プラスチック関連動向 2024.7.12
プラスチック関連動向 2024.7.12

プラスチック関連動向 2024.7.12

研究

東京大学 カルボキシル基を活用したPEの分解 2024.7.4

 東京大学大学院工学系研究科の野崎京子教授らの研究グループは、ポリエチレンの一部にカルボキシ基が置換したものに、セリウム触媒を共存させて80℃の温度条件下で可視光を当てると、分子鎖が切断されPEが低分子化することを発見したと発表した。既存のPE分解・再利用技術では、300~500℃の高温をかけて熱分解させることが一般的であった。発見した方法では、80℃程度の低い温度で分子量10,000程度のPEを分子量500程度にまで低分子化させることに成功した。従来熱分解に比較して省エネルギー・低コストでケミカルリサイクルできる可能性があるとしている。

プラスチック、原料

千代田化工など CO2由来ポリエステル繊維サプライチェーンを構築    2024.7.4

 千代田化工は、ゴールドウィン、三菱商事、Neste、SK Geo Centric(SKGC)、Indorama Ventures(IV)、India Glycols(IGL)と共同で、リニューアブル原料、バイオ原料、及びCCUを活用したポリエステル製造サプライチェーン構築を行ったと発表した。CCUでは、ポリエステル製造のための原料として、CO2を原料としたパラキシレンを一部使用している。この技術開発はNEDOの委託事業として、千代田化工、富山大学、ハイケム、日鉄エンジニアリングなどが参画していて、千代田化工の子安リサーチパーク内に設置したパイロットプラントで製造されたCO2由来のパラキシレンを一部供給している。

製品

積水化学 新開発架橋PEコルゲート管を発売   2024.6.28

 積水化学工業 環境・ライフラインカンパニーは、新開発の架橋ポリエチレン管「エスロン ラクのびペックス コルゲートウォーム」の発売を開始したと発表した。戸建やマンションなどの住宅給水・給湯用配管として使用されている5mm保温付き架橋PE管と同等の保温性能を持ち、コンクリートなどで傷がついても破断せず、継手接続時の伸縮性の向上などで現場での施工性を改良した。

住友ベークライト 超低モノマー水溶性フェノール樹脂の販売を開始    2024.7.1

 住友ベークライト(住べ)は、樹脂に含まれる残存物質フェノール、ホルムアルデヒドなどのVOCを0.1%未満まで低減した超低モノマー水溶性フェノール樹脂の販売を開始したと発表した。水溶性レゾール型フェノール樹脂は、疎水性の高いフェノール樹脂に水溶性を付与するため、低分子量フェノールやホルムアルデヒドが水溶液中に残存し、VOCや臭気の発生原因となっていた。住べは、低モノマー化に最適な反応条件と、触媒技術を組み合わせ、遊離フェノールやホルムアルデヒドを0.1%未満まで低減させた。環境対応可能な高機能品として、半導体関連や航空・宇宙、電池材料などへの用途展開を図っていくとしている。

東レ ビニルハウス用遮熱シートを開発 2024.7.8

 東レは、ビニルハウスに被覆することで農作物の光合成に必要な可視光は透過し、ハウス内気温を上昇させる赤外光は遮蔽する農業用遮熱シートを開発したと発表した。東レでは、2018年から石川県といしかわ農業総合支援機構、石川県内のトマト農家らとともに、農業用遮熱シートの開発と実証試験を進めてきた。東レは、可視光の透過性が高く、赤外光を吸収・反射する遮蔽性に優れた機能剤を見いだし、それを添加したフラットヤーンを開発した。また、製品重量や取り扱い性も考慮した織物を設計し、2023年に高採光性と高遮熱性を両立する本シートを実現した。2025年春の本格販売を目指し、2024年7月から農業者へサンプルを提供し、モニター評価を開始する。

リケンテクノス 自動車窓用フィルムに遮熱性能向上グレードを追加    2024.7.10

 リケンテクノスは、自動車ウィンドウ用フィルムICE-μ(アイスミュー)に、遮熱性能を向上させたグレードを開発したと発表した。ICE-μは、波長コントロール設計とコーティング技術により赤外線や紫外線をカットすることで、電磁波の透過は阻害せずに、高い透明性と遮熱特性を持つフィルムだ。開発グレードは従来機能に光反射性を加えることで、現行品と比べ10%以上遮熱性能を向上させた。また、熱線を反射する機能により室内空調効率を向上させるとしている。

適用

ダイセル 酢酸セルロースで3D造形トロフィーを制作         2024.7.4

 ダイセルは、7月4日より開催されている「ダイセル ブラインドサッカージャパンカップ2024 in 大阪」のMIP(Most Impressive Player)賞の記念品として、ダイセルのバイオマス由来酢酸セルロース樹脂「CAFBLO」を、3Dプリンターで造形したトロフィーを提供すると発表した。CAFBLOは、木材や綿花などの非可食バイオマス由来のセルロースと酢酸から得られる酢酸セルロースに、非フタル酸系可塑剤を配合し、熱可塑性を付与した樹脂だ。使用材料から自然に還る素材として設計されている。

三菱ケミカル 生分解性樹脂コンパウンド「Forzeas」がストローに採用 2024.7.8

 三菱ケミカルグループは、植物由来の生分解性樹脂コンパウンドForzeas(フォゼアス)の海洋生分解性グレードが、中備化工のストローに採用されたと発表した。ストローとしては初めて、日本バイオプラスチック協会の「海洋生分解性バイオマスプラ」マークを取得した。Forzeasは、三菱ケミカルグループの植物由来の生分解性樹脂BioPBSを使用したコンパウンドで、微生物によって水とCO2に分解れ、バイオマスプラスチック度が25%以上の場合は、海洋生分解性バイオマスプラとして認定される。

体制

住友ベークライト ポリスチロール樹脂シートの生産販売を子会社に移管        2024.7.1

 住友ベークライトは、子会社の住べテクノプラスチックに、ポリスチロール樹脂シート「グランテリアGS」の生産および販売機能を移管すると発表した。住べテクノプラスチックは、プラスチックまな板やプラスチックヘルメットなどの製造販売を行っている。

三井化学 活材ケミカルの株式を田中藍HDに譲渡         2024.7.1

 三井化学は、連結子会社である活材ケミカルの保有株式を、田中藍ホールディングスに譲渡すると発表した。活材ケミカルは、三井化学グループの化学プラントから発生する副産物を原材料として、ウレタン樹脂材料や誘導体などの化学製品類の販売やリサイクル事業を行う商社だ。三井化学は、活材ケミカルが化学専門商社である田中藍HDの子会社になることで、事業機会の創出と事業領域の拡大、化学専門商社としての機能強化も図れるとしている。

ニッパツ 特殊発泡ポリウレタン事業を譲渡      2024.7.9

 日本発條(ニッパツ)は、2024年4月1日に特殊発泡ポリウレタン製品の製造販売事業を、2025年3月末に終了すると発表していたが、事業譲渡候補先として東洋クオリティワンと協議を行っていることを明らかにした。今後、両者で取引内容の精査を行い、2024年12月末までに最終契約の締結を目指すとしている。

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