研究
東京大学、群馬大学 プロピレン、CO、H2O2から微生物分解プラスチックを合成 2024.5.9
東京大学大学院工学系研究科 野崎京子教授らの研究グループと、群馬大学大学院理工学部 粕谷健一教授らの研究グループは、共同でプロピレンと一酸化炭素(CO)と過酸化水素(H2O2)から、生分解性プラスチックで知られる3-ヒドロキシブタン酸(P3HB)と同じ構造を持つ高分子を合成する方法を発見したと発表した。プロピレンとCOからポリケトンを合成し、塩化アルミニウム存在下で酸化剤としてH2O2を用いることで、ケトン全体の約40%がエステル化され、P3HBと同一構造を含むポリケトンエステルを得た。微生物による分解性も確認され、生分解性ポリ乳酸に添加した場合、耐久性の向上が示唆されたとしている。
プラスチック、原料
クラレ ポリアミド樹脂のコネクター向け耐ブリスターグレードを開発 2024.5.8
クラレは、車載コネクター向けに加熱により成形品表面に生じる膨れる現象であるブリスターの発生を大幅に抑えた耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」の耐ブリスターグレードを開発したと発表した。車載電装部品はプリント基板上にはんだを溶かす表面実装(SMT)化が進んでいて、耐ブリスター性の向上が求められている。ジェネスタ耐ブリスターグレードは、既存グレードに比べブリスター発生率を大幅に抑えている。自動車用途のほか、スマホやPC向けコネクタなどの電子・電気用途などでの採用拡大が期待される。
東レ 自動車ワイヤーハーネス用にリサイクルPBT樹脂グレードを共同開発 2024.5.14
東レは、矢崎総業と共同して、製造工程から排出される端材を利用した自動車ワイヤーハーネス用コネクターに適用可能なリサイクルPBT樹脂グレードを開発したと発表した。東レは、製造工程から出る端材等を解重合/再重合したPBT樹脂のケミカルリサイクル材「“Ecouse” TORAYCO」を展開している。今回、矢崎総業が製造するワイヤーハーネス用コネクターで、リサイクル材料使用時の品質安定性に課題があり、東レはケミカルリサイクルPBT樹脂を最適化してリサイクルPBT樹脂グレードを共同開発した。
適用
三菱ケミカル 植物由来のポリカーボネートジオールがローソン新店舗に採用 2024.5.9
三菱ケミカルグループは、植物由来のポリカーボネートジオール「BENEBiOL(ベネビオール)」が、2024年4月11日に青森県青森市にオープンした「ローソン青森中央高校前店」の内装仕上げ用塗料に採用されたと発表した。BENEBIOLがローソンの店舗に採用されたのは2回目となる。
JSP バイオマス25%配合発泡PEシートを販売 2024.5.10
JSPは、梱包資材用途で使用されている発泡ポリエチレンシート「ミラマット」シリーズに、バイオマスポリエチレンを25%配合した「ミラマットA-Bio」を2024年1月より販売開始したと発表した。ミラマットと同等の物性を維持しながら、CO2排出量を50%以上削減したとしている。
大日本印刷 環境配慮型自動車用加飾PPフィルムを量産化 2024.5.14
大日本印刷(DNP)は、ポリプロピレン(PP)ベースの自動車内外装材向け加飾フィルムの量産技術を確立したと発表した。DNPのコンパーティング技術を応用し、意匠性と物性・成形性の両立を実現した。現在汎用的に使用されているABSよりも原料製造時のGHG排出量が少なく、リサイクルに貢献することで環境に配慮した加飾フィルムとなっているとしている。
東レ CO2削減と経済性を両立するフィルム包装材・技術を共同開発 2024.5.15
