研究
産総研 金属と同レベルの熱伝導率を持つゴムシートを開発 2024.5.15
産総研は、東京大学大学院新領域創成科学研究科の研究グループが、窒化ホウ素フィラーとポリロタキサンを複合化し、金属のように熱を通す絶縁体のゴムシートを開発したと発表した。改質したフィラーを高分子溶液に分散し、交流電界をシート厚み方向に印加することでフィラーの配向度を高めた。最大フィラー濃度65wt%でも配向を示した。厚み方向の熱伝導率は11W/mKと金属並みであった。作成したシートのヤング率は58MPaとゴムレベルに低く、体積電気抵抗率は1.9×10^11Ωcmと絶縁を示す。
プラスチック、原料
豊田合成 木質バイオ材活用プラスチック素材を開発 2024.5.21
豊田合成は、森林研究・整備機構と共同で、スギの成分を配合したプラスチック素材「改質リグニン配合プラスチック」を開発したと発表した。ウレタンやナイロン樹脂にスギから抽出した改質リグニンを配合し、石油由来材の一部を代替可能とした。全国に豊富に存在するスギ材の有効活用に関する取り組みの一環であるとともに、アレルギー源であるスギ花粉の低減効果も期待できる。豊田合成はハンドルなどの内外装部品への適用を視野に開発を進めるとしている。
UBE バイオコンポジット材がバイオマスマーク認定を取得 2024.5.28
UBEは、バイオマス材を使用したマスターバッチ バイオコンポジット「Torrecot」が、日本有機資源協会(JORA)のバイオマスマーク認証を取得したと発表した。Torrecotは、特殊処理をした木質バイオマス材を50wt%使用。PPなどの樹脂とブレンドして成形加工を行うことで、成形性や物性を損なわずCO2削減に貢献ができる。また、金型が汚れにくい、リサイクル性に優れるなどの特徴もあり、自動車部材・物流資材・建設資材・家具雑貨などの分野での製品展開を進めている。
レゾナック バイオマス製品事業の協業を開始 2024.5.28
レゾナックは、丸紅と共同して、フィンランドNeste Corporation(ネステ)とともに、レゾナック大分コンビナートでのバイオマス原料由来のエチレンやプロピレンなどの製品製造に向けた協業を開始すると発表した。ネステが使用済み植物油や残渣油などから再生したバイオマス原料「NesteRE」を大分コンビナートに供給する。レゾナックは大分コンビナートでの原料の一部を2024年6月よりバイオマス原料に置き換える。3社はISCC PLUS認証のマスバランス方式を活用して、バイオマス認証を付与した製品を製造・販売する。丸紅は協業のサプライチェーン構築での物流マネジメントを担当する。
製品
積水化学 自動車塗装工程用「塗料転写シート」を開発 2023.5.21
積水化学工業は、高機能プラスチックスカンパニーが、自動車塗装工程用「塗料転写シート」を開発したと発表した。独自技術で膜化した塗料層を転写フィルムと支持フィルムで挟んだ構造をしたシートで、自動車の塗装工程を通さず転写により塗装を行うことができる。塗装層には粘着性があり、粘着テープのように貼り付けることや手貼りが可能であるほか、真空成型も可能だ。自動車の塗装工程はCO2の排出量が多く、塗装転写シートを使用することによってCO2削減に貢献できるとしている。
東レ PFASフリーモールド離型フィルムを実用化 2024.5.22
東レは、半導体向けPFASフリーのモールド離型フィルムを実用化したと発表した。欧州規制で検討されている有機フッ素化合物を含まず、モールド工程での金型汚れを1/5以下に抑制することができる。東レは自社技術NANOALLOYにより、金型汚れ原因物質を遮断するガスバリア性と、モールド成型時のフィルム破れやシワの転写を抑制する耐熱柔軟性を離型フィルムに付与した。
適用
三菱ケミカル DURABIOがホンダの二輪車フロントスクリーンに採用 2024.5.17
三菱ケミカルグループは、植物由来のバイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO」が、ホンダの二輪車「CRF1100L Africa Twin」シリーズのフロントスクリーンに採用されたと発表した。
三菱ケミカル BENEBiOLが風力タービンブレードのコーティング剤に採用 2024.5.20
三菱ケミカルグループは、スペイン・AEROX社の風力タービンブレード用コーティング剤「AROLEP 940シリーズ」のポリウレタン原料として、三菱ケミカルの植物由来ポリカーボネートジオール「BENEBiOL」が採用されたと発表した。BENEBiOLを使用することで従来品よりも優れた耐久性が得られ、メンテナンスの頻度やコストの低減が期待できるとしている。
リサイクル
住友化学 コイズミ照明とアクリル樹脂リサイクルで協業 2024.5.20
住友化学は、子会社である住化アクリル販売が、アクリルリサイクルシート「SUMIKA ACRYL SHEETTM Meguri」を、照明専業メーカーのコイズミ照明に提供すると発表した。Meguriは、アクリル樹脂の製造工程で発生した廃材を回収、選別、粉砕し、再び原料として使用するマテリアルリサイクルで製造される。Meguriを使用したコイズミ照明の製品にはMeguriマークを使用するとしている。
住友化学 米ルーマス社にPMMAケミカルリサイクル技術を供与 2024.5.22
住友化学は、米国の技術ライセンサールーマス・テクノロジー社と、住友化学が保有するアクリル樹脂(PMMA)の高効率ケミカルリサイクル技術に関するライセンス供与・商業化に関する協業契約を締結したと発表した。ルーマス社は住友化学のPMMAケミカルリサイクル独占ライセンスパートナーとなり、協業により商業化を加速させ、世界各地での社会実装を目指すとしている。
M&A・出資
グリーンケミカル 王子HDより資金調達 2024.5.21
バイオマス原料由来の化成品を開発する東京工業大学発のスタートアップ グリーンケミカルは、王子HDに対する第三者割当増資を実施し、資金調達を行ったと発表した。グリーンケミカルは、非可食性バイオマスから製造する糖液を原料に芳香族系バイオプラスチック原料の製造技術開発に取り組んでいて、現在糖液のパイロット製造設備を建設中。王子HDの資本受入れを機に、協業を進めるとしている。
体制
信越化学 中国浙江省にシリコーン製品製造工場を新設 2024.5.15
信越化学工業は、中国・浙江省平湖市に中国でのシリコーン事業拡大のため、新会社「信越有机硅(平湖)有限公司」を設立し、シリコーン製品製造工場の新設を行うと発表した。平湖市にある独山港経済開発区に投資額約21億円をかけて4万m2の土地を確保し、汎用シリコーンエマルジョン、機能性シリコーンエマルジョン、環境配慮型シリコーン製品などを生産する計画。2026年2月の完成を目指すとしている。
ユニチカ 重縮合ポリマー製造受託事業を強化 2024.5.15
ユニチカは、2022年5月より開始した重縮合ポリマーの開発・製造受託事業を強化したと発表した。受託製造需要の高まりから、ユニチカの愛知県岡崎市にある岡崎事業所でのポリエステルの溶融重合製造体制を年数百トンから数千トンレベルに増強した。比較的粘度の高い重縮合系ポリマーの受託製造ニーズも高く、受託体制を強化し事業の拡大を目指すとしている。
岐阜プラ 米国に工場建設 2024.5.28
岐阜プラスチック工業は、米国に現地法人「RISU AMERICA,INC.」を設立し、インディアナ州に製造拠点新工場を建設すると発表した。日本国外では初の工場となり、プラスチック製パレットの製造を行う。2025年9月の竣工を予定する。
ニュースウォッチ
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