水素・アンモニア・LOHC関連
出光興産など 常温・常圧アンモニア電解合成で世界最高性能を達成 2024.7.4
出光興産は、東京大学、大阪大学、産総研と共同で研究開発を行っている、モリブデン触媒を使用した常温・常圧でのアンモニア連続電解合成で、アンモニア生成速度が従来技術より約20倍向上した世界最高性能を達成したと発表した。
研究開発は、2019年にNatureに発表された東京大学大学院工学系研究科の西林仁昭教授らが開発したモリブデン触媒を応用している。西林教授らが開発した常温・常圧アンモニア合成法は、水に二ヨウ化サマリウム(SmI2)還元剤を加えることで水のO-H結合を弱めた上で、窒素を加え、モリブデン錯体触媒下で過電圧をかけてアンモニアを合成する。
常温・常圧下グリーンアンモニア製造技術開発は、出光興産を主幹事としてNEDO GI基金事業に採択されていて、東京大学がモリブデン触媒の改良、大阪大学が還元剤の開発、産総研と出光興産が電解合成反応場の最適化を担当している。
合成燃料関係
東京ガス e-メタン製造設備に「クリーンガス製造設備」認定を取得 2024.7.1
東京ガスは、2022年3月より運転している「東京ガス横浜テクノステーション メタネーション実証設備」について、クリーンガス証書制度における「クリーンガス製造設備」の認定を取得したと発表した。東京ガスは、三菱重工グループと共同で横浜市資源循環局鶴見工場の排ガスから分離・回収したCO2と、水電解装置で製造する水素を原料としてe-メタンを製造する。今後、横浜市下水道河川局北部下水道センターで発生する消化ガスと再生水を活用したe-メタン製造も予定しているとしている。
CCUS、DAC関連
日揮HD タイ・セメント工場排ガスを利用したCCUプロジェクトPre-FS受注 2024.7.2
日揮HDは、グルーブ企業で海外EPC事業を行う日揮グローバルが、タイのセメント大手サイアム・セメント・グループ(SCG)から、セメント工場排ガスからのCO2分離回収・利用(CCU)設備に係るPre-FS役務を受注したと発表した。Pre-FS役務では、SCGが所有するセメント工場から排出されたCO2を大気放出前に回収し、新たなケミカル製品に転換するCCU設備の建設に向けて、CCU技術のライセンサー検討、CO2回収設備やケミカルプラントの必要生産能力、および経済性などの検討を行うとしている。
住友商事 エクイノールと油井管の長期供給契約を更新 2024.7.3
住友商事は、日本製鉄から調達する油井管を、ノルウェーのエネルギー企業Equinor ASA社(エクイノール)に最長9年間長期販売する供給契約を更新したと発表した。油井管は、石油・ガス開発、CCSなどに使用される。エクイノールは、天然ガス事業のほか、CCS事業にも注力している。
千代田化工など CO2由来ポリエステル繊維サプライチェーンを構築 2024.7.4
千代田化工は、ゴールドウィン、三菱商事、Neste、SK Geo Centric(SKGC)、Indorama Ventures(IV)、India Glycols(IGL)と共同で、リニューアブル原料、バイオ原料、及びCCUを活用したポリエステル製造サプライチェーン構築を行ったと発表した。CCUでは、ポリエステル製造のための原料として、CO2を原料としたパラキシレンを一部使用している。この技術開発はNEDOの委託事業として、千代田化工、富山大学、ハイケム、日鉄エンジニアリングなどが参画していて、千代田化工の子安リサーチパーク内に設置したパイロットプラントで製造されたCO2由来のパラキシレンを一部供給している。
運搬・貯蔵、燃焼、利用関係
大阪ガス ガスエンジン・コジェネでの水素混焼実証運転に成功 2024.7.5
大阪ガスは、子会社のDaigasエナジーが、ヤンマーエネルギーシステム(ヤンマーES)と共同で、ヤンマーES製の都市ガス仕様コージェネレーションシステムで、都市ガスに水素燃料を30%混焼する実証運転試験に成功したと発表した。既設コージェネレーションシステムをほとんど変更することなしに水素燃料を30%混焼しても都市ガスのみでの運転と同等の定格発電出力、発電効率で運転できることを確認したとしている。
出資
東京ガス 触媒探索技術開発米国スタートアップに出資 2024.7.1
東京ガスは、100%出資子会社アカリオ・インベストメント・ワン社を通じ、触媒探索技術を開発する米スタートアップ企業H2Uテクノロジーズ社に出資し、協業に向けた基本合意書を締結したと発表した。PEM形水電解装置の電極にはイリジウムが使用されていて、代替低コスト触媒の開発が急務となっている。東京ガスはH2U社と2023年2月より非イリジウム触媒の共同開発を行っていて、出資を通じて非イリジウム触媒の水電解装置への実装を加速させるとしている。
川崎重工 GX推進機構に出資 2024.7.2
川崎重工は、脱炭素成長型経済構造移行推進機構(GX推進機構)に出資したと発表した。GX推進機構は、今後10年間で150兆円超のGX投資実現のため、債務保証等の金融支援、排出量取引制度の運営、化石燃料賦課金等の徴収等の業務を行う。川崎重工は、機構への出資を通じて、脱炭素社会の実現に貢献していくとしている。
ニュースウォッチ
- 熱供給事業協会、熱の脱炭素化で工程表 AI・水素など活用 2024.7.1
- トヨタやJERA、中部で水素供給網 貯蔵・製造拠点整備 2024.7.1
- 日特陶と三菱UFJ銀、水素・炭素循環でピッチ 新興への支援加速 2024.7.4
- 三菱ガス化学、脱炭素へ連携 メタノール構想始動 2024.7.4
- 日本海事協会と3社、代替燃料供給船で提携 2024.7.4
- 日東電工、宮城に初の水素燃料活用の生産棟 10億円投資 2024.7.5