東レは、Dow、スペインのCOMEXI、サカタインクス、SGK JAPAN等と、リサイクル性と印刷プロセスでのCO2削減と、経済性を両立させた表刷りモノマテリアルフィルム包装材技術を共同で開発したと発表した。欧州の食品プラスチック規制の包装材と包装廃棄物に関する指令に対応して、DowのPE樹脂をベースに指令に対応したガスバリア性と表刷り適正の高いPEフィルムを開発した。東レは、水での現像が可能な製版プロセスと、新規フレキソ版RESOLUCIAをフィルム包装材印刷に適用した。
リサイクル
出光興産 中外製薬製造工場からの使用済みプラの再資源化で実証実験を開始 2024.4.30
出光興産は、中外製薬と共同して、中外製薬の浮間工場で発生する使用済みプラスチックの油化ケミカルリサイクルに向けた実証実験を開始すると発表した。出光興産の子会社であるケミカルリサイクル・ジャパンが、油化ケミカルリサイクルにより生成油を生産する。将来的には、使用済みプラスチック由来の生成油を原料とした化学品や燃料油の生産を目指すとしている。
体制
JSP EPP製品名を「ARPRO」に統一 インド、メキシコに新工場 2024.4.30
JSPは、4月30日新中期経営計画「Change for Growth 2026」を発表した。欧米を中心に発泡ポリプロピレン(EPP)事業が堅調であることから「ピーブロック」の製品名を「ARPRO」に全世界で統一し、ブランド強化を図った。また、インド・マハラシュトラ州プネに2024年10月を目途に、メキシコ・コアウイラ州に2025年第1四半期を目途に新工場を建設し、稼働予定だと公表した。
旭化成、三井化学、三菱ケミカル 西日本でのエチレン製造設備で連携検討を開始 2024.5.8
旭化成、三井化学、三菱ケミカルの3社は、西日本に各社が保有するエチレン製造設備について、カーボンニュートラル推進のため、エネルギー使用量削減や原燃料の低炭素化などの検討を共同で推進すると発表した。旭化成と三菱ケミカルは岡山県倉敷市南部の水島コンビナートに年間生産量496千トンのエチレン製造設備を、三井化学は大阪に同455千トンのエチレン製造設備を保有していて、エチレン製造設備より製造されるエチレンは各種樹脂材料として使用される。今後3社は、石油資源に代わるバイオマスの原料化、低炭素燃料への転換等の具体的方策や将来離最適生産体制の検討等に取り組んでいくとしている。
大王製紙 CNF複合樹脂の商用プラントを設置 2024.5.8
大王製紙は、セルロースナノファイバー(CNF)複合樹脂「ELLEX-R67」の商用プラントを愛媛県四国中央市にある大王製紙三島工場に設置すると発表した。約40億円の投資を行い、年産2,000トンの設備を導入する。2025年度中の稼働を予定する。大王製紙はこれまでCNFの水分散液ELLEX-Sや乾燥体ELLEX-P、成形体ELLEX-Mなどを開発している。ELLEX-R67は、部分的にCNF化したセルロースを67%含む樹脂ペレットで、樹脂材料の設計自由度が高い。軽量で、プラスチック使用量が削減できることから、自動車部材、家電製品、建材、日用品、容器・包装資材などの分野での展開を推進している。
王子HD CNF/天然ゴム複合材の量産試験設備を導入 2024.5.13
王子HDは、CNF創造センター内にセルロースナノファイバー(CNF)と天然ゴムの複合材マスターバッチ製造設備を導入したと発表した。年間約100トンの生産能力がある。王子HDはこれまでリン酸エステル化CNFを、天然ゴムに添加されるカーボンブラック(CB)の代替材料として使用する研究を行ってきた。信州大学との共同研究で開発されたCNF/天然ゴム複合材は、天然ゴムの伸び特性はそのままで、CB配合並みの硬度を保持する。環境配慮型素材としてタイヤや防振ゴムなどの自動車用途、建築、家庭、医療用ゴム製品などのへの展開を推進する。
ニュースウォッチ
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