プラスチック関連動向 2024.9.6
プラスチック関連動向 2024.9.6

プラスチック関連動向 2024.9.6

研究

東北大学 エポキシ樹脂の分子構造と特性を解明         2024.8.30

 東北大学大学院工学研究科 川越吉晃助教らの研究グループは、非芳香族エポキシ樹脂の分子構造と力学・光学特性の相関を明らかにしたと発表した。非芳香族エポキシ樹脂のプレポリマーとなる鎖長の異なる3種類の「トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレ−ト」に対して、量子化学計算による耐光性評価、分子シミュレーションによる硬化樹脂モデルの構築、および力学試験やX線散乱によるシミュレーションモデルの妥当性の確認を行なった。シミュレーションの強みであるミクロな構造や分子の振る舞いの詳細な可視化を実験結果と連携することで、その材料特性を発現する分子構造の特定を行い、鎖長と耐光性や力学特性の違いを明らかにした。研究で得られた知見や検討方法により今後高度化が求められる材料開発への貢献が期待されるとしている。

名古屋工業大学 結合組み換え可能な新規TPEを開発         2024.9.4

 名古屋工業大学生命・応用化学類の林幹大助教らは、結合交換コンセプトによる新規熱可塑性エラストマー(TPE)を開発したと発表した。高温安定性や変形安定性に課題のあるTPEに、結合組み換えが起こるナノドメインを付加的な架橋として導入することで課題を克服した。ピリジン基を導入したSBSにジハロゲン化合物を加えて処理することで、ポスチレン鎖の主架橋ドメインと共にサブ架橋ドメインが形成され、弾性率の安定性や引張強度の向上が確認されたとしている。

プラスチック、原料

ユニチカ 新規生分解性ポリエステル樹脂の合成技術を開発         2024.8.26

 ユニチカは、分解後の環境負荷を抑制した生分解性ポリエステル樹脂の合成技術を開発したと発表した。2024年6月に発表した非金属触媒を用いたポリエステル樹脂重合技術を応用した。開発した合成技術による生分解性樹脂は、分解速度が向上し、分解後に触媒由来の金属が残らない。開発した合成技術は、生分解性ポリエステル樹脂への適用のほか、ケミカルリサイクルへの応用も可能で、循環型社会の構築に貢献できるとしている。

製品

住友ベークライト 沢井製薬製品向けPTPシートが「包装賞」を受賞       2024.8.28

 住友ベークライトは、沢井製薬と共同で開発した医薬品包装用高防湿シート スミライトFCL-1145を使用したパーキンソン病患者向けゾニサミドOD錠TRE「サワイ」が、日本包装技術協会が主催する2024日本パッケージングコンテストで「アクセシブルデザイン包装賞」を受賞したと発表した。スミライトFCL-1145は、パーキンソン病でPTPシートから錠剤を押し出すことが負担になることを配慮して、基材となるPVCの樹脂量を約22%軽減し、シート全体の厚みを従来の215μmから165μmに薄肉化した。これによりPTP包装からの錠剤の取り出し性の改善が期待されるとしている。

三井・ダウ ポリケミカル バイオマスEVA、LDPEの販売を開始         2024.9.2

 三井・ダウ ポリケミカルは、2024年9月1日より、マスバランス方式によるバイオマスEVA「エバフレックス」およびバイオマスLDPE「ミラソン」の販売を開始したと発表した。三井・ダウ ポリケミカルは、2024年5月に千葉工場でISCC PLUS認証を取得し、バイオマスEVAおよびLDPE製品の生産・販売の準備を進めてきた。三井・ダウ ポリケミカルは今後も環境配慮型の樹脂の開発を進め、製品ラインナップの拡充を行っていくとしている。

三井化学 トナー用バインダー樹脂事業から撤退 2024.9.2

 三井化学は、トナー用バインダー向けのスチレンアクリル樹脂、およびポリエステル樹脂事業から撤退すると発表した。2025年度上期での生産を停止する予定だ。働き方改革での印刷時需要の縮小や原材料価格の高騰により価格競争が激化し事業の採算が厳しい状況となっていた。

