前回はヴィーガンレザーに使用される植物性廃棄物の再利用のトレンドを見てきた。今回は、合成皮革としてヴィーガンレザーを製作するときに使用する樹脂について紹介する。
関連資料:「ヴィーガンレザートレンド2023」
ポリウレタン樹脂
一般的な合成皮革は編み物や不織布にポリウレタン樹脂(PU樹脂)を含侵やコーティングを行って製造される。前回紹介した植物性廃棄物の粉末を使用した合成皮革タイプのヴィーガンレザーの中にはPU樹脂に植物性廃棄物の粉末を混合して従来の合成皮革製造工程で作られたものが多い。
PU樹脂はポリオールとジイソシアネートを重合させたものであるが、これらの化学物質は石油から生成して製造されてきたが、化石燃料由来の製品として環境にやさしくないということから、PU樹脂の原材料をバイオ由来にしたものを使用してヴィーガンレザーと呼んでいる企業もある。
中国のBZ LEATHERはコーンスターチを発酵させることでジオールを精製しPU樹脂原料として使用することで、この樹脂を使用した合成皮革をヴィーガンレザーと呼んでいる。合成皮革の原料に関しては企業秘密であるため開示が十分でないが、「バイオベースのポリマー」を使用してヴィーガンレザーを作っていると謳っている企業は多い。
生分解性プラスチック
石油由来のポリマーは地球温暖化への影響のほか、海に流出したプラスチック製品や包装資材をウミガメなどが誤って食べたり、長年の漂流で細かい粒子になったプラスチックが自然環境では分解されないで、食物連鎖で最終的には人間へも悪影響を及ぼすマイクロポリマーが問題となっている。
ヴィーガンレザーの中には生分解性プラスチックをバインダーとして用いたものがある。イギリス・ロンドンを拠点とするAnanas Anamはパイナップルの葉から抽出された繊維を不織布にしてヴィーガンレザーを作っているが、不織布にする際に使用する樹脂は生分解性プラスチックであるポリ乳酸を使用している。米国のNatural Fiber Weldingは植物油と天然ゴムからできた生分解性の天然ゴムを使用してヴィーガンレザーを作っている。
ヴィーガンレザーの定義はあいまいだ。どこまで“ヴィーガン”として追及するかは経営者の考え方により、それによって樹脂の選び方も変わってくる。
関連資料:「ヴィーガンレザートレンド2023」