クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/3/17
クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/3/17

クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/3/17

目次

水素、アンモニア、LOHC

産総研 プルシアンブルーでアンモニウムイオンを回収  2025/3/12

 産総研は、水インフラ企業フソウと共同で、青色顔料プルシアンブルーを使用して、産業廃液中のアンモニウムイオン(NH)を回収し、資源として利用できる濃度まで濃縮する技術を開発したと発表した。鉄のシアノ錯体であるプルシアンブルーの鉄元素の一部を亜鉛に置換することでNHを選択的に吸着し、その後NHを脱離、高濃度にする吸着材を開発した。
 亜鉛置換プルシアンブルー(ZnPB)の有効性を確認するため、メッキ工場にZnPBを充填したカラムを設置し、廃水を通して実証を行ったところ、NH濃度1,685mg/Lの原水が、ZnPBカラムを通すことで263mg/Lまで濃度を減少させる一方、濃縮水のNH濃度は14,9203mg/Lまで向上し、これにKClを通水させることで4.5%濃度のNHClを得ることができた。産総研は、今後メッキ廃水処理への活用を継続して検討するとともに、下水や畜産排水などそのほかのNH含有廃水の処理・資源化への展開を図るとしている。

JFEエンジ 出光向けクリーンアンモニアパイプラインFEED業務を受注 2025/3/14

 JFEエンジニアリングは、出光興産が主導する周南コンビナートでのクリーンアンモニア供給拠点整備事業でのアンモニアパイプライン敷設および付帯工事に関するFEED業務を受注し、2024年より実施をしていると発表した。出光興産の徳山事業所大浦地区から西地区を経由し、トクヤマの東工場に至る総延長約10kmのクリーンアンモニアパイプライン敷設及び付帯工事になる。JFEエンジニアリングは、2022年度に同事業のFS、2023年度にPre-FEEDを行っていた。

合成燃料

大和ハウス 高効率バイオメタノール合成法を開発      2025/3/11

 大和ハウスは、大阪大学先導的学際研究機構の大久保敬教授の研究グループと共同で、常温・常圧下でバイオガス中のメタンからバイオメタノールを高効率で合成する方法を開発したと発表した。従来、メタノールの工業合成は化石資源を原料に高温高圧条件下で行っていた。2017年に大久保教授の研究グループは、二酸化塩素とメタンガスをフラスコ内で光を当てることで、常温常圧でメタノールとギ酸に変換することを発見した。今回、反応溶媒としてパーフルオロアルケニルエーテルを使用し、メタンからメタノールへの変換率89%という高効率変換を達成した。今後は、更なる効率化を図り、燃料としての使用や製造しステムの開発などを目指し、共同研究を進めるとしている。

大阪ガス 大坂・関西万博でメタネーション実証設備を竣工      2025/3/13

 大阪ガスは、大坂・関西万博のカーボンリサイクルファクトリー内で建設を進めていたeメタン製造(メタネーション)実証設備「化けるLABO」を竣工したと発表した。会場内で発生する生ごみやCO2を含むバイオガス、またDAC、CO2回収、日本館のバイオガスプラントから回収されるCO2と再生可能エネルギー由来の水素から、メタネーション装置で一般家庭170世帯分に相当する7Nm3/hのeメタンを製造し、迎賓館厨房およびガスコージェネレーション設備で利用する実証実験を行う。設備に関してはクリーンガス証書制度での「クリーンガス製造設備」の認定を取得した。

日揮HD 吹田市とSAF原料で連携協定を締結 2025/3/13

 日揮HDは、コスモ石油、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYと共同で推進している国産SAF製造事業での原料として、大阪府吹田市と使用済み食用油の資源化促進を図るための連携協定を締結したと発表した。吹田市の家庭や店舗などで発生する廃食用油の提供は年間およそ27,000Lになると見込んでいる。

コスモ石油 会津若松地域の廃食用油回収を開始       2025/3/14

 コスモ石油マーケティングは、北日本石油、ハジャイ、レボインターナショナルと共同で、福島県会津地域の商店街や飲食店、キッチンカー事業者から使用済み食用油の回収を2月14日から開始したと発表した。回収した廃食用油はコスモ石油が出資するSAFFAIRE SKY ENERGYが設置した工場でSAF原料として活用する。

CO2回収、DAC、CCUS

川崎重工 DACによるCO2でコンクリートを製造      2025/3/12

 川崎重工は、保有するDAC技術により大気から回収したCO2を利用し、鹿島が開発したCO2吸収コンクリート「CO2-SUICOM」を製造することに成功したと発表した。川崎重工が開発している固体吸収体を活用したCO2分離回収装置を開発し、大気中から1日あたり5kg以上のCO2を純度99%以上で回収する。この装置をプレキャストコンクリート製造工場に設置し、CO2-SUICOMにCO2を吸収固定化させる炭酸化養生層と組み合わせて実証実験を行った。得られた結果を基に、両社は舗装ブロック「CUCO-SUICOM」を製造し、大坂・関西万博の「CUCO-SUICOMドーム」のエントランスの一部に敷設した。

