プラスチック関連動向 2024.6.28
プラスチック関連動向 2024.6.28

プラスチック関連動向 2024.6.28

政策

経産省 サーキュラーエコノミー転換に向け中間とりまとめ    2024.6.27

 経済産業省は、6月27日産業構造審議会で「成長志向型の資源自律経済戦略の実現に向けた制度見直しに関する中間とりまとめ(案)」を公開した。国内・国際的な状況の変化、気候変動影響から、線形経済(リニアエコノミー)から「循環経済(サーキュラーエコノミー)」への転換が必要だとした上で、「資源生産性」の最大化に向けた施策として、トレサビリティ促進のための表示制度の導入や部品リユースの促進施策、トップランナー認定制度の導入などを検討する。また、需要の創出として、再生材の利用等に関して取り組むべき事項の明確化、計画の策定、実績の定期報告義務の導入を検討する。

研究

産総研 土壌中のナノプラスチック濃度の測定技術を開発         2024.6.14

 産総研 地質調査総合センター 土田恭平研究員のグループは、早稲田大学と共同で、土壌中のナノプラスチックの濃度を測定する技術を開発したと発表した。研究では、粒度分布や有機物含有量などが異なる土壌サンプルと203nmのポリスチレン粒子を混合し、土壌懸濁液としたうえで、紫外可視分光光度計を用い2つの波長の吸光度測定することで、懸濁液中の土壌とナノプラスチックの濃度を定量化した。ナノプラスチックは赤血球の破壊やミトコンドリアDNAへの損傷などへの指摘があり、マイクロプラスチックよりも人体への影響が大きい可能性がある。土壌を含む環境中のナノプラスチックの存在量の測定により、リスク評価への活用が期待される。

プラスチック、原料

日本触媒 「多機能性ポリマーの開発」で近畿化学協会より化学・環境技術賞を受賞       2024.6.18

 日本触媒は、「化粧品向け新規多機能性ポリマーの開発」で、近畿化学協会が主催する2023年度第76回「化学・環境技術賞」を受賞したと発表した。開発した多機能性ポリマーは、特定のカチオン性モノマーと疎水性モノマーの比率を最適化することで、既存抗菌剤フェノキシエタノールやメチルパラベンなどに比べ同等以上の高い抗菌性を持つ。また、コロナウイルスに対する不活性効果や皮膚の保湿性向上、花粉やPM2.5に対する付着抑制効果も確認している。開発ポリマーを配合した化粧品は、肌や毛髪を菌やウイルスによるダメージから守る効果が期待できるとしている。

ユニチカ 非金属触媒を使用したポリエステル樹脂を開発         2024.6.20

 ユニチカは、金属を使用しない触媒を使用したポリエステル重合技術を開発し、工業化技術を確立したと発表した。従来、ポリエステルは触媒としてアンチモンやゲルマニウム、アルミニウム、チタンなどの金属系触媒を使用して重合していた。近年、金属を使用しないことが望まれるケースや、金属の高騰などから、金属を使用しない触媒・重合技術の開発が望まれていた。非金属触媒によるポリエステル樹脂は、金属触媒による樹脂と比較して物性は同等で、透明性に優れ、溶融加工時の分子量もほぼ同等で低下しないとしている。

東ソー 「新規相溶化技術を利用したポリオレフィンへの接着」が高分子学会技術賞を受賞        2024.6.21

東ソーは、「新規相溶化技術を利用したポリオレフィンへの接着」剤の開発で、高分子学会より2024年度高分子学会技術賞を受賞したと発表した。ポリオレフィンはその化学的性質から接着特性が低く、接着剤による他材料との接着には課題があった。東ソーは、ポリウレタンをベースに新規接着剤を開発した。開発接着剤をポリオレフィンに塗布し熱処理すると、界面で溶融混合し釘状のポリオレフィン層が形成され、ポリオレフィンに表面処理することなく、接着剤層へ食い込み接着性が向上する。

製品

クラレプラスチックス リサイクル塩ビを使用したターポリンを発売       2024.6.27

 クラレプラスチックスは、環境対応型ターポリン ハイドロックスの新銘柄として、リサイクル塩化ビ樹脂フィルムを使用した ハイドロックス-Rを2024年7月より発売すると発表した。ハイドロックス-Rは、塩ビ複合材の製造工程で発生する端材や規格外品などから塩ビのみを抽出しマテリアルリサイクルしたもので、重量比でリサイクル塩ビを7割ほど使用している。建築工事用シート2類クラス相当の品番RE-200として製品ラインナップを追加し、初年度1億円、2026年度には5億円の販売を目指す。

適用

三菱ケミカル PC樹脂が英国企業のスマホ筐体に採用される         2024.6.20

 三菱ケミカルグループは、同社のポリカーボネート樹脂「XANTAR Kシリーズ」が、イギリスのデジタル製品企業NOTHINGのスマートフォン「Nothing Phone (2a)」の背面版筐体に採用されたと発表した。XANTARは一般のPC樹脂よりも表面硬度が高く、耐擦傷性が向上していて、スマホ筐体用途やタイヤ自動車内装部品などで採用が拡大している。NOTHINGのスマホ(2a)は、筐体が透明で背面が光る構造になっていて、XANTAR Kシリーズの透明性、表面硬度、加工性が採用にあたり評価されたとしている。

