政策・規制、検討会関係
経産省 地球温暖化対策計画(案)、第7次エネルギー基本計画(原案)を作成 2024.12.20
経済産業省は、12月19日、20日、産業審議会会合にて、地球温暖化対策計画(案)及び第7次エネルギー基本計画(原案)を提示した。
地球温暖化対策計画(案)は、地球温暖化対策の推進に関する基本方向以下、目標、目標達成のための対策・施策で構成されている。日本の温室効果ガス削減目標については、2030年度は2013年度比46%削減することを目指すと設定されているが、2035年度、2040年度については提示時点では設定がされていない。これについて、経産省は「2050年ネットゼロに向けたわが国の基本的な考え方・方向性」という別資料で、現状はエネルギーを多く消費する産業の生産減退が温暖化効果ガス排出削減の要因になっているとして、排出削減と経済成長の同時実現が重要だと強調している。その上で、これまでの会合での意見を参考に、2050年ネットゼロに向け、下記図のような直線的な経路で2035年度、2040年度の目標値を設定することを提案している。
第7次エネルギー基本計画(原案)では、今後DXやGX推進により電力需要の増加が見こまれ、見合った脱炭素電源を確保できるかが日本の産業競争力に直結するとして、再生可能エネルギー、原子力など脱炭素効果の高く、安全保障に寄与するエネルギー源を最大限活用するとしている。2040年度でのエネルギー需給見通しは、不確実性が存在するとして一定の幅を設け提示し、エネルギー自給率については、2023年度の15.2%を3~4割程度まで引き上げる。
電源構成としては、2023年度22.9%の再エネ割合を4~5割程度まで、原子力も8.5%から2割程度まで引き上げる。一方、現在68.6%を占める火力は、トランジション手段としてLNG火力の確保、水素・アンモニア・CCUS等を活用した火力の脱炭素化を進めながら3~4割程度まで縮小させるとしている。
水素・アンモニア・LOHC関連
INPEX 新潟県でのブルー水素製造FEED開始 2024.12.18
INPEXは、新潟県内にINPEXが保有する天然ガス田及び既存インフラを活用したブルー水素製造事業について、FSを終了し商業化に向けた基本設計(FEED)を開始したと発表した。INPEXの新潟県長岡市にある南長岡ガス田で生産している天然ガスに加え、新潟県上越市にある直江津LNG基地で操業するイクシスLNGプロジェクトからのLNGを原料として、年間約10万トンの水素製造プラントを新潟県内に新設する。また、水素製造の際に発生するCO2を回収し、新潟県内の減退ガス田に地下貯留(CCS)しブルー水素とする。
東京ガス ペトロナスとカーボンニュートラル技術の共同検討で覚書を締結 2024.12.20
東京ガスは、マレーシアの国営石油・天然ガス会社ペトロナスと、カーボンニュートラル技術の共同検討に関する覚書を締結したと発表した。具体的な検討項目としては、水素製造技術とCCS技術関連としている。水素製造関連では、東京ガスは水電解用セルスタックの技術開発に取り組んでいて、ペトロナスは水電解用スタック技術およびシステム化技術を有している。また、水電解システムを活用してeメタンの高効率製造も検討する。CCS技術では、東京ガスが研究を進めるCO2を微細気泡化し、効果的にCO2を地下貯留するマイクロバブル技術を、ペトロナスのCCS事業への展開を検討する。
合成燃料関係
東京ガスなど eメタン国際アライアンス「e-NG Coalition」の設立が完了 2024.12.16
東京ガスは、eメタンの世界的な普及を目指す国際的アライアンス「e-NG Coalition」の設立が2024年10月20に完了したと発表した。設置場所は、ベルギーのブリュッセルで、初代理事長にはTree EnergyのCCOイブ・ヴェルカムメン氏が、副理事長には東京ガスのeメタン推進部の小林裕司氏が就任した。アライアンスを通じて、eメタンに関する政策提言などのロビー活動や、イベント活動、研究・調査を共同で行っていく。設立企業は、東京ガスのほか、大阪ガス、東邦ガス、三菱商事、エンジ―、RWE、TES、トタルエナジーが参画している。
千代田化工 出光徳山事業所SAF製造装置FEEDを受注 2024.12.20
千代田化工建設は、出光興産より徳山事業所に設置予定であるSAF製造装置の基本設計業務(FEED)を受注したと発表した。出光は、2030年までに日本の航空機燃料使用量の10%をSAFに置き換えるという航空業界の目標実現に向け、年間50万klのSAF国内供給体制の構築を進めている。山口県周南市の徳山事業所ではHEFA技術を用いて、2028年度より年間28万klのSAF生産開始を目指している。千代田化工は2023年度に同プロジェクトのFSを行っている。
ENEOS 地域空港でのSAF導入試験事業が国交省の支援事業に採択される 2024.12.19
ENEOSは、国交省が公募したSAF導入を検討している地域空港への支援実証事業に採択されたと発表した。採択された実証を通じ、新千歳空港と旭川空港で、ANA、JAL、AIRDOの3社にSAFを供給するとしている。
日揮 鹿島アントラーズが国産SAF製造原料を提供へ 2024.12.20
日揮HDは、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYと取り組んでいる国産SAF製造の原料として、鹿島アントラーズ・エフ・シーが、アントラーズのクラブ施設やスタジアムから排出される使用済み食用油の提供を受けることになったと発表した。プロスポーツクラブが国産SAF製造に協力する取り組みは初めてとなる。
CCUS、DAC関連
千代田化工 出光より北海道製油所のCO2分離回収設備FEEDを受注 2024.12.16
千代田化工建設は、出光興産より北海道製油所に設置予定であるCO2分離回収設備装置のFFED業務を受注したと発表した。出光、JAPEX、北海道電力3社がJOGMECより委託された北海道苫小牧エリアでのCCS事業に係る設計作業等事業の中で、千代田化工が出光より該当分野のFEEDを受注したものとなる。
ENEOS 日本郵船とDACCSによるCDRクレジット付き船舶燃料で覚書を締結 2024.12.18
ENEOSは、日本郵船とDACCSによりCO2除去したクレジット(CDRクレジット)が附帯した船舶燃料の売買に関する覚書を締結したと発表した。ENEOSが、2028年から5年間、米国テキサス州の1ポイントファイブで2025年から稼働予定のDACCSプラントで創出されるCDRクレジットを調達し、1ポイントファイブが供給する船舶燃料にと共に日本郵船に販売する。1ポイントファイブは、カナダのカーボン・エンジニアリング社のDAC技術などを活用して、DACCSへの取り組みを行っている。
ニュースウォッチ
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