プラスチック関連動向 2024.12.6
プラスチック関連動向 2024.12.6

プラスチック関連動向 2024.12.6

研究

理化学研究所 海水中で分解できる超分子プラスチックを開発         2024.11.22

 理化学研究所 創発物性科学研究センターの相田卓三グループディレクターらの研究チームは、海水中などで容易に原料にまで解離し、生化学的に代謝される「超分子プラスチック」を開発したと発表した。2種類のイオン性モノマーが水素結合強化静電相互作用で接着して架橋構造を形成することで、超分子ポリマーによるガラス状プラスチックが得られることを発見した。開発した超分子プラスチックは、加熱成形加工ができ、既存プラスチックとそん色ない物性を確認すると同時に、塩水に入れると原料モノマーに乖離し、バクテリアなどの生化学的な物質代謝が可能で、マイクロプラスチックを形成しないとしている。

プラスチック、原料

プリンテック 半導体パッケージ用樹脂を開発   2024.11.26

 エア・ウォーターグループで半導体封止樹脂、コア基板の製造販売を行うプリンテックは、マレイミド樹脂でMEKに溶けやすい半導体パッケージ用樹脂「HR樹脂」を開発したと発表した。一般的なマレイミド樹脂のMEKへの溶解度は10%程度であるのに対し、HR樹脂は分子構造を調整することで約70%の溶解度を実現した。エポキシ樹脂など他の樹脂と複合化することで、高耐熱、低熱膨張といった特性を得ることができ、最新の半導体パッケージ基板の高い要求仕様に対応することができるとしている。

ADEKA PP透明化添加剤の販売を開始        2024.11.22

 ADEKAは、樹脂添加剤の新ブランドとして透明化剤「トランスパレックス」(製品名:アデカトランスパレックス CAシリーズ)を立上げ、2024年11月から米国とアジア圏を中心に販売を開始したと発表した。PPに少量添加することで、樹脂の結晶化核生成を制御し、結晶構造を小さくすることで世界最高の透明性を得ることができる。ADEKAによるとPSやPETからの代替が可能になり、食品容器や医療器具、化粧品ボトルなどへの適用が見込まれるとしている。

レゾナック 半導体パッケージ向け新規感光性フィルムを開発         2024.12.2

 レゾナックは、先端半導体の製造に使用する高解像度感光性フィルムを開発したと発表した。先端パッケージの有機インターポーザ―で線幅と配線間隔が1.5μmという微細な銅回路が形成できるとしている。

製品

リンテック 再生PET樹脂100%によるガラス用フィルムを開発         2024.11.27

 リンテックは、表面基材に再生PET樹脂を100%使用したガラス用フィルムを開発したと発表した。ガラス飛散防止タイプの窓ガラス用フィルムを12月2日に、ガラス装飾タイプのフィルムを1月6日に発売する。透明飛散防止タイプのフィルムは、フィルム1m2あたり600ml PETボトル2本に相当する70gのリサイクル原料を使用した。ガラス破損時の飛散を防止すると同時に、退色の原因となる紫外線を99%以上カットする。

デンカ 環境配慮型PSシートを発売     2024.12.2

 デンカは、バイオマス由来の原料を配合したポリスチレンシート「バイオマスBOSP」の販売を開始したと発表した。原料にマスバランス方式により割り当てられたISCC PLUS認証製品として、コンビニエンスストア ファミリーマートで販売されているデザートの容器に採用された。

適用

カネカ 生分解性バイオポリマーがスタバのストローに採用         2024.12.6

 カネカは、生分解性バイオポリマーGreen Planetを用いたストローが、日本国内のスターバックス店舗で採用されたと発表した。2025年1月に沖縄県内の32店舗で先行導入され、3月以降全国の店舗でも順次展開される。これまでも、スタバの店舗ではGreen Planet製カトラリーが採用されていた。スタバは環境対応として2020年以降、紙製のストローを提供していたが飲んでいる最中にストローがふやけるなどの課題があった。Green Planetの採用で飲み心地の改善を図り顧客満足度を向上させる。

リサイクル

産総研、ブリヂストンなど プラスチックのマテリアルリサイクル技術確立に向け共同研究を開始 2024.11.29

 産総研、ブリヂストンは、東北大学、滋賀県立大学と共同で、ポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術確立に向けた共同研究を開始したと発表した。廃プラスチックの構成比率が高いPEとPPの界面に、ブリヂストンが開発した高分子エチレン系エラストマー(ESB)を接着させることで、界面が強靭化され、接合性が向上することが判明している。共同研究では、ESBの最適分子設計を行うことで、PEとPPを使用した再生素材の強度を高め、高付加価値化を図り、プラスチックのマテリアルリサイクル実現に向けた可能性を検討するとしている。

