政策・規制、検討会関係
経産省 廃棄物・資源循環分野でのCN実現に関するGI基金事業案を提示 2023.9.12
経産省は9月12日の審議会WGで、2023年3月28日に提示したGI基金事業での「廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」に関する研究開発・社会実証計画案の修正案を提示した。日本は廃棄物の焼却等によるGHG排出量が廃棄物分野の8割を占め、CO2を大気に排出する従来型の焼却等に代わるカーボンニュートラル(CN)の研究開発が必要不可欠となっている。
計画案では2030年までに、①廃棄物に含まれる炭素の回収率を90%以上にするCO2分離回収を前提とした廃棄物焼却処理施設を実現する技術の確立、②ガス化またはオイル化による廃棄物の熱分解処理施設の大規模実証による有効性確認、③メタン発酵または低温低圧でのメタネーションによる有機廃棄物の分散型処理システムの技術確立を目標としている。
各目標に沿って研究開発項目が設定されていて、研究開発項目①は「CO2分離回収を前提とした廃棄物焼却処理技術の開発」で、187億円の予算が設定されている。同様に研究開発項目②「高効率熱分解処理施設の大規模実証」には237億円、研究開発項目③「高効率バイオメタン転換技術の開発」には21億円。総額445億円の予算が今回提示された。
経産省 CCS事業化に向けて「カーボンマネジメント小委員会」を新設 2023.9.14
経産省は、2023年3月に「CCS長期ロードマップ」をとりまとめ、6月には「先進的CCS事業」として全国で7件を採択した。CCSはカーボンニュートラルを推進するにあたって避けられない取り組みではあるが、技術やコスト、適地開発などについては課題がある。これらの課題に対処し、社会実装を進めていくため、カーボンマネジメント小委員会を設置した。委員会では、課題への取り組み方、支援、国際連携取り組みの促進、CCS事業法(仮称)の整備などについて検討を行っていく。
経産省 GI基金事業 製鉄プロセスでの水素活用PJの改定案を提示 2,564億円追加 2023.9.15
経産省は、2021年に公募採択したGI基金事業「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画の改定案を9月15日の審議会で提示した。各研究項目プロジェクトの進捗状況は順調に進展しているが、世界各地での取り組み状況などを反映し、早期にグリーンスチールの供給能力・体制を構築していくことを目的として、各プロジェクトでの目標値について規模拡大や操業・実装可能時期の前倒し、電気溶融炉の開発などの新規項目を追加し、当初の予算1,935億円に対して、2,564億円を追加している。
水素・アンモニア関連
レゾナック 岐阜大学、三菱化工機とアンモニア・水素利用に関する協働研究開発を開始 2023.9.14
レゾナックは、岐阜大学及び三菱化工機と共に、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究開発テーマ「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において、燃焼器用改質器および燃料電池用改質器ユニットの研究開発で協働していくと発表した。岐阜大学が代表研究開発機関としてATRの開発などを行い、三菱化工機が触媒反応器や燃焼器用改質器の設計・製作などを担当、レゾナックはアンモニア分解触媒の開発や量産化検討を行うとしている。
IHI 豪州でのグリーンアンモニア製造・販売事業への出資を検討 2023.9.15
IHIはオーストラリアの子会社を通じて、豪州クイーンズランド州でのグリーンアンモニア製造販売事業HyNQプロジェクトのり共同開発パートナーとして参加すると発表した。開発チームには、豪州のEnergy Estate、CS Energyおよび出光興産の現地関係会社が参加している。2024年2月までにFEEDに進み、2025年に最終出資判断を行う予定だ。
興和 インド・アダニグループとグリーンアンモニア等の販売マーケティングJVを設立 2023.9.15
興和は、シンガポールの子会社を通じてインドの財閥アダニグループのシンガポール子会社と将来インドで生産予定のグリーン水素およびアンモニアの日本向け販売及びマーケティングを行うための合弁会社を設立したと発表した。アダニは今後10年間に700億米ドルをグリーン水素事業に投資し、2027年までにリニューアブルエネルギー会社として世界をけん引することを目標にしている。
合成燃料関係
ENEOS サントリーHDと廃食油調達で協業 2023.9.12
ENEOSは、サントリーHDと国内での未活用の廃食油調達に関する協業を開始すると発表した。まずはサントリーの外食事業者ダイナック、井筒まい泉が参画し、将来的にはサントリーの酒類製品の取引先店での未活用廃食油の調達に向けて協業を行う。ENEOSは、野村事務所、吉川油脂と共に廃食油の安定調達の仕組みを構築し、2026年を目標にENEOSの和歌山製油所で製造する予定のSAF原料として廃食油を使用する予定だ。また、SAF製造時に得られるバイオナフサからペットボトルを製造し、サントリーの容器への活用も検討するとしている。
日揮 横浜赤レンガ倉庫での廃食用油をSAFに提供 2023.9.13
日揮HDは、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGY、横浜赤レンガの3社と、横浜赤レンガ倉庫の館内店舗やイベントでの使用済み食用油を、国産のSAF製造の原料として供給することに関する基本合意書を締結したと発表した。
三菱化工機 SAF向け廃食用油生成用遠心分離機を受注 2023.9.15
三菱化工機は、日揮HD、コスモ石油らが取り組む廃食用油を原料とした国産SAFの大規模生産実証設備向けに、分離板型遠心分離機「三菱ディスクセパレータ SJシリーズ」を受注したと発表した。ディスクセパレータは、懸濁液から遠心力で固形物を分離し、清澄液の回収と分離固形物の自動間欠排出が可能となっている。これまで、船舶用燃料油や潤滑油用の油の清浄機として11万台以上の納入実績がある。
CCS関連
中部電力 インドネシアでのCO2貯留に関する協力協定を締結 2023.9.11
中部電力は、bpの子会社でインドネシア・タングーLNGの権益保有者BPベラウと、インドネシア・西パプア州タングーのCO2貯留地の活用に関するFSの協力協定を締結したと発表した。中部電力は。名古屋港からの国際CCUSバリューチェーン構築に向け、タングーでの貯留の可能性調査を行うとしている。
三菱重工 オランダSBMオフショア社とFPSO向けCO2回収に関する協業契約を締結 2023.9.15
三菱重工は、浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)大手のオランダ企業SBMオフショア社とFPSO向けCO2回収モジュールの商用化に関する協業契約を締結したと発表した。CO2回収技術には三菱重工が関西電力と開発したAdvanced KM CDR Processを採用し、設備の発電用ガスタービンから排出されるCO2を回収することで従来比最大約70%の削減を見込む。
運搬・貯蔵、燃焼、利用関係
三菱重工 水素ステーション向け液体水素昇圧ポンプの長期耐久性を確認 2023.9.11
三菱重工は、FCV水素ステーション向け90MPa級の高圧液体水素昇圧ポンプの長期耐久試験が累積250時間の運転を達成したと発表した。試験では昇圧ポンプの起動・停止運転を300回繰り返し、燃料電池バス1,100台分に相当する30トンの液体水素を昇圧し、各種部品の耐久性を確認した。
川崎重工 水素ステーション向け水素圧縮機の技術開発がNEDOの助成事業に採択される 2023.9.12
川崎重工は、大規模水素ステーション向け「大容量高圧ガスブースター式水素圧縮機の技術開発」がNEDOの助成事業に採択されたと発表した。大型商用車ベースのFCV(FCHDV)への水素充填には水素ステーションの大容量化、コストダウンなどの課題があり、水素圧縮機の開発によりバスやトラックなどのFCHDVに短時間で充填できることを目的としている。
ニュースウォッチ
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