日鉄エンジ 清掃工場排ガスCO2をコンクリートへ固定化実証  2025/3/12

 日鉄エンジニアリングは、東京二十三区清掃一部事業組合、安藤ハザマが主幹事を務めるCPコンクリートコンソーシアム(CPCC)が管理運営する板橋清掃工場で、日鉄エンジニアリングが開発した可搬式CO2回収装置「m-ESCAP」を用いて分離回収したCO2を、CPCCが製作したコンクリートブロックに固定化する実証試験を実施し、43kg/m3のCO2固定化を確認したと発表した。CO2固定化コンクリートブロックは、大坂・関西万博の「フューチャーライフ万博・未来の都市」パビリオン内のベンチとして設置される。

エア・ウォーター 大坂・関西万博でのカーボンリサイクルファクトリーの竣工式を開催    2025/3/14

  エア・ウォーターは、3月13日大坂・関西万博での「カーボンリサイクルファクトリー」の竣工式を開催したと発表した。次世代のCO2回収装置実証機「地球の恵みステーション」を設置、熱電供給装置の排ガスを回収し、ドライアイスを製造した上で会場内で利用するほか、回収したCO2は大阪ガスが会場内に設置したメタネーション施設にも供給を行う。

運搬・貯蔵、燃焼、その他

MHIET 500kW級水素エンジン発電セットで定格出力を達成 2025/3/12

 三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャー(MHIET)は、相模原工場内の500kW級水素専焼エンジン発電セットの実証設備において、水素100%燃料を用いた運転で定格出力(435kW/1,500回転)を達成したと発表した。単気筒エンジンではなく、実際の製品を想定した6気筒500kW級水素専焼エンジン発電を使用し、安全機能を追加した補機類を備えた発電セットで、システム全体での検証を実施し、安定運転や異常時の保護機能の有効性を確認した。MHIETは、今後製品化に向けたプロセスを加速させるとしている。

三菱重工 アンモニア燃料大型アンモニア輸送船のAiPを船級協会から取得     2025/3/14

 三菱重工は、グループ会社である三菱造船が、商船三井および名村造船所と共同で、アンモニア燃料で航行する大型アンモニア輸送船を共同開発し、日本海事協会から設計基本承認(AiP)を取得したと発表した。従来の大型LPG・アンモニア輸送船(VLGC・VLAC)よりも大型化し、海上輸送効率を高めた設計となっていて、日本国内の主要な発電所への入港制限を満足し、かつアンモニア荷役基地との荷役時接続部の接合性を確保したとしている。

プラスチック

JFEエンジ 国内最大級のプラスチックリサイクル施設が稼働   2025/3/13

 JFEエンジニアリングは、グループ会社であるJ&T環境、および東日本旅客鉄道、JR東日本環境アクセスが共同で設立したJサーキュラーシステムが、建設を進めていた国内最大級の使用済みプラスチックリサイクル施設(川崎市、JFEスチール東日本製鉄所京浜地区)の2025年4月の本格稼働開始に先駆け、3月13日に稼働式を行ったと発表した。施設は、2024年10月にケミカルリサイクル原料製造ラインが先に稼働をしていたが、今回高度選別ラインを含む全ラインが完成した。1日最大200トンの使用済みプラスチックを処理する能力を備え、選別から再商品化まで一貫した処理を行う。これまで選別が困難であった使用済みプラスチックの再資源化を推進する。

M&A、出資

JAPEX カーボンニュートラルベンチャーキャピタルファンドに出資     2025/3/12

 石油資源開発(JAPEX)は、ベンチャーキャピタルONE Innovationが設立・運用するカーボンニュートラル領域に特化したベンチャーキャピタルファンドONEカーボンニュートラル1号ファンドに出資したと発表した。ファンドの投資領域は、①電⼒ネットワークの脱炭素化、②モビリティの脱炭素化、③熱利⽤の脱炭素化、 ④ネガティブエミッション、⑤地域主導による脱炭素化、⑥DXを活⽤した脱炭素化、 ⑦業界固有の脱炭素化となっている。出資額は非公表。

ニュースウォッチ

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  • 日揮、プラント工事会社と資本業務提携 施工能力を強化 2025/3/10
  • ENEOS、製油所のCO2利活用 30年にもタイヤ原料量産へ 2025/3/10
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  • 野村不、グリーン水素で発電 2025/3/12
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  • 東洋エンジ、中部圏水素利用協議会に加入 2025/3/11
  • 三菱重工、ニューカッスル港の水素計画支援 2025/3/13
  • 積水化成品、生分解発泡体の循環システム構築へ 2025/3/13
  • アルガルバイオなど、藻類利用CCUSで実証 2025/3/14
  • 岩谷産業、大阪万博パビリオンに実質CO2ゼロのガス 2025/3/14
  • 日本特殊陶業、革新的なグリーン水素製造技術開発スタートアップへ出資 2025/3/14

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