11月1日、トヨタ自動車は2023年度4-9月期(2Q)の決算発表を行なった。これに先立ちトヨタ系列各社の決算も発表されている。ここでは、トヨタ自動車、トヨタ系部品メーカーの売上高、および、営業利益をグラフ化してみていく。
ビジネス環境
全体にビジネス外部環境の変化が大きな2022年4-9月期であった。
為替影響
日系企業にとって一番大きな影響の一つが急激な為替変動であった。トヨタ自動車の2021年度通期での円/ドル為替レートが1ドル110円であったものが、2022年度2Q累計期間では134円まで上昇した。この影響で円建ての日系企業の売上高は、前年同期比に比べおおむね増加した。
資材高騰
一方で、ロシアのウクライナ侵攻以来、燃料・原材料価格が急騰した。これらの資材価格高騰の影響は、為替差益と営業努力のプラス要因をかき消した。
その他要因
さらに、人件費や研究開発費などの経費の増加に加え、トヨタは9月にロシア事業から撤退を発表。これらの経費マイナス分により営業利益は前年同期に比べ減少した。
トヨタ自動車
販売台数
FY2023.2Qの販売台数は、4,742千台。ここ5年間では最高を記録し、2020年からのコロナ禍の影響は収まったように見える。
地域販売台数
しかし、地域別ではインフレが急激に進み、消費者の購買マインドが減退した北米で販売台数の減少が進んだ。一方で、中国を含むアジア地域は販売台数の増加が顕著で売上高増加、利益確保に貢献した。
生産状況
生産は、中国でのコロナ流行に対して上海でのロックダウンが実施されたことや、長引く半導体不足の影響で、需要はあるが生産が十分に対応できていない状況が続いている。日本ではトヨタ車は車種によっては、注文から6か月以上待たなくてはならない。
売上、営業利益
トヨタ自動車の2022年4-9月期売上高は前年同期比14%増加の17兆7093億円。営業利益は1兆1414億円で、前年同期比▲35%であった。
前年4-9月期の営業利益から為替差益、営業努力で6950億円のプラス要因があったが、燃料・材料費の高騰により6500億円のマイナス要因、さらに、労務費・研究開発費負担増やロシア生産撤退費用計上などその他の要因で6510億円のマイナス要因となった。
トヨタ系列主要企業
トヨタ系各社も傾向はトヨタ自動車と同様であり、円安影響によって売上収益は前年同比よりプラスになったが、営業利益率は横ばい、または、低下したところが多い。
デンソー
デンソーは、トヨタ以外の顧客への売上が拡大し、トヨタGrへの売上50%に対し、トヨタGr以外が38%まで向上した。
アイシン
アイシンは、eAxleの販売を増加しているもののパワートレインユニット販売台数は前年同期に比べ7万台減少となった。また、セグメントで前年同期599億円の利益のあった日本が73億円の損失となった。
豊田自動織機
豊田自動織機は、フォークリフトなど産業車両のほかに、ディーゼルエンジンやカーエアコン用コンプレッサーの販売も北米を中心に増加した。
トヨタ紡織
トヨタのロシア撤退を追従してロシア事業撤退を発表したトヨタ紡織は通期で89億円の損失になると明らかにした。