プラスチック関連動向 2024.11.8
プラスチック関連動向 2024.11.8

プラスチック関連動向 2024.11.8

製品

日本ゼオン シクロオレフィンポリマーの新グレードを上市         2024.10.28

 日本ゼオンは、シクロオレフィンポリマー(COP)ZEONEXの新グレードを2024年9月に上市したと発表した。新グレードZEONEX 360Rは、光学レンズ向けに開発したもので、低複屈折が従来品の1/3程度に抑制されているほか、耐候性、耐熱黄変性にも優れ、AR・VRグラスやヘッドアップディスプレイ、プロジェクター向けレンズ部品としての採用を見込む。

東洋紡 工業用途向け二軸延伸ポリ乳酸フィルムを開発         2024.10.28

 東洋紡は、100%植物由来のポリ乳酸樹脂による二軸延伸フィルムを開発したと発表した。透明性に優れるポリ乳酸樹脂は、耐熱性が低いことから高温化での強度や剛性がPETなどに比較して劣り、通常の製膜条件では透明性が損なわれることや、加工時の熱や応力による寸法変化や割れなどの課題があった。東洋紡は、製膜技術を開発し二軸延伸処理を施すことで、工業用途に必要な耐熱性や機械特性をクリアした。また、フィルム内部に粒子を含まない手法を採用し透明性の高いフィルムを実現したとしている。さらに、表面処理により平滑性や接着性などの特性も付与が可能だ。今後、従来の包装材向けのほか、工業用途向けの展開に注力していくとしている。

三井化学 MOCA無配合ウレタン舗装材を公式発表         2024.10.31

 三井化学は、スポーツ施設建設を行う日本体育施設と共同で、発がん物質MOCAが配合されていないウレタン舗装材「レオタンαエンボスSF」を開発し、2021年より実用化している。今回、2025年9月に開催される「わたSHIGA輝く 国スポ・障スポ2025」に同舗装材が導入されたことに合わせて、MOCA無配合ウレタン舗装材「レオタンαエンボスSF」を公式発表した。レオタンαエンボスSFは、陸上競技場や後援のジョギング走路、学校グランドなどの舗装材として使用されるローラーエンボス仕上げの舗装材だ。表面の耐摩耗性や引裂き強度に優れ、陸上スパイク利用のほか、スパイクを使用しない利用者が多い施設にも適している。

適用

三菱ケミカルGr 植物由来ポリオールが合成皮革のバック等に採用される     2024.10.28

 三菱ケミカルグループは、植物由来ポリオール「BioPTMG」が、加平の合成皮革(バイオ合皮)に採用されたと発表した。BioPTMGは2021年に開発した植物由来ポリオールで、ポリウレタン製品やポリエステル製品に対して柔軟性、耐久性、高反発性を付与することができる。92%以上のバイオマス度を有していて、温室ガス効果ガスの低減に貢献する。合成皮革メーカーの加平は、BioPTMGを使用したバイオ合皮を製造し、企画販売会社の協力を得て、ショルダーバックやウェットティッシュケースなどの小物雑貨が発売された。

三井化学 マスバランス方式バイオマスPPが大阪・関西万博の一部床材タイルに採用     2024.10.31

 三井化学は、プライムポリマー及びhide Kasuga 1896と協力して、プライムポリマー製のマスバランス方式バイオマスポリプロピレン樹脂「Prasus」とセルロースマイクロファイバーのコンパウンドによるオールバイオ複合材「TRANSWOOD with Prasus」 製の床材タイルを開発したと発表した。床材タイルは、大阪・関西万博の「EXPOナショナルデーホール」の床材として採用されることになった。三井化学は、15cm×15cmの床材タイル2万枚を物品共催する。

リサイクル

出光、サントリー 使用済みPETボトルキャップのケミカルリサイクル実証実験を実施    2024.10.24

 出光興産とサントリーHDは、使用済みPETボトルのキャップやラベルの容器・包装の再資源化に向け、キャップについてケミカルリサイクル実証実験を実施したと発表した。サントリーが提供した使用済みPETボトルのキャップを、出光興産の子会社であるケミカルリサイクル・ジャパンが油化ケミカルリサイクル技術によりケミカルリサイクル油(CR油)を生産した。今後、出光は、CR油を原料とした化学品や燃料油の生産を検討していくとしている。また、サントリーはリニューアブル化学品から製造されるプラスチック容器の実用性を確認するとともに、キャップやラベルの水平リサイクルも含めた、再資源化の可能性を探索していくとしている。

