クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/4/7
クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/4/7

クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/4/7

JOGMEC 技術事業戦略を発表       2025/3/31

 JOGMECは、CCS事業法、水素社会推進法の施行、および第7次エネルギー基本計画を踏まえたエネルギー事業本部の「技術事業戦略」を発表した。目標とアクションは次の通り。

目標: 
 ・安全性の確保(Safety)を前提に、国内外の石油・天然ガス開発での日本企業によるエネルギー開発プロジェクトを技術的に支援し、日本のエネルギー安定供給(Energy Security)に貢献する。
 ・CCS/CCUS、水素等への支援を拡大し、脱炭素とエネルギートランジションを推進し、日本のエネルギー政策の経済効率性(Economic Effiency)や環境適合性(Environment)の達成に貢献する。

アクション:
 ① エネルギー安定供給の維持拡大
 ・日本の石油・天然ガス自主開発比率2030年50%以上、2040年60%以上への引き上げ、および日本企業のLNG取引量1億トンからの拡大への貢献。
 ・メタンハイドレートを含むエネルギー供給源の多角化やガスシフトへの貢献。など
 ②持続可能な国際社会発展への貢献
 ・水素等製造・貯蔵事業の価格差・拠点整備支援などでの知見共有、連携、蓄積の促進。支援案件の事業管理や技術支援。
 ・洋上風力事業、地熱、ネガティブエミッション技術等に貢献への準備。
 ③エネルギー・資源開発における課題解決
 ・CCS/CCUSで、技術知見や産油・産ガス国との関係性を活用。
 ・CCS/CCUSで、事業化支援、先進的CCS事業の推進、将来適地スクリーニングの支援。

 今後も、クリーンエネルギー関係では、日本および日本企業の水素等製造・貯蔵事業、ネガティブエミッション技術、CCS/CCUS事業への関わりが期待される。

水素、アンモニア、LOHC

住友ベークライト AEMの量産準備を推進      2025/4/1

 住友ベークライトは、水素製造装置用アニオン交換膜(AEM)の量産体制確立と顧客開発推進のために、水素製造機能膜量産準備プロジェクトチームを発足したと発表した。開発を行っているのは、ポリノルボルネン(PNB)を使用したAEMで、PFASフリーの材料であるとともに、機能性官能基を導入することでイオン導電性を向上させた。住友ベークライトは、今後2027年までに生産条件の確立、2030年度までの量産化を見込み、将来1,000億円程度の売上事業に成長させる計画だ。

合成燃料

ENEOS グリーンメタノール開発企業に1億米ドル投資 2025/4/2

 ENEOSは、米国でグリーンメタノール製造プロジェクトに取り組んでいるC2X社に、既存出資者であるA.P.モラーHD及びA.P.モラー・マークスと共同で総額1億米ドルの出資を行う。C2X社は米国ルイジアナ州アレクサンドリアで、サンガスと協同でバイオマスを低炭素メタノールに変換するプロジェクトに取り組んでいて、年間50万トン以上のグリーンメタノールの生産を目指す。また、ガス化時に発生する年間約100万トンのCO2を回収し隔離することでカーボンクレジットを創出するとしている。プロジェクトは2026年後半の着工を目指している。
 ENEOSは、このプロジェクトへの出資を通じて、戦略的パートナーシップを強化し、世界規模のグリーンメタノール生産・販売事業へつながることを期待するとしている。

日揮HD 国産SAFサプライチェーン構築に岩谷産業が参加     2025/4/4

 日揮HDは、コスモエネルギーHD、コスモ石油、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYと推進している国産SAF製造サプライチェーン構築に、岩谷産業が参画し、SAF原料となる廃食用油調達支援業務に関する委託契約を締結したと発表した。岩谷産業は、全国約330万世帯のLPガス顧客網や、産業ガス・エネルギー事業のネットワークを活用し、国内廃食用油排出源の開拓を行い、原料調達への協力を行う。
 3月31日には小田急電鉄が、小田急グループ各施設からの廃食用油年間約8.5万Lを提供する基本合意書を締結した。

CO2回収、DAC、CCUS

東邦ガス Cryo-DACのベンチスケール実証を開始   2025/4/1

 東邦ガスは、名古屋大学、東京理科大学と共同で、未利用LNG冷熱を活用して大気中から直接CO2を分離回収する技術「Cryo-DAC」のベンチスケール実証を、4月1日から名古屋大学東山キャンパスで開始したと発表した。Cryo-DACは、2020年8月にNEDOムーンショット型研究開発事業に採択された技術で、LNGがマイナス160℃の液体から常温気体に戻る際に周囲の熱を吸収するエネルギーを活用し、アミンによる化学吸収法でCO2を分離回収する。これまで、中京大学や日揮と研究に取り組み、2025年4月からはAGCが研究開発に参画した。東邦ガスは、2040年頃の実用化を目指し、CO2吸収、再生、昇華プロセスのベンチスケール連続運転実証を行うとともに、大阪・関西万博でも回収試験のデモンストレーションを行うとしている。

