コロナ禍や半導体不足などの影響が緩和され車の需要・生産が徐々に戻ってきたことや円安による為替影響によるプラス要因はあるが、北米での急激なインフレによる費用増や中国での半導体不足による生産制限およびゼロコロナ政策終了での混乱の影響を受け、業績の改善できない企業がある。
ユニプレス
売上は円安に伴う換算の影響により前期比19.6%の増加となる3,044億円となった。営業利益は前期75億円の欠損だったが今期は113億円増加し37億円(営業利益率1.2%)の黒字を計上した。2期連続の増収増益となりコロナ禍前の2019年度を超えるレベルまで回復してきた。
地域セグメントでは、日本が得意先の増産による影響などで前期比37.8%増となる売上983億円、前期54億円の損失だったのに対して今期は5億円の損失まで戻してきた。米州、欧州はは増収増益、中国はコロナ禍での生産停止影響もあり減収減益となった。
河西工業
売上は主要得意先からの受注が少し回復したことと円安影響から前期比19%増となる1,754億円となった。営業利益は特に北米でのインフレによる材料、物流、電力、人件費の上昇や新機種立ち上げ関連費用の増加により前期より26億円減の147億円の営業損失となった。
地域セグメントでは、日本の売上は受注増により前期比27%増となった。また、人員削減などコスト圧縮策により前期営業損失だったものが12億円の営業利益となった。北米は円安効果もあり売上は前期比30%増となったが、営業損失は前期より67億円増え188億円の営業損失となった。欧州は工場閉鎖や拠点解散により売り上げ減少があり売上は前期比7.3%減少した。また、営業利益は採算性の低い工場閉鎖によりセグメント損失を前期から13億円改善したが11億円の営業損失であった。アジアは売上、利益ともに2.3%の増となった。
営業CFは税引前当期純利益が117億円の損失であったこと、法人税等の支払額が36億円あったことからマイナス33億円となった。投資CFは有形固定資産売却により53億円、有価証券売却益で11億円などがあり合計では32億円の収入となった。事業で稼げない分を資産の売却で補っている構造となっている。
CCCは受取手形・売掛金が258億円、棚卸資産が206億円なのに対し、支払手形・買掛金が250億円で214億円の支払いサイクル先行となっている。銀行からの借入などもあり現預金が328億円あり手元資金で補っているが、4期連続当期純損失となっていて自己資本比率は14%まで低下している。
ヨロズ
売上は鋼材価格の上昇や円安に伴う換算の影響により前期比26.1%の増加となる1,605億円となった。営業利益は操業体制の見直しや固定費の圧縮効果により前期に比べ約10億円増加となる30億円(営業利益率1.9%)を計上した。
地域セグメントでは、日本、米州、アジア共に売上高は前期比に対して増加したものの、営業利益は日本がロイヤリティ収入の増加により前期比2.1倍と大幅増加したのに対し、米州は生産台数の減少を受けて前期比よりマイナスとなり営業損失額も増加した。アジアは前期比1.4%増にとどまった。
FCFがマイナスなのは主に売掛債権、棚卸資産の増加などの影響で営業CFが減少したためである。また、BS固定資産には建設仮勘定が前期より27億円増加となる71億円が計上されている。
パイオラックス
売上は顧客の生産減少分を円安による為替が補ったことから前期比5.9%の増加となる584億円となった。営業利益は原材料や物流費の高騰影響に対応できず前期に比べ約13億円減少となる39億円(営業利益率6.8%)を計上した。
地域セグメントでは、売上高の93%を占める自動社関連事業では円安影響で前期比6.7%増の540億円を計上した。営業利益は前期比17.0%減とな根48億円となった。医療機器事業では前期比減収減益となり売上高は44億円、営業利益は9,500万円となった。
パイオラックスは過年度より利益剰余金が積み上がり自己資本比率は90.3%となっている。
ユニバンス
売上は半導体供給不足やサプライチェーンの混乱による顧客の生産調整の影響を受けたことで円安による為替増収効果を相殺し、前期比0.9%減の486億となった。営業利益は原材料価格の高騰に対する販売価格への転嫁が遅れたこともあり前年比62.2%減の11億円にとどまった。
事業セグメントでは、ユニット事業、部品事業ともに減収減益となり、特に部品事業では新製品立上げ費用の増加に伴い1億円の営業損失となった。
自動車メーカーや自動車部品メーカーの売上が回復する中、回復が進まない状況となっている。