M&A・出資

レゾナック 表面保護フィルム事業をサンエー化研に譲渡         2024.11.18

 レゾナックは、8月7日付にサンエー化研と契約を締結していた表面保護用フィルム事業の譲渡に関して、11月15日にクロージングを行ったと発表した。レゾナックの表面保護用フィルム事業は、旧日立化成時代の1967年に操業を開始し、半導体リードフレームメッキ保護用などに使用されてきた。保護フィルム業界は市場の成熟が進み、今後大きな成長や他事業とのシナジーが見込めないと判断し譲渡することとなった。

住友化学 ハイケムへカプロラクタム製造技術を譲渡         2024.11.26

 住友化学は、住友化学が保有する気相法ベックマン転位カプロラクタム製造技術に関する知財をハイケムに譲渡する契約を締結したと発表した。この技術は、シクロヘキサノンオキシムを原料として、硫酸アンモニウムを副生しないでカプロラクタムを製造する技術で、高品質なカプロラクタムを製造することができる。住友化学は事業の見なおし行っていて、樹脂関連事業については縮小方向に動いている。ハイケムは、この技術の知財を継承して、世界各地でライセンス展開する予定だ。

体制

日本ポリケム PPコンパウンドの海外拠点生産能力増強         2024.11.25

 日本ポリケムは、自動車産業の伸長を背景に、米国及びインドの子会社のPPコンパウンド生産能力を増強すると発表した。米国インディアナ州の子会社Mytex Polymer USについては、約6,800米ドルを投資して、現在の生産能力9万3千トン/年から10万5千トン/年に増強する。インド・ハリアナ州の子会社Mytex Polymer Indiaでは、現在の生産能力1万8千トン/年から2万5千トンに増強する。米国子会社の増強完了は2025年初頭、インド子会社は2026年初頭の増強完了を予定する。

リケンテクノス ベトナムでのコンパウンド生産能力増強         2024.11.29

 リケンテクノスは、ベトナム子会社が塩化ビニル樹脂コンパウンド生産設備の増強完了に伴う竣工式を開催したと発表した。成長が続くASEAN市場を重点地域として、2021年より計画を進め、2024年11月より新工場・新倉庫での設備稼働を開始した。今回の生産整備増強により年間生産能力は約1.5倍に増加する。自動車用電線や一般電線用途の需要を取り込み、ベトナム市場での販売拡大を目指すとしている。

タキロンシーアイ 新研究所「三田総合研究所」 起工式を実施         2024.11.29

 タキロンシーアイは、兵庫県三田市に新たな総合研究所「三田総合研究所」を建設するにあたり、11月27日に起工式を行ったと発表した。現在、滋賀工場、網干工場、岡山工場に分散している研究開発機能を三田総合研究所に集約し、連携強化を図る。竣工は2026年4月を予定している。

三菱ガス化学 中国でのPOM生産設備を稼働2024.11.29

 三菱ガス化学は、中国で間接出資する大宝理工程塑料(南通)でポリアセタール(POM)の商業運転を開始したと発表した。大宝理工程塑料への出資者は、ポリプラスチックスと三菱ガス化学の100%子会社グローバルポリアセタールのJVピー・ホールディングスとなっている。中国でのIupital及びKEPITALといったPOMを製造することで、グループのタイ、韓国での製造拠点を補強し、グローバルな生産供給体制を強固なものにしたとしている。

東ソー HDI誘導体の生産能力を増強  2024.12.3

 東ソーは、山口県周南市の南陽事業所でのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)誘導品(商品名:コロネート)の生産能力増強を行うと発表した。投資額約60億円をかけて、現在の生産能力を50%引き上げ、増強後の生産能力は年間3万トンとなる。2025年5月に工事を着工し、2026年8月以降の運転稼働を予定している。

DIC 合成樹脂製造プラントをデジタルツインで運転自動化へ         2024.12.5

 DICは、日立製作所と共同で、デジタルツイン技術プロセス・インフォマティクスを使用してDICの国内合成樹脂製造プラントの運転自動化運転を2025年1月より本格稼働すると発表した。従来の製造現場では、サンプリングした製品状態や品質を確認しながら、作業者が制御システムを操作していた。DICは2021年より日立とAIを用いた反応予測モデルを作成し、デジタルツインによるサイバー空間上にプラント運転状況を再現、プロセス・インフォマティクスを活用し、最適な運転条件を導き出し、現場にフィードバックすることを可能にし、現場でのサンプリング確認の低減、品質の安定化、作業効率の向上などを図ってきた。両社は今後、システムもDICの国内3拠点、海外1拠点へ展開していくとしている。

ニュースウォッチ

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