政策・規制関係
経産省 GXを見据えた資源外交の指針案を提案 2023.6.23
経済産業省は2023年6月23日に開催された資源エネルギー調査会で、従来の化石燃料から脱炭素燃料へのシフトやCCUSなどの脱炭素技術などグリーントランスフォーメーション(GX)を見据えた資源外交の指針案を提案した。今後新燃料などの取引ルールやCO2算定ルールなどの形成や標準化が重要になるとしたうえで、資源と技術を含めた日本の産業の競争力を進め、エネルギーの安定供給と経済安全保障の観点を踏まえた資源外交が必要としている。
現状の資源、新燃料、CCS等の技術、サプライチェーンの認識を確認した上で、潜在的資源量、経済性、輸出余力と安定性、資源エネルギー政策上の戦略的意義という4つの視座に立って、アメリカやUAEなど25カ国を分類し、アプローチ方法を提示している。
今後の取り組みとして、化石燃料・CCSでは化石燃料の安定供給確保や特にアジアでの脱炭素化主導により脱炭素化技術と新燃料の市場形成を提案。水素・アンモニアなどの新燃料については、早期進出とルール形成やGX技術・製品の市場獲得を施策案としている。
経産省 カーボンリサイクルロードマップ改訂版を公表 2023.6.23
経済産業省は6月23日、2021年7月に公表したカーボンリサイクル技術ロードマップの改訂版になる「カーボンリサイクルロードマップ」を公表した。改訂されたカーボンリサイクルロードマップでは、2021年版から技術面での進展を反映し、また、行程表の意義や取り組みと課題について整理を行っている。
カーボンリサイクルの意義として、CO2を可能な限り低減した上で、なお排出される残余CO2をマネジメントする脱炭素化に向けた重要な取り組みのひとつであり、2050年カーボンニュートラル社会の実現に貢献するとしている。2050年時点でのCO2の最大リサイクル量は約1億トンから2億トンと試算している。
カーボンリサイクル技術・製品では、基幹物質から化学品、燃料、鉱物について整理し、早期の技術確立、コスト低減と普及を目指し、合成燃料などの商用化を2030年代前半に前倒しするなど開発や実証を推進していく。また、2050年に向けては大気中のCO2を直接回収するDACやバイオ技術の推進についても述べられている。
そのほか、産業間連携や環境価値評価・国際展開、エコシステムの確立について項目があり、ロードマップとなっている。
JOGMEC 炭素強度ガイドライン改訂版とCO2-EORガイドライン初版を公表 2023.6.23
JOGMECは2022年5月に公表したLNG・水素・アンモニアの温室効果ガス排出量およびCarbon Intensity算出のための推奨作業指針(CIガイドライン)の改訂版と、CO2の封じ込めを目的としたCO2-EOR実施のための推奨作業指針(CO2-EORガイドライン)の初版を公表した。
CIガイドライン改訂版では、LNG・水素・アンモニアを原料生産から製造までの工程で排出されるGHGの量を算定し、CIを算出するためのガイドラインを2022年5月に策定したが、今回、LNG・アンモニアプラントで総排出量の8割程度を占めると想定される特定主要排出源については一次データの使用を推奨している。また、見ず電気分解由来の水素のGHG排出量の算定方法、および、合成燃料のひとつであるe-methaneのCIの算定方法にについて追加がされている。
CO2-EORガイドラインでは、CN社会移行期でのCO2-EORによるGHGの排出量削減の有用な手段の一つとしてJOGMECの立場を国際社会に向けて発信することを目的の一つとしている。CO2-EORを扱うISO27916規格に沿って策定されていて、CO2-EOR事業でのGHG排出削減量は、ISO算出手法による貯留量から燃料・電力消費からScope-1,2の排出量と事業協会内でのメタン漏洩・排出量を差し引いて算出するとしている。
水素・アンモニア関連
三菱商事 欧州でのグリーン水素製造拡大に向け新会社を設立 2023.6.22
三菱商事は2023年6月6日、オランダの子会社でエネルギー事業を行っているN.V. Eneco社とともに、欧州における再生可能エネルギーの開発およびグリーン水素の製造・販売を行う新会社Eneco Diamond Hydrogen B.V.を設立したと発表した。
アイシン SOECによる水素製造技術開発がNEDO事業として採択される 2023.6.21
アイシンは、九州大学、日本特殊陶業と共同で研究開発を行っている「工場/事業所の未利用低温排熱を活用したSOECによる水素製造技術開発」が、NEDOの「地域水素利活用技術開発」プロジェクトに採択されたと発表した。アイシンはこれまで培った家庭用燃料電池コジェネ「エネファームtype S」の技術を活用し、高効率なSOECの開発を行い、2025年度に自社工場・事業所での低温排熱の回収・水素製造の実証実験を行うとしている。
CCS関連
日揮HD JFEスチールとマレーシアでのCCSバリューチェーン構築を検討 2023..23
日揮HDは、石油資源開発(JAPEX)、川崎汽船と共に、マレーシア国営エネルギー会社ペトロナスと進めているマレーシアでのCCSにかかわる共同調査にJFEスチールが参画し、日本を起点とするCCSバリューチェーンの構築を目指すと発表した。
日揮グループの日揮グローバル、JAPEX、川崎汽船の3社は、マレーシア・サワラク州のペトロ菜とのLNG基地からCO2の回収や輸送、将来日本からなどマレーシア国外からのCO2の受け入れの可能性検討を推進しているが、JFEスチールが参画したことで、JFEスチールが日本国内の製鉄所で排出されるCO2を分離・回収し、マレーシアまでのCO2輸送と受け入れを含むCCSバリューチェーンの構築についての検討を行っていく。
ニュースウォッチ
- 水素にかける川崎臨海部 高炉なき後の地域振興託す 2023.6.19
- 日鉄エンジニアリング、第2世代バイオ燃料生産設備を着工 2023.6.20
- アンモニアを水素に分解、高効率の触媒開発 日本触媒 2023.6.20
- JFEスチール、グリーン鋼材受注 相次ぐ船舶向け 海運8社とコスト分担 2023.6.21
- 東京都、水素・再エネなど新エネ関連技術の開発や実証を支援 2023.6.20
- 沖縄電力、火力発電所で水素混焼発電実証 2023.6.20
- アンヴァール、海洋ガスの脱炭素技術で開発助成に採択 2023.6.21
- 日豪、大型液化水素運搬船による水素供給網構築に前進 2023.6.21
- アイシン、SOECによる水素製造技術開発がNEDO公募プロジェクトで採択 2023.6.22
- 経産省カーボンリサイクル工程表 CO2利用量50年に最大2億トン 2023.6.22
- 岩谷産業の新中計、営業益6割増へ 米で水素製造も検討 2023.6.23
- 三菱化工機、クリーンエネを強化 水素など技術結集 2023.6.23
- NXHD、国際輸送でSAF活用 独航空貨物とCO2排出削減 2023.6.23