水素戦略
2017年12月、日本が水素基本戦略を発表後、各国・地域が追従し水素戦略・ロードマップを発表した。オーストラリア国家水素戦略は2019年11月に発表された。
日本政府は水素社会実現に向け、水素を2025年頃までに約200万トン、2030年には最大300万トン、2050年には2000万トンとする目標を設定している。
水素は、技術、コスト等を考慮し、再エネ等による水電解だけでなく、化石燃料の改質、CCSも含めた多様なエネルギー源からの製造を、供給先も海外も含めている。
資源国オーストラリア
オーストラリアの原油生産量は多くないが、天然ガス、石炭は世界の10位に入る生産国であり、2020年の世界天然ガス生産シェアは4%、石炭は8%を占める。
確認されている石炭の埋蔵量もアメリカ合衆国に次いで2位の1,500億トンであり、黒炭と褐炭の割合が約半分を占めるのが特徴である。
日本とオーストラリアの天然ガス・石炭貿易は緊密な関係にあり、日本の石炭輸入の約6割、LNGの約4割をオーストラリアに依存しており、オーストラリアも石炭の輸出先の約3割、LNGの約4割が日本である。
オーストラリア国家水素戦略
オーストラリアの国家水素戦略は、 「2030年までに水素の主要グローバルプレイヤーになる」という目標を設定し、2019年11月に承認された。
水素戦略では、水の電気分解による、いわゆるグリーン水素だけを「クリーン水素」として認めているのではなく、
石炭のガス化、天然ガスのSMR+CCSも「クリーン水素」として含めている。
また、アダプティブアプローチとして、国家間・地域調整、技術・生産能力開発、規制対応など柔軟に対応する方針を示している。
オーストラリア水素戦略では、2025年までにコスト競争力のある水素生産能力の開発、水素サプライチェーンを確立するために、韓国、日本、シンガポール、ドイツ、イギリスなどと二国間パートナーシップを締結し、資金及び技術投資を促進している。
オーストラリア水素プロジェクト
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のHPには、2022年4月末時点で大規模実証・パイロット水素プラントプロジェクトが93登録されている。
そのうち、日系企業が関係する日本への水素輸出を前提としたプロジェクトは11ある。
プロジェクト例
川崎重工は、水素キャリアとして液化水素を選択し、貯蔵、輸送手段の実証を水素エネルギーSCプロジェクトで成功させ、スケールアップの段階に入った。
水素キャリアとしてMCHを選択しているENEOSは、既存プロジェクトに参画する形で展開をしている。
タスマニアでのプロジェクトは、アンモニアを水素キャリアとしてFortescue, Woodside案件にはIHIが参画している。
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