研究
東京大学 ポリウレタンを選択的に分解する触媒を開発 2024.8.9
東京大学は、東京大学大学院工学系研究科の野崎京子教授らの研究グループが、ポリウレタンを選択的に分解する触媒を開発したと発表した。従来のウレタンの水素化分解ではカルボニル基はメタノールまで分解されるのに対し、開発した触媒はカルボニル基を含むホルムアルデヒドなどの分解生成物が得られる。ポリウレタンの新たなケミカルリサイクル手法になると期待されるとしている。
JSR 抗体を認識するプラスチック材料を開発 2024.8.21
JSRは、エポキシド間結合反応を用いた橋掛け表面修飾技術により、生体分子のプロテインA(PA)のように抗体を精密認識するプラスチック材料の開発に成功したと発表した。低コストPA代替材料として、抗体精製や診断向けバイオセンサーなどの用途への展開が期待されるとしている。
プラスチック、原料
AGC 乳化剤を使用せずフッ素ポリマーを製造する技術を開発 2024.8.7
AGCは、乳化剤を使用せずにフッ素ポリマーを製造できる技術を開発したと発表した。従来、一部のフッ素ポリマーは、フッ素系乳化剤を使用した乳化重合で製造されてきたが、近年、フッ素系乳化剤を使用しないポリマー製造技術の開発要望が高まっている。非フッ素系乳化剤でのフッ素ポリマーの製造ではフッ素系副生成物が生成され、また従来製品の性能が発現しないという課題があった。AGCは、乳化剤を一切使用せず、フッ素系副生成物の生成を25ppb未満に抑制し、従来製品と同等の性能を有するフッ素ポリマー製造技術を開発した。AGCは、2030年までに開発した技術によるフッ素ポリマーの量産化を目指すとしている。
リサイクル
住友精化 SAPケミカルリサイクル実証事業が環境省の補助金事業に採択 2024.7.31
住友精化は、取り組んでいる「使用済み紙おむつから分離した吸水性樹脂(SAP)のケミカルリサイクル実証事業」が、環境省のプラスチック等資源循環システム構築実証事業に採択されたと発表した。現在紙おむつのほとんどが焼却処分されていて、2030年には焼却量全体の約7%に達すると見込まれている。使用済み紙おむつに含まれるSAPについては、分離したSAPを再び紙おむつに使用するリサイクル技術が確立していない。住友精化では、使用済み紙おむつから回収したSAPの水平ケミカルリサイクル技術を実験室レベルで開発した。実証事業では、住友精化の姫路工場にパイロット設備を建設し2026年度に稼働させた上で、パートナー企業と連携しリサイクルシステムの構築に取り組む。2030年度の社会実装を目指すとしている。
M&A・出資
esa 総額4.5億円の資金調達を実施 2024.8.22
プラスチックリサイクル事業を展開する東京都港区に本拠を置くesa(イーサ)は、環境エネルギー投資及びCBCを引受先とした第三者割当増資を行い、総額4.5億円の資金調達を実施したと発表した。esaは、2023年3月に設立した。複合プラスチック素材を独自技術で再利用可能なペレット「Repla」の原料として再利用し、ECサイトなどで販売をしている。
体制
クラレ シンガポールでEVOH生産プラントの起工式を開催 2024.8.9
クラレは、シンガポールにある100%子会社Kuraray Asia PacificがEVOH樹脂「エバール」の生産プラント建設予定地で、8月6日起工式を開催したと発表した。4億1,000万米ドルを投資し、2026年に年産1万8,000トンのEVOH樹脂を生産する生産工場を建設する。将来的には年産3万6,000トンの生産能力に増設を見込む。Kuraray Asia Pacificは2008年に設立され、ポバール樹脂の製造販売を行っている。
ニュースウォッチ
- 三菱ケミカルG、AAM触媒 広島に新設備 生産能力6割増 2024.8.9
- クラレ、PA9T 押出用展開へ新グレード 2024.8.9
- プラ循環協 産業系廃プラスチック、調査報告書を発行 2024.8.9
- 東洋紡エムシー、海外完成車向け開拓 素材、共同開発提案 2024.8.20
- 住化、千葉・袖ケ浦に研究集約 新棟開設、石化の環境負荷低減 2024.8.22
- DIC、中国ポリマー事業拡大 生産・開発体制整う 2024.8.23
- バイオワークス、タイで改質PLA繊維量産へ 2024.8.23