適用

デンカ サステナブルプラスチックがバンダイのたまごっちに採用       2024.8.29

 デンカは、卵の殻をPS系樹脂に配合したサステナブルプラスチック「PLATIECO」が、バンダイから発売される「Original Tamagotchi Celebration Egg」に採用されたと発表した。今回採用されたPLATIECOは、 ABS樹脂に通常は食品産業廃棄物として廃棄処分される卵殻を最大51wt%配合可能な技術を用いて製造された樹脂だ。デンカはプラスチックの使用量と温室効果ガスの削減に貢献するとしている。

リサイクル

カネカ Green Planetを使用した資源循環モデルの実証事業を開始 2024.8.29

 カネカは、そごう、ロック・フィールドと共同で、カネカの生分解性バイオポリマーGreen Planetを使用した資源循環モデルの実証事業を開始すると発表した。実証事業では、そごう広島店から排出される廃食用油を原料の一部に使用し、Green Planet製のストローを生産する。ストローは廿日市市の小・中学校やロック・フィールドのベジテリアそごう広島店で使用し、市民への啓発活動を実施する。実証事業は、広島県が公募した「令和6年度海洋プラスチック対策・リーディングプロジェクト支援事業」から採択を受け、2025年3月末まで行われる。

出光興産 CRJが油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始         2024.8.30

 出光興産は、子会社であるケミカルリサイクル・ジャパン(CRJ)が、出光興産千葉事業所の隣接地にCRJの市原事業所の建設を開始したと発表した。市原事業所には使用済みプラスチックを年間2万トン処理する能力を持つ油化ケミカルリサイクル装置を建設する。油化ケミカルリサイクル装置により生産したCR油は、出光の既存設備で精製・分解・重合し、化学品や燃料油として再生する予定だ。油化ケミカルリサイクル装置の商業運転は2025年度下期を予定している。

三菱ケミカルGr パフォーマンスポリマーズ製品の国内拠点がISCC PLUS認証を取得        2024.9.2

 三菱ケミカルグループは、三菱ケミカル株式会社 パフォーマンスポリマーズ(日本)事業部 生産管理グループSCMセクションが、国際的認証制度ISCC(International Sustainability and Carbon Certification:国際持続可能性カーボン認証)PLUS認証を、2024年4月に取得したと発表した。認証は、リサイクル材料やバイオマス材料がサプライチェーン上で適切に管理されていることを示し、熱可塑性エラストマーや機能性ポリオレフィンなどのパフォーマンスポリマーズ製品がマスバランス方式を活用して取り扱いが可能になった。

M&A・出資

極東貿易 三幸商会を子会社化 2024.8.30

 極東貿易は、汎用プラスチック・エンジニアリングプラスチック及び溶射材を取り扱う専門商社三幸商会(愛知県名古屋市)の株式を取得し完全子会社化すると発表した。2024年10月1日を譲渡実行日として予定している。

バイオマスCO2吸収剤開発ベホマル 資金調達を実施         2024.9.2

 プラスチックにCO2を吸収させる樹脂添加剤「バイオマスCO2吸収剤」を開発製造販売しているベホマル(滋賀県草津市)は、立命館ソーシャルインパクトファンドより8月に資金調達を実施したと発表した。立命館大学と共同で開発しているバイオマスCO2吸収剤は、プラスチック用添加剤として使用が可能で、添加剤を使用したプラスチックはる常温常圧でCO2を吸収し、80℃以上の熱をかけることでCO2を放出する。ベホマルは、調達した資金を用いて実証実験のための研究開発を実施するとしている。

体制

積水樹脂 子会社4社を吸収合併        2024.8.29

 積水樹脂は、2024年11月1日を効力発効日として、完全子会社である滋賀積水樹脂、北陸積水樹脂、土浦つくば積水樹脂、広島積水樹脂の4社を吸収合併すると発表した。これまで積水樹脂は、製造部門を分社化させてきたが、生産・テクノ本部の工場組織として再編し一体化運営することで、「ものづくり」の競争力を強化させるとしている。

ニュースウォッチ

  • DIC、中国ポリマー事業拡大 生産・開発体制整う 2024.8.23
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  • プラ製品の好感度回復 プラ工連調査 2024.8.27
  • レゾナック、廃プラ再生技術供与 化学原料化を拡大 2024.8.28
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