水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.8.24
水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.8.24

水素、合成燃料、CCUS関連動向      2024.8.24

研究

四国電力 発電菌を利用した「微生物燃料電池」の実証試験を実施        2024.8.23

 四国電力は、東京農工大学大学院工学研究院のグループ及びRING-e、伊方サービスと共同で、9月より愛媛県内のみかん園地で微生物燃料電池に関する実証試験を開始すると発表した。植物が光合成により作り出す栄養を吸収し、分解する際に電子を放出する土壌微生物「発電菌」を用いて発電する。東京農工大発のスタートアップRING-eが微生物燃料電池の製作を行う。2025年3月まで実証試験を行い、農地での発電状況を確認する。

水素・アンモニア・LOHC関連

JERA 米国Power to Hydrogen社に出資         2024.8.21

 JERAは、米国オハイオ州に拠点があるアニオン交換膜型水電解装置(AEM)を開発・製造するPower to Hydrogen(PtH)社にCVCを通じて約200万ドルを出資したと発表した。PtH社の水電解装置は、太陽光発電など発電量が変化する再生可能エネルギーにも対応が可能で、低コストで水素を製造できる。

東洋エンジ インドネシア・アチェでのグリーンアンモニア事業で共同開発        2024.8.22

 東洋エンジニアリングは、インドネシアの肥料公社ププック(PIHC)及び伊藤忠商事と共に、PHIC傘下のPIM社保有の既設アンモニアプラントに水電解装置を併設し、グリーンアンモニアを製造する事業の共同開発契約書(JDA)を締結したと発表した。東洋エンジニアリングは、2000年代にPIM社のアンモニア製造プラントを設計・建設している。2024年8月よりFEEDを実施、2024年内に3社は合弁会社を設立、2025年前半の最終投資決定、2027年頃の生産開始を目指す。製造したグリーンアンモニアは、伊藤忠商事が船舶燃料として調達しバリューチェーンの構築を行う。

JERA ロッテケミカルと水素・アンモニア等バリューチェーン構築に向けた合意書を締結        2024.8.23

 JERAは、韓国のロッテ・ファイン・ケミカル社(LFC)と、水素・アンモニア等のバリューチェーン構築に向けた協力に関する合意書を締結したと発表した。合意書を基に両社は、水素・アンモニア等の商用取引に向けた市場の標準化、ポートフォリオの最適化、事業環境整備・標準化に向けた日韓政府との協議を行っていくとしている。

合成燃料関係

ENEOS SAF活用で東京都の事業化促進支援事業に採択される       2024.8.19

 ENEOSは、東京都が公募した「バイオ年利用活用における事業化促進支援事業」に、羽田空港でのSAF供給・活用企画が採択されたと発表した。ENEOSは、東京都の支援を活用し、全日空などにSAFを供給を予定する。また、旅行代理店と共同で教育機関へのSAF学習プログラムや修学旅行の提供などのSAF啓発活動を行っていくとしている。

東京ガス 豪州でのeメタン製造・輸出に向けたPre-FEEDを開始    2024.8.21

 東京ガスは、豪州のエネルギー企業サントスの子会社であるサントス・ベンチャーズ及び大阪ガスの子会社の大阪ガスオーストラリア、東邦ガスと共に、豪州中東部のクーパーベイスン・ムーンバでのeメタンの製造と日本への輸出プロジェクトに関する覚書を締結したと発表した。2023年11月より東京ガスとサントス社で進めてきたFSの結果を踏まえ、2025年3月までの期間で技術、制度、商務に関する検討を実施し、2030年以降に都市ガス約1億8,000万m3に当たる年間約13万トン以上のeメタンを製造、日本に輸出することを目指す。

豊田通商 セイコーマート廃食油を使用したバイオディーゼル燃料の通年運用を開始    2024.8.22

 豊田通商は、日本航空、セコマ、千歳空港モーターサービス(CAMS)と共同で、新千歳空港に配備されているトーイングトラクター及びフォークリフトに通年でバイオディーゼル燃料(BDF)を使用すると発表した。セイコーマートの店内調理「HOT CHEF」で発生する廃食油を、セコマのグループ会社白老油脂でBDFに精製し、豊田通商が配送・供給し、CAMSのJAL作業車両に給油を行う。これまでの実証試験では厳冬期にBDFが燃料タンク内で凍結したことから、BDFと軽油の混合や、燃料タンクに温風装置を設置することで、通年での運用が可能となった。年間約54トンのCO2排出量を削減できる見込みとしている。

CCUS、DAC関連

出光 CO2固定化炭カルの土木建設材料適用試験が滋賀県補助金事業として採択される        2024.8.20

 出光興産は、灰孝小野田レミコンおよび日本コンクリート工業と共同で実施する「コンクリートスラッジを利用し排ガス中の CO₂を固定化した合成炭酸カルシウムの土木建設材料への適用試験」が滋賀県の補助金事業に採択されたと発表した。出光と日コンは、産業廃棄物に含まれるカルシウムとボイラー等の排ガス中のCO2を反応させて合成炭カルを製造する技術開発と事業化に向けた取り組みを行っている。補助金事業では、合成炭カルの社会実装に向け、コンクリートへの適用、生コンでのハンドリング性、地盤改良材としての適用などの試験を行う予定だ。3者は、2026年度の合成炭カルを利用したコンクリートや地盤改良材の社会実装を目指すとしている。

