水素、合成燃料、CCUS関連動向     2024.12.14
水素、合成燃料、CCUS関連動向     2024.12.14

水素、合成燃料、CCUS関連動向     2024.12.14

水素・アンモニア・LOHC関連

川崎重工 液化水素SC構築で今後も豪州褐炭による水素製造を継続   2024.12.1

 川崎重工は、NEDO GI基金事業「液化水素サプライチェーンの商用化実証」での当初計画である、豪州ビクトリア州の未利用資源である褐炭を活用した水素製造および、同州ヘイスティングス地区からの液化水素を出荷し、日本の川崎市の川崎臨海部での受入基地に輸送する実証について、今後も取り組んでいくと発表した。

 9月6日、経済産業省産業構造審議会 エネルギー構造転換分野WGで、川崎重工と川崎重工が筆頭株主である日本水素エネルギーは、実証プロジェクトの計画日程である2030年度までに豪州での水素製造・出荷の許認可取得と設備建設は困難であるとし、日本国内での出荷、受入基地を兼用した実証モデルで、技術実証、ビジネスモデル確立を目指す変更を発表した。これを受けて、日経新聞は11月14日、「水素調達を国内に変更、水素運搬船もサイズダウンするなど「現実解」に舵をきる」と報道している。
 今回の発表は、このような発表などを念頭に置いたものとみられ、川崎重工は、2030年以降の社会実装フェーズに向け、豪州ビクトリア州の褐炭水素プロジェクトについても、有力な水素供給候補地として、検討を行っていくとしている。
 豪州の水素政策推進状況は、今年に入ってから水素製造のコスト高もあり、大手エネルギー会社の水素関連投資の棚上げや合併交渉破断、豪州政府自体も水素目標の棚上げを検討していると報道がされている。
 また、2024年10月に公募予定であったGI基金事業「水素高混焼発電における実機実証事業」については、高混焼に対応した燃焼器開発が完了しておらず、水素30vol%発電実証も未実施であることから、水素高混焼発電実証にコミットできる発電時事業者がいないとして事業公募を延期すると発表している。
 アンモニアの混焼・専焼実証試験が進み、一部の報道で「燃料アンモニア、30年国内需要300万トン現実味」といった記事が書かれるのとは対照的な動向だ。今後、液体水素が水素キャリアとしてどのように展開していくか見守っていきたい。

合成燃料関係

出光 大林組の建設現場でRDの実証実験を開始       2024.12.10

 出光興産は、大林組、松林と共同で、大林組が建設現場で使用する建設機械及び発電機向け燃料として、バイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル」(IRD)を使用する実証実験を2024年11月中旬より開始した発表した。実証実験では、建設現場で使用される油圧ショベルに軽油の代替燃料としてIRDを使用する。IRDは松林が配送し、パトロール給油を行う。出光興産は、実証結果を踏まえ2025年初頭から新標品として「IRD」の販売を開始する予定だとしている。

日揮 SAFFAIRE SKYがISCC CORSIAの認証を取得     2024.12.13

 日揮HDは、コスモ石油、レボインターナショナルと共同で出資するSAFFAIRE SKY ENERGYが、SAFの国際認証制度であるISCC CORSIA及びISCC EUの認証を日本で初めて取得したと発表した。ISCC CORSIAは、国際民間航空機関(ICAO)から承認された、カーボンオフセットおよび削減スキームへの準拠を確認、ISCC EUは欧州連合の再生可能エネルギー指令(REDⅡ)に準拠を確認するもので、CO2等の排出削減量、バイオ原材料の適切な利用等が確認されたことになる。また、レボ、コスモ石油も各担当事業でのISCC CORSA/EUを取得した。

CCUS、DAC関連

JFEエンジ 苫小牧CCUSでの液化CO2輸送システムが竣工   2024.12.9

 JFEエンジニアリングは、日本CCS調査(JCCS)が2021年6月他3社とNEDOより受託した「苫小牧におけるCCUS大規模実証試験」の一部設備であるCO2液化・貯蔵・荷役設備の建設工事が竣工したと発表した。JEFエンジニアリングは、関西電力舞鶴発電所よりの排出されるCO2年間1万トンを、液化、貯蔵し、船舶へ払い出すことができる陸上設備の設計から建設までを一貫して行った。工事を通じて培ったプラント設計・建設実績、技術知見を、将来のCO2大規模船舶輸送に伴うインフラ整備に活用していくとしている。

出光 ノルウェーでのCCSプロジェクトに参画  2024.12.12

 出光興産は、ノルウェーの持分法適用会社INPEXノルウェーが、INPEX Idemitsu Norge(IIN)を通じて、ノルウェーの石油・天然ガス開発会社Sval Enrgiより、CCSプロジェクト運営会社Trudvang CCSの持分40%のうち30%を取得すると発表した。Trudvang CCSプロジェクトは、北海北部にEXL007ライセンスとして指定された区域に、累計2億トン以上のCO2貯留を見込む大規模CCS事業だ。ライセンス区域の西側には20年以上CO2貯留実績のあるSpleipner CCSプロジェクトがある。出光興産は、CCS先進国であるノルウェーの事業に参画することで、CCSに関する知見を深め、国内外で積極的にCCSの取り組みを行っていくとしている。

ニュースウォッチ

  • CO2地下貯留、25年に試掘開始 国補助で民間投資後押し 2024.12.8
  • 燃料アンモニア、30年国内需要300万トン現実味 2024.12.9
  • 酉島製、CO2分離・回収を開拓 本社工場に高圧ポンプ試験設備 2024.12.12
  • 日本郵船など、液化CO2輸送タンク生産体制を確立 2024.12.12
  • SAFの25年生産量2.1倍 IATA「がっかりするほど遅い」 2024.12.12
  • IMO、アンモニア燃料船の安全基準を策定 2024.12.13

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