政策・規制関係
経産省 都市ガスのカーボンニュートラル化についての中間整理案を作成 2023.6.13
経産省は6月13日、ガス事業制度検討WGの会合を開催し、都市ガスのカーボンニュートラル化(CN化)についての中間整理案を提案した。
都市ガスのCN化については、日本が2050年CN化を実現するために必要であるという認識以外に、現在化石燃料を使用している事業者によりCO2排出が少ない燃料への転換を促進し、製造業等の日本国内での生産の維持でも重要だとの認識を示している。
手段としては、合成メタン(e-methane)、バイオガス(メタン)、水素などの供給するガスの種類の変更を伴うものと、LNGにCCUSやカーボンリサイクル、またはクレジットによるオフセットなどを組合わせてCN化に資する手立てによる方法があることを示している。
先行する欧州の技術、規制・制度を参考にしながら開発・整備すべき課題を挙げ、今後、2050年に向けた都市ガス供給の全体像や安定供給・産業化の具体的イメージ、また、合成メタンやバイオメタンの導入促進、制度・仕組みについて検討を行っていくとしている。
水素・アンモニア関連
JERA 独EnBW社、VNG社とアンモニアクラッキング技術を開発へ 2023.6.12
JERAは、ドイツのエネルギー事業者EnBW社およびガス卸事業者VNG社と、ドイツ北部・ロストック港における水素製造に向けたアンモニアクラッキング技術の共同開発に向け覚書を締結したと発表した。3社はアンモニアクラッキング技術を実証するプラントの建設を検討し、将来的には商用化に向けたプラント建設を目指すとしている。
三井物産 JERAへ燃料アンモニア供給 2023.6.16
三井物産は、JERAと碧南火力発電所でのアンモニア混焼実証試験に使用する燃料アンモニアの売買契約を締結したと発表した。三井物産は年間約70万トンのアンモニアを主に化学・肥料用として需要家に供給している。長年培ったアンモニア供給力とロジスティクス機能を活かし碧南火力発電所向けにアンモニアの安定納入を行うとしている。
合成燃料関係
INPEX 世界最大級のメタネーション試験設備の建設を開始 2023.6.16
INPEXは、2021年より大阪ガスと共同で開始している都市ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO2のメタネーションシステムの実用化を目指した技術開発事業で、世界最大級となる400Nm3-CO2/hのメタネーション試験設備の建設を開始したと発表した。新潟県にあるINPEX長岡鉱場越路原プラントに接続し、CO2を用いて合成メタン(e-methane)を製造する実証実験を2025年度から実施する予定。INPEXは2017年から長岡鉱場で8Nm3-CO2/hのメタネーションによる合成メタンの製造実証試験を実施している。
千代田化工 INPEX向けメタネーション試験設備工事を受注 2023.6.16
千代田化工建設は、INPEX向け400Nm3-CO2/hメタネーション試験設備工事を受注したと発表した。現時点で世界最大級のメタネーション設備となる。
双日 分離膜利用DACで新会社を設立 2023.6.12
双日は、2022年2月に九州大学と締結した覚書を通じて調査・研究を進めてきた膜技術を利用したDAC技術m-DAC™について、2020年代後半での社会実装を目指して新会社Carbon Xtract社を設立したと発表した。m-DACは従来のCO2分離膜と比べ高いCO2透過性のあるナノ分離膜を使用し、空気中からCO2を回収する。
JOGMEC 国内CCS事業化調査 7案件の候補を選定 2023.6.13
JOGMECは、公募を行っていた令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」について、国内貯留5案件、海外貯留2案件、計7案件について候補を選定したと発表した。7案件の合計CO2貯留量は年間約1,300万トンになる。JOGMECは、国内初となるCCS事業化支援で脱炭素化の取り組みを促進するとしている。
運搬・貯蔵、燃焼、利用関係
デンソー、大成建設 CO2回収システムの共同技術検証を開始 2023.6.13
デンソーと大成建設は、横浜市にある大成建設技術センター「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」において、デンソーが開発したCO2回収システムの共同技術検証を9月より開始すると発表した。電極に電気を流してCO2を吸着し、電圧を変えてCO2を離脱させる「電界式」CO2回収システムを活用して、会議室使用時の排気からCO2を回収し、CO2濃度の低い空気を再度会議室内に吸気する。会議室が未使用の時は大気中のCO2を外気から回収し、回収したCO2は環境配慮型コンクリート「T-eConcrete」に固定するなどの実験を行うとしている。
出光 CO2を再資源化した合成炭カルの製造販売で覚書を締結 2023.6.15
出光興産株は、日本コンクリート工業(日コン)とコンクリート廃棄物を利用したCO2再資源化技術により生成される合成炭酸カルシウム(合成炭カル)の製造・販売事業に関して覚書を締結したと発表した。出光と日コンはこれまで合成炭カルの製造方法に関して基本特許の共同出願や合成炭カルを用いたアスファルト混合物の試験舗装などの協力を行ってきた。今回の覚書を基に製造能力700t/年の合成炭カル製造パイロットプラントの建設を検討し、合成炭カルの品詞評価や市場調査を行っていくとしている。
ニュースウォッチ
- 出光CFO「化石燃料の利益比率を7割以下へ」 26年3月期 2023.6.15
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- 三菱重工、マレーシアの発電最大手と提携 水素で協力 2023.6.15
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