研究
東北大学 PE分子鎖の向きの可視化に成功 2023.9.21
東北大学 多元物質科学研究所の陣内浩司教授らのグループは、電子顕微鏡による構造解析手法をポリエチレンナノ結晶の構造解析に用い、電子染色を行わずにナノ結晶を可視化し、その内部の分子鎖配向を直接解析することに成功したと発表した。TEMの電子線サイズを6ナノメートルに収束しながらも結晶へのダメージを最小とする照射条件を探索し、電子回析スポットの強度と角度を抽出することで、ラメラ晶の形態と内部の分子鎖の配向を可視化した。ラメラ晶の形態と分子鎖配向の可視化に基づいて物性、環境安定性などが分子レベルから理解されることで、ポリエチレン材料の省資源化や次世代材料設計に繋がると期待されるとしている。
産総研 フッ素樹脂の表面改質で接着性を向上 2023.9.28
産総研 製造技術研究部門 リマニュファクチャリング研究グループ 北中佑樹研究員らのグループは、フッ素樹脂の表面を粗化することなく接着性の高い状態に表面改質する新しい手法を開発したと発表した。紫外光を当て励起状態を作り出すことで化学的な機能膜を形成する技術を応用した。フッ素樹脂表面の平滑度を損なわず、簡便に接着性を向上させることができるとしている。
プラスチック、原料
ダイセル 酢酸セルロース樹脂が海洋生分解性バイオマスプラの認証を取得 2023.9.22
ダイセルは、酢酸セルロース樹脂「CAFBLO(キャフブロ)」が日本バイオプラスチック協会(JBPA)の「海洋生分解性バイオマスプラ」認証を取得したと発表した。酢酸セルロースは、セルロースと酢酸を原料として製造され、環境中で微生物によって水とCO2に分解される。ダイセルは酢酸セルロース樹脂に可塑剤を組合わせCAFBLOとして商品化している。
日清紡 海洋生分解性プラを開発 2023.9.27
日清紡HDは、分子鎖にイオン結合を有する海洋生分解性プラスチック素材を開発したと発表した。日清紡は2021年に、海洋汚染の原因の一つであるプラスチックビーズの代替素材として、バイオマスであるアルギン酸を利用した「フラビカファイン®SILKYタイプ」を開発し製品化を進めている。今回、新たに樹脂添加剤への用途拡大を目指し、他のプラスチックと溶融混錬が可能なイオン結合を有する海洋生分解性プラスチックの開発を行った。開発材とセルロースの生分解性を比較したところ海水での生分解性はセルロースを上回り、土壌中ではセルロースと同等レベルの生分解度を確認した。
三菱ケミカル 植物由来PC系TPEを開発 2023.9.29
三菱ケミカルグループは、植物由来のポリカーボネート系熱可塑性エラストマーを開発したと発表した。最大で70%のバイオマスを含有し、融点180℃以上の耐熱性と低温環境でも柔軟性を保有しているとしている。10月4日から6日まで幕張メッセで開催されているサステナブルマテリアル展に出展される。
三菱ケミカル 植物由来ポリオールの生産能力拡大 2023.10.2
三菱ケミカルグループは、三重県四日市市の四日市工場で生産している植物由来原料を使用したポリテトラメチレンエーテルグリコール(BioPTMG)について、製品構成の最適化と製品タンクの配置換えを行うと発表した。BioPTMGは92%以上のバイオマス度を有し、PU樹脂やポリエステル製品の原料として使用される。今回の生産能力拡大で主力グレードについては、従来の石油缶やドラム缶に加えて、ローリーやISOタンクでの出荷も可能となるとしている。将来的には生産能力を3,000t/年まで引き上げることを計画する。
東ソー ベトナムにMDIスプリッターを設置 2023.10.2
東ソーは、ウレタン樹脂の原材料のひとつであるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の中間材料である粗MDIの蒸留分離装置(スプリッター)を建設すると発表した。ベトナム南部のホーチミン郊外の工業団地内に設置し、東南アジアでの旺盛な需要に対応する。2026年10月の商業運転を予定している。
適用
NOK バイオマス材を使用したラバーポールを発売 2023.9.25
