水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.11.2
水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.11.2

水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.11.2

政策・規制、検討会関係

経産省 GI金事業 各プロジェクト予算増原案を発表         2024.10.29

 経済産業省は、10月29日に開催された産業構造審議会でグリーンイノベーション基金事業における研究開発・社会実装プロジェクトについて、COVID19やロシア・ウクライナ、中東情勢に起因するエネルギー価格の高騰など、プロジェクト開始当時には予見が困難であった環境変化に対応するため、各プロジェクトに応じた予算の増減額案を発表した。主なプロジェクトの予算額、増加額等は以下の通り。

 航空業界でのSAF導入が迫る合成燃料関係での増加額が目立ち、具体的な研究開発項目としては、液体燃料収率の向上に係る技術開発が248億円の増額で総額794億円へ、SAF製造に係る技術開発が211億円の増額で総額510億円としている。

水素・アンモニア・LOHC関連

IHI、コスモエンジニアリング 燃料アンモニア受入・貯蔵事業で協業    2024.10.31

 IHIは、グループ会社IHIプラントとコスモエンジニアリングが、燃料アンモニア受入・払出基地のFEEDからEPCまでのプロジェクト遂行体制構築に向けて協議を行う基本合意書を締結したと発表した。日本政府は、2030年時点での国内での燃料アンモニア導入目標を300万トンとしていて、現在複数のプロジェクトがアンモニア設備のFEED・EPC実施ステージに入りつつある。IHIプラントはLNG受入・貯蔵設備の実績やJERA碧南火力発電所での燃料アンモニア転換実証試験の実績、コスモエンジニアリングは液化ガスプラントに関するEPC実績および技術的知見を持ち、両者の実績と知見を融合し、燃料アンモニア事業でのEPC遂行体制の構築を図るとしている。

合成燃料関係

JAL ピーコックストア店舗からSAF原料廃食油の回収を開始         2024.10.28

 日本航空(JAL)は、イオンマーケットが運営するピーコックストア全店舗に、家庭から出る廃食油の回収ボックスを設置し、回収を開始すると発表した。JALは、「すてる油で空を飛ぼう」プロジェクトを推進していて、店頭で参加費220円を支払うことで参加できる。ピーコックストアで回収された廃食油は、バイオディーゼル(BD)として活用されるほか、2025年に商用開始が予定されている国内SAF製造プラントが完成したのちは、SAF原料として活用される。

東京ガス eメタン由来のクリーンガス証書を発行         2024.10.28

 東京ガスは、東京ガス横浜テクノステーション メタネーション実証設備で製造したeメタンを対象に発行されたクリーンガス証書の環境価値移転に関して横浜市と合意し、山下公園通りに設置されているガス灯に活用すると発表した。横浜市と東京ガスは、メタネーション実証試験に向けた連携協定を締結し、2023年7月より三菱重工グループと共同で横浜市資源循環局鶴見工場の排ガスから分離回収したCO2をメタネーションし、eメタンを製造する実証を行っている。2024年4月には、クリーンガス証書制度に基づく認証を受け、証書を取得している。2024年10月31日の「ガスの日」から一定期間、取得したクリーンガス証書の環境価値を山下公園通りのガス灯に活用することで、ガス灯で使用する燃料をクリーンガス化する。

大阪ガス 2025年日本国際博覧会にクリーンガス証書でCN化         2024.11.1

 大阪ガスは、日本ガスが保有するクリーンガス証書を大阪ガスが取得し、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のカーボンニュートラル化に活用すると発表した。日本ガスは、鹿児島県南部清掃工場内で製造され、都市ガス原料として受け入れている生成バイオガスの環境価値をクリーンガス証書化している。大阪ガスは、2024年9月から2025年12月まで大坂・関西万博で環境価値を付与した都市ガスを供給する。大阪ガスは今後も、国内の複数のeメタン、バイオメタン製造事業者のプロジェクトからクリーンガス証書を取得し、大阪・関西万博に供給する都市ガスに適用しカーボンニュートラル化に貢献するとしている。

CCUS、DAC関連

三井物産 米国テキサス州でのCCS鉱区リース契約を締結         2024.10.29

 三井物産は、米国テキサス州コーパスクリスティ沖でのCO2回収・貯留の事業化検討を進めると発表した。現地子会社を通じて、スペインのエネルギー会社レプソル、及び米国のCCS開発事業者カーボンバートと共に、地下貯留用鉱区のリース契約をテキサス州土地管理局(GLO)と契約した。GLOはコーパスクリスティ港に隣接するポートアランサスノースとマスタングアイランドに、合計6億トン以上のCO2を貯留できると想定される約570km2以上の面積の鉱区を保有している。三井物産は、100%子会社MEP Low Carbon Solutions(MEPLCS)を通じ、レプソル、カーボンバートの各子会社と米国にMEPLCSが10%の株式を保有する合弁会社(JV)を設立し、このJVがGLOとリース契約を締結した。

IHI 北海道電力 苫東厚真発電所でのCO2分離・回収設備検討業務を受託     2024.10.31

 IHIは、北海道電力 苫東厚真発電所でのCO2の分離・回収設備の検討業務を受託したと発表した。北海道電力が石油資源開発および出光興産と共同で受託したJOGMECの「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託調査業務の中で、北海道電力が担当する検討対象の一部をIHIへ外注するものとなる。IHIは、CO2分離回収設備の大型化に関する検討及び基本計画、CAPEX/OPEXの産出、リスク・課題抽出及び対応検討を実施する。

JFEエンジ 瀬戸内エリアCCS事業でCCS液化輸送、貯蔵・出荷設備FEEDを受注       2024.11.1

 JFEエンジニアリングは、JFEスチールより「CCS液化輸送、貯蔵・出荷設備の基本設計業務」を受注したと発表した。JFEスチールがJAPEXや日揮HDなど7社と共同でJOGMEC「先進的CCS事業に係る設計作業等」に応募し委託された瀬戸内エリアでのCCS事業に係る設計作業等の業務のうち、JFEスチールが自社事業で排出するCO2分離回収、液化・出荷設備に関する検討の一部を受注した。

JFEエンジ 三菱商事よりCO2パイプラインの基本検討業務を受注       2024.10.31

 JFEエンジニアリングは、三菱商事よりマレー半島沖北部CCS事業検討で「CO2予想パイプラインに関わる蓋然性検討業務」を受注したと発表した。三菱商事など7社が、JOGMECの「先進的CCS事業に係る設計作業等」で、東京湾域の複数産業から排出されるCO2を対象とした海外CCSバリューチェーン構築FSを受託したものから、CO2輸送検討の一部を三菱商事から受注した。

運搬・貯蔵、燃焼、利用関係

東北電力 新潟火力発電所での水素混焼を実証 2024.10.30

 東北電力は、新潟火力発電所5号系列5-1号において、水素を既存のLNG燃料に体積比で8%混合し、ガスタービンで燃焼し、発電する試験を実施したと発表した。2023年1月には事業用ガスコンバインドサイクル火力発電所(GTCC)で水素混焼率1%程度を達成した。今回、既存設備で試験可能な最大量を試算し、8%程度の混焼を実施し、混焼中の出力増減操作による発電所の運転状態に与える影響についても検証した。

ニュースウォッチ

  • 夢の「人工原油」30年にも ENEOSや出光、実用化へ前進 2024.10.29
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  • 京大発ライノフラックス、2億円調達 脱炭素発電を実証 2024.10.30
  • セメント協、JIS改正へ 国内CO2排出年100万トン減 2024.10.30
  • 三井E&SDU、大型タンカーにメタノールエンジン供給 2024.11.1

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