研究
埼玉工業大学 深谷ねぎから資源化技術を開発 2024.10.17
埼玉工業大学工学部生命環境化学科 本郷照久教授の研究チームと工学部機械工学科福島祥夫教授の研究チームは連携して、出荷時に破棄されているねぎの葉を資源化し、生成したバイオプラスチック材料を成形加工する技術を開発したと発表した。本郷教授の研究チームが、ねぎの葉からセルロースを抽出する技術を確立し、パナソニック・プロダクションエンジニアリングの協力を得て、ネギ由来のセルロースを55%を含むPPペレットを作成し、福島教授の研究チームが、石油由来樹脂と同様に成形する技術を開発した。研究チームは試作品として「深谷ねぎ」をモチーフにした箸置きを製作した。
プラスチック、原料
東洋紡エムシー 熱可塑性エラストマーにバイオマス原料を使用 2024.10.9
東洋紡エムシーは。熱可塑性ポリエステルエラストマー「ペルプレン」に原料の一部にバイオマス由来成分を使用したエコシリーズを開発したと発表した。ペルプレンは、耐熱性、耐薬品性、屈曲疲労性、リサイクル性に優れた熱可塑性エラストマーで、自動車部品や電線被覆材、日用品などに採用されてきた。エコシリーズは、原料に植物由来のバイオマス素材を使用し、従来品と同等の物性を確認している。初回サンプルではバイオマス比率25%、55%の2グレードを作成しサンプルワークを行っていて、2025年4月の本格販売を目指している。
三菱ケミカル 高バイオマスグレード ポリカーボネートジオール「BENEBiOL」の提供を開始 2024.10.21
三菱ケミカルグループは、植物由来のポリカーボネートジオール「BENEBiOL(ベネビオール)」のバイオマス比率を高めたグレードの提供を開始したと発表した。BENEBiOLはポリウレタン樹脂の主原料として使用されていて、従来の石油由来製品と比べ柔軟性と耐薬品性の両立や耐汚染性などの機能をポリウレタン樹脂に付与できる。BENEBiOLの既存グレードはバイオペース度が20~50%であったが、高バイオマス度グレードであるHSS及びNLDSでは80%以上を達成した。
製品
DNP バイオマス度50%のPEフィルムパッケージの販売を開始 2024.10.9
大日本印刷(DNP)は、バイオマス材料を使用した「DNP植物由来包材 バイオマテック」で、バイオマスを重量比で50%使用したPEフィルムのパッケージを2024年10月9日から提供を開始したと発表した。DNPは従来の石油由来の原料を使用したパッケージから切り替えることで、製品のライフサイクル全体でCO2排出量を約15%削減できるとしている。
ユニチカ 高周波基板向け「特殊PPSフィルム」を開発 2024.10.10
ユニチカは、DICと共同で、高周波基板に適用可能な「特殊PPSフィルム」を開発したと発表した。DICのポリフェニレンサルファイド(PPS)の重合・コンパウンド技術と、ユニチカのフィルム化技術を融合した製品で、液晶ポリマー(LCP)フィルムでは誘電特性が落ちる高温環境下や高周波数域でも安定した特性を示し、自動車やスマートフォンなどの用途展開が期待できる。また、異素材との高い接着特性を持つため、フレキシブル銅張積層板(FCCL)作製時にも幅広い加工方法に対応できるとしている。ユニチカは、顧客との連携を強化し、特殊PPSフィルムの量産体制の構築を進めていくとしている。
DNP ケミカルリサイクルPETを用いた透明蒸着フィルムを開発 2024.10.22
大日本印刷(DNP)は、ケミカルリサイクルしたPETを使用して水蒸気・酸素等のガス透過を防ぐ「DNP透明蒸着フィルム IB-FILM」を開発したと発表した。開発したフィルムは、マテリアルリサイクルでは異物混入や汚染除去不足などにより高い衛生性が確保できないという課題を解決し食品衛生法に適合するほか、独自の蒸着・コーティング技術により従来のIB-FILMと同様の高いガスバリア性や耐熱性も兼ね備えている。今後、食品や医療・医薬品、産業資材向けに製品を提供し、2026年度までに単年で30億円の売上を目指すとしている。
適用
クラレ メタクリル樹脂成形材料 ISCC PLUS認証を取得 2024.10.15
クラレは、新潟県胎内市にある新潟事業所で生産するメタクリル樹脂成形材料「パラペット」が、ISCC PLUS認証を取得したと発表した。今回の認証ではバイオマス原料のほか、廃棄メタノールをメタクリル樹脂成形材料生産時のリサイクル原料として活用する工程も認証された。認証取得により、製品はマスバランス方式でのカーボンフットプリントが担保される。
リサイクル
三井化学 軟包装フィルムの水平リサイクルしたパウチを開発 2024.10.10
