コロナ禍や半導体不足などの影響が緩和され車の需要・生産が徐々に戻ってきたことや円安による為替影響から、各社売上収益は前期に対して増加した。一方、利益に関しては資材、物流費、燃料代高騰の影響や製品構成変更影響や合理化努力、重点投資による各社の違いから差が出た。
デンソー
売上は前期比16.1%、8,858億円の増加となる6兆4,013億円となった。各地域セグメントで伸長した。特に北米は前期比22.1%の伸びとなった。
各製品も伸長し、サーマルシステムが前期比23.6%となる3,029億円増、電動システムが19.2%、1,676億円増、モビリティエレクトロニクスが19.1%、2591億円増となった。
トヨタGrへの売上比率は50.4%であった。
利益は、合理化努力で1,800億円、為替差益で1,100億円の増加から、前期比に比べ2,700億円増の4,261億円、営業利益率6.7%となった。
アイシン
売上は前期比16.1%、8,858億円の増加となった。
地域セグメントでは北米、アジアがそれぞれ前期比39%、33%の高い伸びを示したが、為替影響を差し引くと18%、15%の増加であった。
各製品も前期比に対し増加となった。主力のパワートレイン関連は10%、走行安全関連が17%、車体関連が15%の伸びとなった。
トヨタGrへの売上比率は64.6%であった。
利益は、原材料価格の高騰等外部環境影響やカーボンニュートラル、電動化、DXといった重点投資により前期比66.5%減の737億円、営業利益率1.6%となった。
地域セグメントでは北米は前期よりマイナス幅が大きくなり325億円の赤字、日本も45億円の損失となった。
豊田自動織機
売上は、主力の産業用機械の販売台数が前期比12%増の31.7万台となり、売上も28%増となる2兆2,838億円となった。また、自動車部門も車両販売は前期比6%の減少となったものの、エンジン、カーエアコン用コンプレッサーはそれぞれ5%、8%の伸びを示し、セグメント売上は前期比20.8%増の9,578億円となった。全体としては前期比24.9%増の3兆3,798億円を計上した。
尚、ディーゼル・ガソリンエンジンのデータ不正に伴うフォークリフトの販売停止期間は2023年3月17日から3月31日までとなっていて、影響は軽微であった。
利益は、原材料の高騰影響は大きかったものの、売上増に伴う利益増、為替差益の影響が大きく、営業利益は前期比6.8%増の2,629億円となった。
CFは営業債権の増加などによる営業CFの減少、および、有形固定資産の取得、子会社株式の取得による支出の増加などによる投資CFの増加によってFCFは2,327億円のマイナスとなった。
トヨタ紡織
売上は、需要回復による増産効果、為替影響などにより、前期比12.8%増の1兆6,040億円となった。
各地域増加したが、アジア・オセアニアが31.1%増となる2,496億円、北中南米22.3%増の3,887億円などが売上増に寄与した。
利益は、サプライチェーン混乱による部品構成を変更したことや、ロシア事業撤退に伴う費用88億円などの影響から、前期比20.9%減の476億円、営業利益率3.0%となった。
ジェイテクト
売上は、車両販売回復による受注増や、円安影響などにより、前期比17.5%増の1兆6,781億円となった。
製品セグメントでは、自動車が前期比18%増1,773億円の増加、産機・軸受が13%399億円増、工作機械21%324億円増となった。
地域セグメントでは、アメリカが40%増の3,236億円、アジアが27%増2,446億円、欧州が25%増の1,940億円となったのに対し、中国は▲1.5%となった。
事業利益は、原材料、物流費、エネルギー費高騰の影響を販売増や為替差益、原価低減努力により、前期比48%減の626億円、事業利益率3.7%となった。
豊田合成
売上は、前期比14.7%1,216億円増の9,518億円となった。
円安為替影響もあり、アメリカが前期比37%増加の3,294億円、アジア23%増の2,783億円と好調だったが、日本は▲1.4%となる3,941億円だった。
製品別でも前期に比べ各製品領域の成長が見られたが、セーフティシステムが前期比27%増の3,359億円と好調だった。
トヨタGrの売上比率は65.9%であった。
利益は、製品構成価格改定等のマイナス影響179億円を合理化努力175億円でほぼ相殺し、販売増加による効果から前期比2.6%増となる350億円、営業利益率3.7%となった。
フタバ産業
売上は前期比23.8%、1,360億円の大幅増加となる7,081億円となった。
地域セグメントでは、日本が669億円(前期比22.9%増)、北米587億円(同51.6%増)が利いている。
利益では、日本31億円(前期2億円)、アジア15(9)。一方、中国26(46)、北米-7(-7)であった。
特別利益で投資有価証券売却益16億円あるが、減損損失が15億円あり、法人税調整額▲51億円となり、当期利益を押し上げている。
東海理化
客先各社販売増、特にトヨタ向けが11.8%、375億円増加となりが売上増加に寄与し、全体としては前期比13.5%増となる5,531億円となった。
製品別ではHMI(Human Machine Interface)関連が11.5%、219億円増加となる2,114億円、スマートシステム(ECU含む )が20.9%、135億円増の776億円、シフトレバーが23.6%、116億円増の608億円であった。
営業利益は、売上の増加に伴う利益増が11億円、原価改善で86億円、為替変動の影響が78億円あり、営業利益率3.0%となる166億円を計上した。
地域セグメントでは、北米、アジアの回復が利益増に寄与したが、日本は横ばいであった。営業外収益で為替差益43億円を計上したことで経常利益が240億円となっている。