東洋紡 リサイクル原料100%による工業用フィルムを開発         2024.10.28

 東洋紡は、製造・販売したポリエステルフィルムで顧客が使用済みの工程用フィルムを有価で回収し、原料として再資源化する“Film to Film”のリサイクルスキームを構築したと発表した。また、回収した使用済みフィルムを含むリサイクル原料100%による循環型透明フィルム「レナシャイン」を開発した。“Film to Film”の資源循環型リサイクルスキームは、従来は産業廃棄物として処理されていたポリエステルフィルム「コスモシャイン」を顧客から有価で購入・回収し、回収した「コスモシャイン」を独自の方法で洗浄・ペレット化。このペレットに加えて、製造工程から出るフィルム屑などを再資源化したリサイクル原料を100%使用して「レナシャイン」を製造する。今後、このスキームを応用することで、他のフィルム製品でも水平リサイクルの更なる拡大を図るとしている。

DIC エフピコと発泡ポリスチレンをマテリアルリサイクル 2024.11.6

 DICは、三重県四日市市にある四日市工場で発泡食品トレーの原料であるポリスチレン(PS)の溶融分解リサイクル設備を11月5日に竣工したと発表した。DICは、エフピコと共同で、マテリアルリサイクルによる色柄付き食品トレーの水平リサイクルの取り組みを行う。エフピコは、全国のスーパーマーケットなどから使用済み食品トレーなどを回収し、食品トレーにリサイクルを行っているが、色柄付き発泡トレーは、リサイクルの際に再生ペレットが黒色になってしまい。再利用の用途が限定されるという課題があった。DICは、2022年に着色成分を溶解・分離させることで、透明PSに再生する溶融分離リサイクル技術(DIC法)を開発している。四日市工場に設置した設備で、年間約1万トンのリサイクルPSを供給する体制を構築し、食品トレーの水平リサイクルを進める。

体制

丸善石油 エチレン生産最適化の検討を開始    2024.10.28

 コスモエネルギーHDのグループ会社である丸善石油化学は、丸善石油のエチレン装置(第3エチレン装置)および丸善石油と住友化学の合弁会社京葉エチレンのエチレン製造装置(第4エチレン装置)の生産最適化検討を開始したと発表した。中国の大型エチレン装置の新設・増設により救急過剰および国内でのエチレン需要の減少から、日本のエチレン装置の稼働率は80%程度まで低下している。このような背景のもと、京葉地区にある第3エチレン装置と第4エチレン装置の集約を含めた能力削減の検討に着手し、エチレン製造装置の稼働率向上および基礎化学品事業の強化を図るとしている。

住友化学 千葉工場でのLDPE製造設備の一部を停止に 2024.10.29

 住友化学は、千葉県市原市にある千葉工場での低密度ポリエチレン(LDPE)製造設備の一部(2万トン/年)を2024年度内に停止すると発表した。LDPEの国内紙需要は、人口減少や少子高齢化などにより縮小傾向にあり、今後大幅な増加は見込めない。このような事業環境を踏まえ、千葉工場での生産体制の効率化を図るためLDPE生産設備の一部を停止することに決定した。住友化学は、丸善石油化学との合弁事業である京葉エチレンの最適化検討も行っていて、原料競争力の強化や固定費削減など、あらゆる選択肢を検討、実施していくとしている。

東洋エンジ ポリプラスチックス中国子会社POM樹脂工場を建設へ    2024.10.31

 東洋エンジニアリングは、中国子会社Toyo-Chinaがポリプラスチックスの中国子会社DPEから、中国・南通市のポリアセタール(POM)樹脂プラントの建設プロジェクトを受注したと発表した。Toyo-Chinaは、DPEから2022年2月に前身プロジェクトを受注していて、今回EPCを受注した。2026年の完工を予定する。プラントが完成するとDPEにとって世界最大のエンジニアリングプラスチック生産施設となる。

トクヤマ 中国での微多孔質フィルム事業を廃止へ         2024.10.31

 トクヤマは、中国での微多孔質フィルムの製造販売現地法人の上海徳山塑料について、事業廃止すると発表した。トクヤマは、2002年以来上海徳山塑料を通じて、紙おむつ用バックシートなどに用いる微多孔質フィルム事業を運営してきたが、中国での市場環境変化および競合との競争激化により、2022年度、2023年度と営業損益以下赤字となっていた。トクヤマは、事業の回復が見込めないことから事業廃止を決定した。

ニュースウォッチ

  • グンゼ、半導体製造工程向け耐熱離型フィルム開発 汎用樹脂使用 2024.10.25
  • EFポリマー、植物由来ポリマー増産 欧米に供給拡大 2024.10.29
  • DIC、PS製蓋材のリサイクル技術開発 2024.10.30
  • 王子HD、環境型包装資材を仏乳業大手に供給 プラ使用減 2024.11.4
  • 三井化学、軟包装ラミネートフィルム再資源化 2024.11.5
  • JFEケミカル、CFRP向けベンゾオキサジン樹脂の用途拡大2024.11.7
  • ロックペイント、PET再生で共同実証 独自技術で 2024.11.7

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