NOKは、バイオマス素材を使用した視線誘導標/車線分離標(ラバーポール)「ポストコーン バイオマスタイプ」を10月2日より発売すると発表した。本体のパイプ部分に39%の植物由来ポリマーを採用し、従来のPUエラストマーと同等の特性を維持しているとしている。
リサイクル
ホンダ アクリル樹脂を再利用したコンセプトカーを出展へ 2023.9.26
ホンダは、10月25日から11月5日まで東京ビックサイトで開催されるJAPAN MOBILITY SHOW 2023において、回収した使用済みアクリル樹脂を再利用したコンセプト車SUSTAINA-C ConceptとPocket Conceptを出展すると発表した。資源の循環利用をすることで資源の制限から解放されることをコンセプトとしている。
商船三井、出光興産 海洋プラの再資源化で実証実験を開始 2023.9.26
商船三井と出光興産は、回収した海洋プラスチックの油化ケミカルリサイクルを行うことで再資源化を図る実証実験を開始すると発表した。商船三井のグループ会社日本栄船が広島市の市営桟橋に設置している海洋浮遊ごみ自動回収装置「Seabin」で回収した海洋プラを原料として、出光興産の子会社ケミカルリサイクル・ジャパンが油化ケミカルリサイクル技術により生成油を生産する。出光は生成油が石油化学製品や燃料油の原料として利用か確認を行い、海洋プラの再資源化の実現可能性を検証する。
積水ハウス 塩ビクロスのアップサイクル建材を共同開発 2023.9.27
積水ハウスは、フクビ化学、エスエスピーと共同して、廃棄処理が難しい塩ビクロスを再生したアップサイクル内装壁面建材を開発したと発表した。壁紙に使用される塩ビクロスはPVC、炭カル、パルプによる複合素材であるため、リサイクルが難しかった。積水ハウスの資源循環センターで分別した廃棄塩ビクロスを、エスエスピーがPVCとパルプの混合リサイクル材にし、フクビ化学が異形押出で内装壁面建材に成形する。積水ハウスは戸建住宅や集合住宅の新築やリフォーム向けに、2024年4月を目標に商品化を進めるとしている。
豊田通商 廃漁網のリサイクル事業へ参入 2023.9.28
豊田通商は、主に南米で回収廃漁網から再生ナイロンブランド「NetPlus」を運営している米国スタートアッププレオ社と共に、廃漁網のリサイクル事業に参入すると発表した。豊田通商は、プレオ社が行っている廃漁網の回収スキームを、2023年7月から千葉県外房エリアでテスト回収を行ってきた。今後、プレオ社と協業して廃漁網の回収・選別拠点を国内外に広げていくとしている。
東レ ケミカルリサイクルPBT樹脂製品の展開を拡大へ 2023.9.29
東レは、PBTの製造工程から出る端材等を解再重合によるケミカルリサイクルを行ってきたが、ガラス強化低反りや耐加水分解対応グレードなどのラインナップを拡充すると発表した。今後、環境配慮型樹脂材料のリサイクルPBT樹脂製品を「“Ecouse”TORAYCON」として展開し、マテリアルリサイクルグレードなども開発しているとしている。
東レ ガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクル技術を構築 2023.10.3
東レは、ガラス繊維強化PPS樹脂(PPS-GFRP)のリサイクル新技術を開発したと発表した。PPS-GFRPのリサイクルでは、配合中のガラス繊維が破損し、機械強度の大幅な低下が課題となっていた。東レは、独自のコンパウンド技術を活用し、リサイクル材を50%以上使用しても、バージン材100%と同等の機械強度を持つマテリアルリサイクル用ペレットを開発した。
その他
イチネンHD 樹脂製品製造マルイ工業を子会社化 2023.9.28
イチネンHDは、新潟県胎内市にある樹脂部品製造会社マルイ工業の全株式を取得し子会社化すると発表した。マルイ工業は自動車のエンブレムなどの樹脂部品を製造している。買収に伴いマルイ工業のタイ子会社MSTおよびMSTの子会社MITもイチネンHDの傘下になる。マルイ工業は2017年7月よりプライベートイクイティ ネクストキャピタルパートナーズのファンド下に入っていた。
ニュースウォッチ
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