三井化学は、TOPPAN及びアールエム東セロと共同で、印刷済みOPPフィルムを元の軟包装フィルムに水平リサイクルしたOPPフィルムを開発したと発表した。TOPPANで発生した印刷後の廃棄フィルムを回収し、三井化学の名古屋工場でインキを除去した上でペレット化し、アールエム東セロでフィルムに加工する。再生フィルムは、印刷性やラミネート性、製袋などの量産加工適性を確認し、またパウチとしての物性評価で機能確認をしているとしている。今後3社は、軟包装リサイクルの普及・発展を目指し、2025年度の社会実装を目指すとしている。
M&A・出資
鈴与 EFPolymerと資本業務提携を締結 2024.10.17
鈴与商事は、沖縄県に本社がある100%オーガニック由来の吸水性ポリマー「EFポリマー」を製造・販売するEF Polymer(EFP)と業務資本提携の基本契約を締結したと発表した。EFPは沖縄科学技術大学院大学発のスタートアップとして、かんきつ類やバナナの皮などを原料とした超吸水性ポリマー「EFポリマー」を製造している。鈴与商事は、静岡県内で食品残渣等によるメタン発酵バイオマスプラント運営を行い、プラントから排出される発酵残渣を肥料とする取り組みを行っているほか、トマトやアイパラガスの大規模農場生産に取り組んでいる。両社は業務提携を基に、EFPの肥料や農業向け用途の開発や、製品開発を行うほか、ヤシ殻培地(ココピート)の用途の共同開発を行っていくとしている。
信越ポリマー 食品包装フィルム子会社を吸収合併 2024.10.24
信越ポリマーは、100%子会社である食品包装用フィルム事業を行う茨城県筑西市に本社があるキッチニスタを吸収合併すると発表した。組織運営を一体化し経営の効率化を図る。キッチニスタの2024年3月期の売上高は53億円、営業利益は4億1,700万円であった。
体制
旭化成 伊アクアフィル社と3Dプリンター用樹脂で協業 2024.10.8
旭化成は、イタリア・トレントに本拠のあるアクアフィル社と、3Dプリンター用樹脂材料として、アクアフィル社のケミカルリサイクルポリアミド6(PA6)「ECONYL」を使用するための覚書を締結したと発表した。覚書を通じて、旭化成はセルロースナノファイバー(CNF)を用いた3Dプリンター用樹脂にアクアフィル社の「ECONYL」を適用した製品を開発する。ECONYLは、使用済み漁網やカーペットを原料とした廃ポリアミドをモノマーに解重合し、再度重合したPA6だ。旭化成は耐熱性の高いCNFと組み合わせることで、造形性と強度が両立する材料を開発し、自動車や航空宇宙をはじめとした幅広い分野に提供していくとしている。
三井化学、出光 千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討FEEDに移行 2024.10.9
三井化学及び出光興産は、検討を進めてきた千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討においてFSを終了し、FEED(基本設計)に移行すると発表した。両社は、2010年に千葉ケミカル製造LLPを設立し、千葉地区に両社が保有するエチレン装置の運営統合を行ってシナジーを追求してきたが、中国を中心とした大型石油化学装置の新増設とエチレン需要の減衰により低稼働が続いている。現在、京葉地区には出光のエチレン装置(生産能力37万トン)と三井の装置(生産能力55万トン)があるが、FSでは三井の装置1基に集約するための検討を行い、集約化の実現性を有するとの結論に至り、FEEDに移行することになった。今後、FEEDを進め2025年度下期に意思決定を行うとしている。
三菱ケミカル 偏光板向け光学用フィルム「OPLフィルム」の生産設備増強 2024.10.17
三菱ケミカルグループは、光学用PVOHフィルム「OPLフィルム」の生産設備を、岐阜県大垣市にある中日本事業所大垣地区で増設すると発表した。OPLフィルムは液晶ディスプレイ用偏光板に使用されているが、液晶ディスプレイ画面の大型化に伴い、OPLフィルムの需要も拡大している。三菱ケミカルGrは、需要増加と高品質要求に対応するため、生産設備の増強を行う皇都にしたとしている。増設による生産能力は2,700万m2/年で、増設後のグループ合計の生産能力は15,400万m2/年となる。2027年度下期の稼働を予定している。
三井化学 錦湖三井化学での新設MDI生産設備が稼働を開始 2024.10.23
三井化学は、韓国ソウル市にある関係会社錦湖三井化学に建設していたMDIの増強生産設備が9月末に営業運転を開始したと発表した。MDIはポリウレタンの主原料であるが、住宅建設の断熱性向上や、快適性向上要求の高まりで、ここ数年世界中で需要が増加している。今回MDIの生産能力を年20万トン分増強し、従来の41万トンから合計61万トンになった。
ニュースウォッチ
- 住友化学、廃プラ由来オレフィン製造技術 パイロット設備検討 2024.10.3
- 旭化成、伊社と協業 3D造形用樹脂にCNF 2024.10.9
- 月桂冠など、PET分解酵素の熱安定性向上 2024.10.9
- 日揮、穀物使わないバイオプラ開発 食料資源消費を抑制 2024.10.13