水素・アンモニア・LOHC関連
千代田化工ら 水素キャリアとしてLHOCなどを含めることに関する声明文を公表 2024.7.18
千代田化工は、液体有機水素キャリア(LOHC)などの水素キャリア技術が、各国及び国際的な公的資金枠組みから除外されないように、その重要性を強調するポジションペーパー(声明文)を発表した。
欧州のH2Globalや欧州水素バンクなどは、水素キャリアとしてアンモニアやメタノールを水素キャリア対象とした資金入札制度を構築していて、LOHCやLIHC(液体無機水素キャリア)、SHC(固定水素キャリア)を除外している。声明文では、アンモニアやメタノールなどの水素誘導体を水素キャリア入札対象として選定することは、水素の輸入と関連インフラの促進を遅らせることになり、技術的中立の立場で水素購入者が水素キャリアを選定することで、イノベーションと競争を同時に促進し、欧州の水素購入者にタイムリーに水素を提供することができる、と主張している。
協賛企業として以下の企業が参画している:Axens、Electriq、ENEOS、EVOS、HSL、Honeywell UOP、Hydrogenious、三菱商事、Vopak
合成燃料関係
三菱商事 NESTE社と戦略的パートナーシップを締結 2024.7.16
三菱商事は、フィンランドの再生可能燃料製造業者NESTE Corporationと、リニューアブルな化学品およびプラスチックのサプライチェーン構築支援に関する戦略的パートナーシップを締結したと発表した。NESTEは、使用済み食用油などバスオマス資源由来のNESTE REを活用してリニューアブルナフサを提供している。両社は、すでにサントリーHDとペットボトルで、ゴールドウィンとポリエステル繊維で、リニューアブルプラスチックのサプライチェーン構築を実施してきたが、今後も日本の食料・飲料、アパレル、家電などのブランドオーナー向けに、製品中の化学品やプラスチックの化石資源の依存の低減と温室効果ガスの排出削減を実現する包括的なソリューションを提供していくとしている。
双日 Keppel社と戦略的提携に向けた覚書を締結 2024.7.18
双日は、シンガポールに本社を置く資産運用会社Keppel(ケッペル)社と、省エネルギーソリューションおよびバイオ燃料などに関して戦略的提携に向けた覚書を締結したと発表した。ケッペル社は、世界20カ国以上で、再生可能エネルギー、クリーンエネルギー、脱炭素化などのインフラとサービスを提供している。両社は今後、地域冷房事業などの省エネ事業分野と、SAFやバイオエタノール製造などのバイオ燃料分野で協業を検討するとしている。
東洋エンジ インドNTPC社とインドでのe-メタノール製造・事業性共同検討 2024.7.19
東洋エンジニアリングは、インドの国営電力公社NTPC社がインド南部で計画している、グリーン水素とバイオマス由来のCO2を活用したe-メタノール製造、および日本への輸出、船舶燃料としての供給、また低炭素合成燃料の原料として活用するためのバリューチェーン構想事業の可能性調査を行うと発表した。e-メタノール製造に関しては東洋エンジニアリングが保有する環境循環型メタノール製造技術g-Methanolを適用する。調査期間は1年間で、経済産業省の補助金の採択を受けている。
日立造船 下水汚泥ガス化に関するフィールド試験を実施へ 2024.7.19
日立造船は、産総研グループと共同で、鹿児島県鹿児島市の下水処理場である南部処理場で、下水汚泥ガス化技術に関するフィールド試験を実施すると発表した。日立造船と産総研グループは、2020年3月から共同で、下水汚泥を消化処理することなく直接ガス化し、水素などを主成分とする燃料ガスに転換する研究を行ってきた。これまで、配管に副生タールが付着し閉塞する課題があったが、独自の循環流動床装置を開発することにより、課題解決技術の確立を行ってきた。2024年10月から鹿児島市の南部処理場で、1日あたり2トン規模のパイロットプラントを設置し、2026年3月まで得られた燃料ガスを電力に利用することを目的として、ガスエンジンによる発電プロセスの検証フィールド試験を実施する。日立造船は、この下水汚泥ガス化発電システムが実用化できれば、消化汚泥処理が不要になり、汚泥由来の燃料ガスにより発電し、電力を下水処理場に自給することで下水処理のグリーン化が可能になるとしている。
丸紅 デンマークのバイオ炭生成技術開発企業に出資 2024.7.19
丸紅は、下水処理の過程で発生する下水汚泥などの湿潤バイオマスを乾燥・熱分解しバイオ炭を生成する技術を有するデンマークAquaGreen社に出資参画すると発表した。従来、下水汚泥の乾燥・熱分解は、汚泥の含水率が高く、熱量も低いことから補助燃料が必要であり経済性が見合わなかった。AquaGreen社は、下水汚泥の熱量のみで乾燥・熱分解を可能とする技術の開発・商用化に成功している。丸紅は、AquaGreen社への出資参画により、日本、アジア、オセアニアへの販売促進を支援していくとしている。
運搬・貯蔵、燃焼、利用関係
JERA アンモニア燃料をTruck to Ship方式で船舶へ供給 2024.7.17
JERAは、日本郵船が保有する2024年8月下旬に竣工予定のアンモニア燃料タグボート(A-Tug)に、世界初となるTruck to Ship方式での燃料アンモニアの供給を実施したと発表した。供給したアンモニアは、レゾナックが川崎事業所で使用済みプラスチックを原料の一部として製造しているアンモニア「ECOANN」を使用している。A-Tug竣工後は、用船者である新日本海洋社が燃料アンモニア供給を実施する。
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