には次のようなものが挙げられた。
- 廃自動車解体段階でのプラスチック回収インセンティブの欠如
- 混合および汚れた廃プラの再生方法
- 再生プラスチックの品質・安定性向上、
- 物性保証・懸念化学物質規制に対応するための体制不足 など
目指す姿
これらの課題に対して、再生材供給側産業を静脈産業、再生材需要側産業と動脈産業と定義し、再生材原料の量の確保、再生材の質の確保、再生材市場の拡大について動静脈連携により再生材市場の構築を進めることを目指す姿としている。
今後、今年度2回ほどの会合を開催し、令和6年度内にアクションプランの取りまとめを行うとしている。
自工会の取組み
会議資料には自動車工業会(JAMA)の再生材活用促進に向けた取組み資料が添付されている。
JAMAは自主目標値として、
・2030年までに再生プラ年間約2.1万トンの供給量を倍増させる
・2035年までにサスプラ利用率15%以上
・2040年にサスプラ利用率20%以上を目指すとしている。
研究
産総研 エポキシ樹脂からビスフェノールAを回収する技術を開発 2024.11.18
産総研触媒化学融合研究センター南安規主任研究員は、エポキシ樹脂からビスフェノールAを回収する技術を開発したと発表した。エポキシ樹脂に、水酸化ナトリウムなどの塩基と、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)などの高沸点溶媒を使用し、常圧、150℃温度条件下で7時間かけることで、ビスフェノールAが回収できることを確認した。炭素繊維やガラス繊維などの複合材料にも適用可能で、繊維材料は熱劣化なく回収でき、様々なエポキシ樹脂使用材料での原料回収への道筋が示されたとしている。
適用
クラレ 環境対応型メタクリル樹脂板がクレーンゲーム機に採用 2024.11.15
クラレは、エコマーク認証取得済メタクリル樹脂板「コモグラス」REが、バンダイナムコのクレーンゲーム新機種「クレナグラン」の側板に採用されたと発表した。コモグラスREは、再生原料を使用し、製造工程でのCO2排出量を52%削減した環境対応型のメタクリル樹脂板だ。バンダイナムコは環境配慮を意識した製品開発を進めていて、製品コンセプトにマッチし、採用となったとしている。
ダイセル 酢酸セルロース樹脂3Dプリンター構造体が大阪・関西万博会場で完成 2024.11.20
ダイセルは、竹中工務店が大阪・関西万博の会場敷地内「大地の広場」で、2024年8月から3Dプリンターで建築を進めていた、ダイセルの生分解性を持つ酢酸セルロース樹脂「CAFBLO」を使用した「森になる建築」の構造体が完成したと発表した。構造材にCAFBLOを使用し、外装材は手すきの和紙など植物由来材料によって構成される。生分解性樹脂を3Dプリントして建築する構造物としては、世界最大となり2024年10月25日に「生分解性樹脂を構造材として一体造形した、世界最大の3Dプリント建築」としてギネス世界記録に認定された。
リサイクル
ロックペイント PET複合製品リサイクルで共同研究を開始 2024.11.5
ロックペイントは、山口県防府市に本社があるベルポリエステルプロダクツと共同で、PET製複合化プラスチック製品のリサイクルに関する実証実験を開始すると発表した。ロックペイントは2024年8月16日にポリエステルを含む物質の再資源化方法で特許を取得している。ロック・デュアルリサイクル技術と名付けられた特許技術は、ポリエステルを含む物質を、メタノールとトルエンの混合溶媒に触媒を添加し加熱することで、テレフタル酸誘導体やエチレングリコールを生成し、生成物と残渣物を分離することで、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを同時に進行させるというものだ。これまで市販されているPET製複合化プラスチック製品にこの技術を適用したところ、低温、短時間でPET樹脂を分子レベルに解重合ができ、印刷や異素材が除去されるのが確認された。ベルポリエステルプロダクツは、PETやポリエステル共重合樹脂を開発・製造していて、両社は再生PET原料から塗料用樹脂の合成などの実証実験を推進していくとしている。
体制
三洋化成 高吸水性樹脂製造子会社を吸収合併 2024.11.6
三洋化成は、100%子会社で高吸収性樹脂の製造販売を手掛けるSDPグローバルを2025年4月1日付けで吸収合併すると発表した。三洋化成は2024年3月にSDPを時期未定で解散すると発表していたが、すでにSDPの生産は停止していて、グループで経営効率化を考慮し、吸収合併の上、解散することにした。
三井化学 西日本でのエチレン製造設備最適生産体制の進捗について 2024.11.8
三井化学は、旭化成、三菱ケミカルと共同で検討している西日本におけるエチレン製造設備の最適生産体制について、共同事業体の設立を前提に、エチレン製造設備のグリーン化および将来の能力削減を視野に検討を進めていくと発表した。今後、基礎化学品の共同調達やインフラ整備なども項目として検討し、最適な生産体制への議論を推進していく。
積水化学 タイにCPVCコンパウンド第2工場を新設 2024.11.11
積水化学工業は、タイの連結子会社SSCTがタイ・マプタプットのヘマラートイースタン工業団地内にある工場敷地内に塩素化塩ビ樹脂(CPVC)のコンパウンドを製造する第2工場を新設すると発表した。SSCTでは、樹脂配管など成形用CPVCコンパウンド「デュラストリーム」を生産し、海外メーカーに販売を行っている。近年、インドなど各国で耐熱性樹脂配管材の需要が高まっていることから、SSCTに第2工場を新設し、コンパウンド生産能力を従来の1.6倍に増強する。
東ソー CCUでイソシアネートを製造 2024.11.14
東ソーは、山口県周南市の南陽事業所で、CO2回収および原料化設備を新設し、稼働を開始したと発表した。東ソーは、独自のCO2回収アミンを開発していて、今回のCO2回収設備に開発アミンを適用した。CO2回収設備では年間約4万トンのCO2を回収し、ナフサ代替原料としてポリウレタン原料となるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)製造原料として使用する。東ソーは、開発CO2回収アミンの設備での運用により、CO2回収性能や耐久性を確認し、更なる性能の向上および外販に向けた取り組みを行っていくとしている。
旭化成 タイでのアクリロニトリル事業撤退 2024.11.15
旭化成は、PTT Global Chemical Public Company社(PTTGC)と折半出資し設立したタイの持分法適用関連会社PTT Asahi Chemical(PTTAC)について、事業を終了し、撤退すると発表した。PTTACは2006年にプロパン法アクリロニトリル(AN)および、ACH法メチルメタクリレート(MMA)、硫安を製造・販売する会社として設立したが、2022年頃より経済環境の低迷、原料コスト上昇による競争力の低下に加え、中国での生産能力増強による需給環境の悪化で厳して業績内容となっていた。生産は10月末に終了をしていて、12月末までに販売を終了、その後、2028年をめどに工場設備の撤去を行うとしている。
ニュースウォッチ
- 三菱UFJ、オフィスでペットボトル再利用 サントリーと 2024.11.7
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