AGC DAC用CO2化学吸収液を開発 2025/4/1

 AGCは、DAC用CO2化学吸収液を開発したと発表した。開発した吸収液は、ポリプロピレングリコール(PPG)を用いた非水系化学吸収液だ。従来の水系アミン化学吸収液では、CO2を分離回収する際に熱エネルギーを加えると、水の蒸発によるエネルギー損失があった。開発したPPGを使用したアミン吸収液は、蒸発に伴うエネルギーロスが少なく、またPPGがアミンと相溶性が高いため、安定的にCO2を分離回収することができるとしている。AGCは、2023年より名古屋大学と共同で吸収液の研究を行っていて、Cryo-DACでの採用が見込まれている。

INPEX 首都圏CCS事業で合弁会社を設立   2025/4/1

 INPEXは、関東天然瓦斯開発と共同で、JOGMECの委託事業「首都圏CCS事業」の事業化調査、設計を加速させるための合弁会社「首都圏CCS」を設立したと発表した。合弁会社の出資比率は、INPEX 85%、関東天然瓦斯開発15%で、首都圏CCS事業でのCO2分離回収・輸送・貯留バリューチェーンのうち、輸送・貯留を担当する。CO2分離回収については、日本製鉄、INPEX、関東天然瓦斯開発、および合弁会社の4社が連携してFS・設計を行う。

INPEX 東京大学と「先進的貯留層工学」社会講座を共同開設  2025/4/1

 INPEXは、東京大学大学院工学系研究科と共同で、2025年4月1日、社会連携講座「持続可能なエネルギー資源開発のための先進的貯留層工学」を開設したと発表した。石油・天然ガス開発とCCSに関する技術開発と研究を目的として、油ガス田の生産挙動やCCSでの環境モニタリング向け新規トレーサー技術の開発、AIを活用した油ガス田開発計画やCCS操業計画の最適化技術の開発などの工学研究を行う。INPEXは、講座の活動を通じて、次世代の貯留層工学の拠点創成に取り組むとしている。

千代田化工 豪州西オーストラリア州でのCO2サプライチェーン構築FSを受注  2025/4/4

 千代田化工建設は、オーストラリアのPilot Energy(パイロット)社から、パイロット社が西オーストラリア州で計画するCO2サプライチェーン構築FS業務を受注したと発表した。South 32 Worsely Alumina社が保有するアルミナ設備から排出される年間約70万トンのCO2を回収し、パイロット社がクリフヘッドでの炭素貯留事業で計画するCO2貯留での陸上設備に関してFSを行う。海上輸送に関しては、ノルウェーのKnutsen NYK Carbon Carrierが担当する。

体制

三菱ケミカル 福島県いわき市の2工場撤退へ  2025/3/31

 三菱ケミカルグループは、福島県いわき市にある小名浜工場および新菱いわき工場の生産を2027年3月末までに終了すると発表した。三菱ケミカル小名浜工場は、1937年日本水素工業(のちの日本化成)として操業を開始、アンモニアやメタノールなどの生産を行ってきた。近年の市場環境変化により、採算性の確保が困難となっていた。

コスモ 丸善石油のエチレン設備停止へ 2025/4/1

 コスモエネルギーHDはグループ会社である丸善石油が保有するエチレン製造装置について2026年度を目途に停止し、住友化学との合弁会社である京葉エチレンに生産を集約すると発表した。中国での大型エチレン装置の新増設による供給過剰および国内エチレン需要の減少から、千葉地区でのエチレン生産の最適化を図る。

プラスチック

三井物産 大阪・関西万博でプラスチックの資源循環を実施     2025/4/3

 三井物産は、4月13日から開催される大阪・関西万博に出展するセブンイレブン・ジャパンの店舗で使用・排出されるプラスチック容器などの試験循環の取り組みを三菱ケミカルと共同で実施すると発表した。大阪・関西万博会場内のセブンイレブン2店舗で使用・排出されるプラスチック製食品容器トレー等を、プラスチック回収ボックスで回収し、三菱ケミカルの茨木事業所に2024年11月に新設された床プラントでケミカルリサイクルを行う。三井物産は、回収されたプラスチックの買取、および回収スキームの構築などを行う。

ニュースウォッチ

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