三井化学 3Dプリンティング部品がトヨタのコンセプトカーに搭載       2024.6.26

 三井化学は、子会社であるアークと共同で開発したダイレクトペレット式3Dプリンティング部品と、三井化学が開発した一方向性炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂シート「TAFNEX CF/PP」が、トヨタ自動車のタイ関連会社TCD ASIAが企画したコンセプトカー「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」に搭載されたと発表した。ダイレクトペレット式3Dプリンターは、射出成形用の機構を応用して樹脂ペレットから直接造形することで、大型の造形物を高速で造形できる。TAFNEX CF/PPは、炭素繊維とPPを複合化した一方向性テープ(UDテープ)で、射出成型品やプレス加工品への部分補強や、パイプ形状、積層板計上への加工が可能だ。今回、TAFNEX CF/PPはフードエアダクト、フロントバンパーの一部加飾部品として、ダイレクトペレット式3Dプリンティング部品はフードエアダクトのベゼル(枠)部品に搭載された。

リサイクル

東洋エンジニアリング 混合廃プラの油化技術を共同開発へ         2024.6.24

 東洋エンジニアリングは、タイのSCGケミカルズと共同で、SCGケミカルズの関連会社サーキュラープラス社(CirPlas)が保有する使用済み混合廃プラスチックの油化技術による石油化学原料化プロセスに関して、スケールアップ及び事業機会拡大の協業についての共同開発契約書(JDA)を締結したと発表した。CirPlasの技術は、独自の多機能材料を用いることでプロセス温度を下げ、軽質分解油の収率を高める油化プロセスだ。東洋エンジは2022年1月にCirPlas社の油化技術商用化に向けた共同検討に関する基本合意書を締結していて、東洋エンジが反応装置の設計を手掛けている。両社は、新規の実証プラント反応装置を建設中で、これにより商業化へのスケールアップに近づく。新規実証プラントは2025年初頭に運転を開始する予定。東洋エンジは、廃棄プラスチックの油化技術により、循環型社会への実現に貢献していくとしている。

M&A・出資

日本ゼオン 3Dインクジェット米国スタートアップに出資         2024.6.20

 日本ゼオンは、CVC運営する子会社 Zeon Venturesを通して、マルチマテリアル3Dインクジェット・プリント・システムを開発する米国スタートアップInkbit社に出資したと発表した。Inkbit社は、複数の特性の異なるポリマーを組み合わせた3Dプリント部品を試作から量産まで同じプラットフォームで実現可能なシステムVision-Control Jetting(VCJ)を開発している。日本ゼオンは、Inkbit社のVCJを活用し、日本ゼオンの製品の新たな用途開発及び新素材の開発を目指すとしている。

体制

クラレ MMA生産能力を半減  2024.6.27

 クラレは、メタクリル樹脂の原料となるメタクリル酸メチル(MMA)の生産能力を半減すると発表した。現在年間67,000トンあるMMAの生産能力を2025年7月より半減し、外部販売は停止する。これにより、川下製品である硫安やメタクリル樹脂成形材料の生産能力も縮小する。クラレは、1959年より新潟事業所でMMAやメタクリル樹脂などを製造販売してきたが、市場環境変化や設備老朽化による維持更新費用の増加により競争力が低下していた。MMA生産能力の最適化により競争力の強化を図る。

住友ゴム 九州大学と「高分子バイオマテリアル研究に関する寄附研究部門」を開設               2024.6.27

 住友ゴム工業は、九州大学と6月1日付けで再生医療などの医療技術を研究開発する「高分子バイオマテリアル研究に関する寄附研究部門」を開設したと発表した。住友ゴムは、これまで九州大学と機能合成高分子技術の共同研究を推進してきた。今回の研究部門は、特定の細胞の接着性を制御するための特殊高分子の設計・合成、および細胞・タンパク質・高分子間の相互作用を解明するためのナノバイオ面解析で、高分子を用いた人工組織や医療材料などの高分子バイオマテリアル学を創成する研究を行うとしている。

ニュースウォッチ

  • 出光、SPS新グレード 耐ヒートショック性10倍 2024.6.17
  • 日本ゼオン、徳山工場を再編 ゴム製造設備の6割生産停止へ 2024.6.18
  • 三井化学が住友精化と協業 世界初EBTラテックスを開発 2024.6.18
  • 住ベ、LiB製作にフェノール樹脂部材提案 2024.6.21
  • ADEKA 廃車のプラリサイクル、コンソーシアム参画 2024.6.21
  • 高分子材料の劣化評価 OKIエンジ、サービス拡充 2024.6.21
  • コベストロ、身売り交渉入り ADNOCが1株62ユーロ提示 2024.6.25
  • 信越ポリマー、タイで高付加価値品展開 2024.6.24
  • カネカ、生分解性ポリマーの量産化に着手 兵庫・高砂に専用設備 2024.6.27
  • 三井化、AR向け攻勢 グラス用光学樹脂 2024.6.26
  • アイカ工業、昆山拠点の生産能力を2倍へ 2024.6.26
  • コベストロ、経費削減 年4億ユーロ=AI活用で効率化 2024.6.26
  • 住友ベークライト、フェノール樹脂再生技術引き合い 2024.6.27
  • 住友電工がグリーン水素向け電極材 消費電力を1割低減 2024.6.27
  • 三菱ガス化学、CO2由来PC実装急ぐ 2024.6.28

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