研究
京都大学 水素・アンモニア発電の脱炭素社会への貢献は限定的 2024.3.4
京都大学は、工学研究科都市環境工学専攻大城賢助教と藤森真一郎教授が、総合評価シミュレーションモデルを用いた分析により、2050年までのCO2排出量、エネルギー需給などを推計した結果、混焼を含む水素・アンモニア発電の脱炭素社会への貢献は限定的であることを解明したと発表した。
シミュレーション結果では、パリ条約の目標である気候変動による温度上昇を1.5℃以下に抑えた場合、水素価格が低下した条件でも、水素・アンモニア発電が世界の発電量に占める割合は最大で1%程度に留まる結果となった。水素・アンモニア混焼率が高くなると、石炭・ガスへの炭素税に伴うCO2排出費用は低下する一方、水素・アンモニア調達にかかる燃料費が増加し、費用面ではメリットが少ないことが要因として挙げられる。発電部門での水素・アンモニア利用は限定的であるという結果になった一方、航空・輸送燃料としての水素・アンモニア利用は比較的進みやすいとの結果となったとしている。
合成燃料関係
大阪ガス 中期経営計画で再エネ、e-メタンに1,000億円投資 2024.3.7
大阪ガスは、3月7日次期中期経営計画2026を発表した。2030年の目標として、e-メタンの導入1%実現やCO2排出量削減貢献量1,000万トン、再エネ普及貢献量500万kWを掲げる。特にe-メタンは技術開発やサプライチェーン構築を加速させるとして、現在開発してしている革新的SOECメタネーション技術のGI基金事業の第2フェーズ移行やサバティエメタネーション実証、バイオメタネーション実証でのFID(最終投資決定)を2026年度までに行うとしている。中期計画でのCN領域への投資は約1,000億円となる。
CCUS、DAC関連
JAPEX カナダ アルバータ州でCCSなどを検討へ 2024.3.4
石油資源開発(JAPEX)は、カナダ・アルバータ州政府の投資誘致機関であるインベスト・アルバータ社(IAC)とカーボンニュートラル分野での事業創出を目的とした覚書を締結したと発表した。アルバータ州でのCCS/CCUS、BECCS、ブルー水素・アンモニア事業について検討を進めるとしている。
アサヒ飲料 西松建設とカーボンネガティブコンクリートを開発 2024.3.6
アサヒ飲料は、西松建設と共同して、「CO2を食べる自販機」で回収したCO2を活用したカーボンネガティブコンクリートを開発したと発表した。自販機で回収したCO2を吸収した特殊材をコンクリート1m3あたり約200kg以上混和させ、特殊材をコンクリートに固定化させる。また、コンクリート原料であるセメントの代替材料として、製鉄所からの副産物であるスラグ微粉末を使用した。これにより、コンクリート強度を低下させることなく、CO2排出量を削減したコンクリートを作成することに成功したとしている。アサヒ飲料は、西松建設と2023年6月よりCO2活用実証実験を行っていて、2030年をめどに本格導入を検討している。
運搬・貯蔵、燃焼、利用関係
三菱重工 タイ石油公社とアンモニア専焼ガスタービン発電共同検討に関するMOUを締結 2024.3.8
三菱重工は、子会社であるアジアパシフィック地域統括拠点MHI-APが、タイの石油ガス大手タイ石油公社と、ガスタービンによるアンモニア専焼発電の導入を目的としたFSを実施するMOUを締結したと発表した。MOUを基にアンモニア発電の経済性や電力の潜在需要に関する調査を行うほか、アンモニアバリューチェーンのための安全性検討、アンモニア専焼ガスタービンを採用した発電設備の導入スケジュールと建設候補地について調査するとしている。
ニュースウォッチ
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