水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.9.21
水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.9.21

水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.9.21

合成燃料関係

日本グリーン電力開発 非食ココナッツオイルからバイオマス由来SAFを製造    2024.9.18

 日本グリーン電力開発は、東京農工大学、ハイケムと共同で開発中の触媒を用いて、食用に適さないココナッツ(規格外ココナッツ)のオイルから100%バイオマス由来のニートSAFの製造に成功したと発表した。規格外ココナッツから搾油したオイルは、構成する脂肪酸の分子構造が他のSAF原料に比べて航空燃料に近いため、比較的少ないプロセスで、かつ水素消費量を抑えてニートSAFを製造できる可能性がある。今後3社は耐久性などの確認を行いながら、最適な製造フローの設計に取り組み、原料開発と触媒開発の両面で事業の実用化を目指すとしている。本事業は、NEDOの「低圧・低水素消費型多機能触媒利用の植物由来SAF実証サプライチェーンモデルの構築」に採択されている。

伊藤忠商事 成田空港にCORSIA適格燃料の供給を確立         2024.9.19

 伊藤忠商事は、フィンランドのネステ、韓国のGSカルテックスと共同で、「民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(CORSIA)」に適合する燃料(CORSIA Eligible Fuel、CEF)の商業規模での供給を、成田国際空港で開始すると発表した。2024年以降、2019年比で排出量をCORSIAに適合する方法で15%削減又はオフセットすることが要求されている。伊藤忠商事は、CORSIA要件を満たす認証スキームISCC CORSIA2を取得していて、下記図のサプライチェーンを通じて商用規模でのCEFの供給を行う。

出光興産 日本ゼオン関係社に「出光カーボンオフセットfuel」を試験導入 2024.9.19

 出光興産は、日本ゼオン、ゼオンノースと共同して、ゼオンノースの従業員の通勤用車両と社有車両に「出光カーボンオフセットfuel」の試験導入を行うと発表した。出光興産は、2023年7月より燃料油使用時に排出されるCO2をボランタリークレジットによりオフセットした燃料「出光カーボンオフセットfuel」を、主に工場などで使用する需要家向けに販売している。2024年10月1日より、日本ゼオンのグループ会社であるゼオンノースの従業員の通勤用車両及び社有車にカーボンオフセット燃料の試験的導入を開始し、月あたり25トンのCO2の相殺効果が見込んでいる。日本ゼオンは、ゼオンノースの取り組みを検証したうえで、富山県高岡市にある日本ゼオン高丘工場にの従業員通勤用車両と社有車への適用も検討する。

商船三井 合成燃料及び合成メタノールの生産を推進するHIF Globalに出資 2024.9.20

 商船三井は、米国の子会社であるMOL Clean Energy, USを通じて、北米・南米・豪州で合成燃料や合成メタノールの生産・輸送プロジェクトを開発するHIF Globalに出資を行うと発表した。商船三井は、2024年3月に出光興産、HIF Global社の子会社であるHIF USAおよびHIF Asia Pacificと、CO2の海上輸送を含む合成燃料及び合成メタノールのサプライチェーンの共同開発に関して覚書を締結している。今回HIF Global社への出資参画により、合成燃料及び合成メタノール、CO2のサプライチェーン構築をさらに推進し、エネルギー・輸送業界の脱炭素化をリードしていくとしている。

CCUS、DAC関連

三菱重工 イタリアCCSプロジェクトでCO2回収プラントが稼働開始    2024.9.18

 三菱重工業は、イタリアのラヴェンナ県・カサルボルセッティにある天然ガス供給設備の燃焼排ガスからCO2を回収し、貯留するCCSプロジェクト「ラヴェンナCCS」で、三菱重工が供与したCO2回収技術「KM CDR Process」が稼働を開始したと発表した。ターボコンプレッサ駆動用天然ガスタービンの排ガスからCO2を回収するが、排ガス中のCO2濃度は3%未満で低圧にもかかわらず最大96%のCO2を回収する。三菱重工は、イタリアのエンジニアリング会社マイレ社傘下のネクストケム社を通じ、CO2回収技術ライセンスの供与、及び基本設計パッケージを提供した。