中部電力 bpとCCSハブ&クラスター構築で協力協定を締結         2024.8.21

 中部電力は、bpの子会社でインドネシア・タングーLNGの操業を行う代表権益保有者であるBPベラウ社と、名古屋港からインドネシア・西パプア州タングーまでのCCSバリューチェーンの構築のための国際的CCSハブ&クラスターの構築に向けた協力協定を締結したと発表した。中部電力は、2023年9月にbpベラウと協力協定を結び、タングーCO2貯留地の活用に関するFSを行ってきた。FSが2024年3月に完了したことを受け、協定を更新した。両社は、協定に基づき、商業的なCCSプロジェクトの実現のため、陸上インフラ設備や輸送設備をはじめとするバリューチェーン全体のコスト最適化や法制度の課題整理、ビジネスモデルの検討等に取り組んでいくとしている。

JOGMEC インドネシア・スコワティ油田でのCO2圧入試験を実施へ 2024.8.22

 JOGMECは、インドネシア国営石油会社プルタミナ、及びプルタミナEP(PEP)、石油資源開発(JAPEX)との間で、インドネシア・ジャワ州・スコワティ油田での坑井間のCO2圧入試験を実施することを合意したと発表した。4者は、2023年7月よりスコワティ油田でのCO2-EORの商業化を目指し、約500トンのCO2を地下に圧入し、CO2-EOR及びCO2地中貯留効果を調査する小規模なCO2圧入試験を行ってきた。4者は調査結果を受け、スコワティ油田でのCO2圧入井と生産井の複数抗井を用いた大規模なCO2圧入試験の実施を計画する。JOGMECは、試験で得られるデータを活用し、CCUS技術のひとつであるCO2-EORの東南アジアでの初となる商業化を目指すとしている。

東芝ESS インドネシア電力公社GrとCO2分離回収技術の適用に向けた覚書を締結    2024.8.22

 東芝エネルギーシステムズは、インドネシア電力公社のグループ会社PLN-Nusantara Power(PLN)と、東芝ESSのCO2分離回収技術(CSS)をPLNが所有するインドネシアの火力発電所に適用するための覚書を締結したと発表した。覚書に基づき、東芝ESSはタービンや発電機などを納入したPLNのパイトン石炭火力発電所1,2号機などの発電設備でのCCS設備の導入に向けた検討を進める。

運搬・貯蔵、燃焼、利用関係

双日 日本郵船とグリーンアンモニアの海上輸送について基本合意       2024.8.21

 双日は、九州電力、シンガポールに本拠のあるエネルギー会社セムコープの子会社セムコープ・グリーンハイドロジェンと、インドでの日本向けグリーンアンモニア製造プロジェクトでの、海上輸送について日本郵船と協業することに基本合意したと発表した。2024年6月、双日はセムコープ、九州電力と、2020年代後半から年間20万トンのグリーンアンモニアを生産し、九州地方を中心とした需要家に供給することで基本合意している。

IHI アンモニア燃料タグボート「魁」が竣工      2024.8.23

 IHIは、グループ会社のIHI原動機及び日本郵船が、日本海事協会の協力のもと技術開発を行っていたアンモニア燃料タグボート「魁」が竣工したと発表した。「魁」はLNG燃料船として2015年に竣工、2023年10月よりLNG燃料船からアンモニア燃料船への改良工事を行っていた。今後は日本郵船グループの新日本海洋社により東京湾での曳舟業務を行いながら3か月間の実証航海を行う。

ニュースウォッチ

  • 出光興産が100億円のCVC アンモニアや水素関連に出資 2024.8.19
  • 北海道電力、石炭火力にバイオマス混焼 11月にも実証 2024.8.19
  • 北ガスや商船三井、北海道浜中町でバイオメタン製造検討 2024.8.19
  • 石炭ガス化発電にCCSの光明 Jパワー、実用化へ苦節7年 2024.8.20
  • 三菱重工とシェブロン、25年に米で水素生産・貯蔵事業 2024.8.20
  • 川崎汽船、欧州でCCS武者修行 「液化CO2輸送で一番に」 2024.8.21
  • 日本郵船、25年に初のメタノール貨物船 CO2を7割削減 2024.8.21
  • 伊藤忠や関電、CO2地下貯留へ海上輸送 適地不足を克服 2024.8.22
  • 日揮・経産省など、CO2輸送に共通仕様 協議会設立 2024.8.22
  • Jオイル、非可食植物でSAF 「食用油の収益安定に寄与」 2024.8.23
  • 日本郵船社長「北海道でアンモニアや水素輸送の知見蓄積」 2024.8.23

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