JX石油開発 米国DACに参画 2024.9.18

 JX石油開発は、米国での関連会社JX Nippon Oil Exploration(NOEX USA)を通じ、米国8 Rivers Capitalの子会社であるCalcite Carbon Removal(CCR)が米国で推進するDACプロジェクトに参画すると発表した。JX石油開発、NOEX USA、8 Riversは、2021年11月に提携した包括連携契約、及び2022年11月に米国メキシコ湾岸での共同事業開発に関する覚書を締結している。CCRは、石灰石を利用したDAC技術「Calcite」の研究開発を推進していて、米国アラバマ州にパイロット試験設備を設置し、年間5万トン規模のCO2を回収するDAC事業の実現を目指している。JX石油開発は、8 Revers及びCCRと連携してDACの実用化、商用化に取り組んでいくとしている。

三菱重工 小型CO2回収装置「CO2MPACT」シリーズのラインアップを刷新   2024.9.19

 三菱重工は、小型CO2回収装置「CO2MPACT」の中型クラスとして、ニューモデルを投入しシリーズのラインアップを刷新した。刷新によりCO2MPACTは0.3トン/日の「CO2MPACTモバイル」と1トン/日以上の「CO2MPACTフルモジュール」のラインアップとなる。ニューモデルとなる「CO2MPACTフルモジュール」は、1日あたり1トンから200トンのレンジでCO2回収量設定を提案することができる。コンテナサイズのモジュール化とプレファブ化率を90%以上に拡大したことで、設置先での現場工事作業が大幅に低減されるとしている。

石油資源開発 東新潟地区でのCCS事業がJOGMECから設計作業等を受託   2024.9.19

 石油資源開発(JAPEX)は、三菱ガス化学、東北電力、北越コーポレーションと共同で提案した東新潟地域でのCCS事業が、JOGMECの「先進的CCS事業に係る設計作業等」において、受託契約を締結したと発表した。4者はこれまで新潟県の東新潟地域で、2030年までにCCS事業の開始を目指し事業性調査を行ってきた。今回のCCS事業に係る設計作業等では、「CCSバリューチェーンにおける設計作業」、「CO2貯留予定地の貯留ポテンシャル評価作業」を実施し、CO2。の分離回収、輸送、貯留のバリューチェーン全体での検討を推進するとしている。

運搬・貯蔵、燃焼、利用関係

JX石油開発 常温昇圧方式のCO2液化・貯蔵プロセスの実証実験を実施        2024.9.13

 JX石油開発は、日本郵船及び日本郵船の関連会社であるKnutsen NYK Carbon Carriers(KNCC)と共同で、KNCC社の独自技術である「LCO2-EP Cargo Tank」を活用したCO2の液化・貯蔵プロセスの最適化検討実証実験を実施したと発表した。3社は、従来の液化状態・方式に比べ液化効率が同等以上で、最大2割のエネルギー削減がみこまれる常温昇圧(EP)方式を活用したCO2液化プロセスを考案している。プロセスでは、回収したCO2を減圧し、生じる温度低下で液化CO2を形成する(ジュール・トムソン方式)により、CO2を液化する。今回のKNCC社がノルウェーに設置した施設でCO2を液化し、LCO2-EP Cargo Tankへ移送することに成功した。今後、3社はプロセスの実装・普及に向けて連携していくとしている。

三菱造船など 低圧液化CO2輸送船の基本設計承認(AiP)を船級協会から取得 2024.9.18

 三菱造船など8社は、低圧仕様の液化CO2輸送船(LCO2輸送船)の2船型について、アメリカ船級協会(ABS)および日本海事協会(NK)から基本設計承認(Approval in Principle : AiP)を取得したと発表した。日本国内で回収したCO2を貯留地に向けて輸送するCCSプロジェクトの増加により、今後海上輸送の手段としてLCO2輸送船の需要拡大が見込まれる。AiPを取得したLCO2輸送船は、低圧仕様の5万m3級および2万3,000m3級の2船型で、貨物タンク鋼材の選定や溶接後熱処理の省略プロセスなどを含む。プロジェクト参画メンバーは、三菱造船のほか、川崎汽船、商船三井、日本シップヤード、日本郵船、三井物産、三菱商事。

三菱ガス化学 横浜港でメタノールバンカリングシミュレーションを実施 2024.9.18

 三菱ガス化学は、横浜市、マークスAS、国華産業、出光興産、上野トランステック、横浜川崎港湾と共に、横浜港でのマークスASが運行するメタノール燃料コンテナ船と国華産業が保有するメタノール輸送内航船との間で、「メタノールバンカリングシミュレーション」を実施したと発表した。三菱ガス化学は、2023年12月に横浜市、マースクASと、浜港におけるグリーンメタノール利用促進に向けての覚書を締結している。今回のメタノールバンカリングシミュレーションは、関連する新参画者も含め、Ship-to-Shipでの安全な燃料補油を実現するための取り組みの一つとして行った。今後、6社は今回のシミュレーション結果を活かし、関係官庁とも連携しながら、日本でのメタノールバンカリングの実装に向けた取り組みを進めていくとしている。

住友商事 米国でアンモニアバンカリング船の基本設計承認を取得       2024.9.19

 住友商事は、American Bureau of Shipping(ABS)、Fleet Management Limited、住友商事、TOTE Servicesと共同で、ABSより米国初となるアンモニアバンカリング船(AB-ATB)の基本設計承認(AiP)を取得したと発表した。住友商事など7社で構成される、米国東海岸における船舶向け燃料アンモニア供給の実現可能性調査を行うRADIUSコンソーシアムの協力で実現した。AB-ATBは、ノルウェーの海運会社Höegh Autolinersが運航する最新鋭の自動車・トラック専用運搬船、およびMMMCZCSが設計開発した15,000 TEUのアンモニア焚きコンテナ船に整合するよう設計されていて、米国東海岸のジャクソンビル港、ブランズウィック港、サバンナ港などでのバンカリングを想定しているとしている。

川崎重工 CB&Iと液化水素サプライチェーンで協力         2024.9.20

 川崎重工は、米国のCB&I STORAGE TANK SOLUTIONS(CB&I)と、商用液化水素サプライチェーンの推進に向けた戦略的協定書を締結したと発表した。CB&Iは液体水素貯蔵に関する技術と実績がある。協定に基づき両社は液化水素活用のインフラ・ソリューションを提供していくとしている。

大陽日酸 CCS用CO2出荷タンク設備を開発  2024.9.20

 大陽日酸は、CCS用出荷タンク設備を開発したと発表した。真空断熱2重貯槽方式の縦型円筒形タンクを複数ユニット化し、CO2船向けに低温低圧の仕様に対応している。球形タンクのような現地での製作、溶接作業は不要で設置工期の大幅短縮、省人化が可能としている。2025年春の発売開始を予定する。

ニュースウォッチ

  • 横浜みなとみらい地区、熱エネルギーの脱炭素拡大へ 2024.9.19
  • 住友大阪セメント、CO2排出58%減の舗装 人工石灰石で 2024.9.18
  • 商船三井、アンモニアの船舶間移送に成功 2024.9.19
  • ENEOS、SAF利用でCO2削減 生じる「環境価値」販売 2024.9.19
  • SAF原材料の大規模栽培へ、日豪の産学官連携 投資規模1千億円も 2024.9.20
  • 飼料用菜種ミール膨らむ在庫 バイオ燃料ブーム余波で 2024.9.18
  • 大林組出資のNZ社、豪で液化水素製造 2024.9.20
  • アンモニア発電、韓国が先行へ 丸紅「燃料の供給検討」 2024.9.20
  • 丸紅、石炭火力2基分のCO2を地中に 北米でGX事業 2024.9.20

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