水素、アンモニア、LOHC
東京科学大学 アンモニア合成新触媒を開発 2025/1/24
東京科学大学フロンティア材料研究所 原亨和教授らの研究グループは、低温・低圧でアンモニアを合成する新触媒「ヒドリド鉄触媒」を開発したと発表した。従来、触媒はゼオライトなど高比表面積を持つ担体に遷移金属などを固定化させる担持触媒が主流であるが、新触媒は構造を逆転させたもので金属鉄粒子にアルミニウムヒドリドを載せた構造となっている。赤錆(αFe2O3)に硝酸アルミニウムを付着させたものを反応器に入れ、400℃のアンモニア合成条件にするだけで自動的に触媒が生成されるとしている。開発した触媒は50℃の低温からアンモニアを生成することを確認した。また、製造したアンモニアの総エネルギーを消費したエネルギーで除した値で示されるエネルギーリターンは、従来触媒に比べ2.8倍以上になるとしている。
UBE アンモニア生産停止を2028年に前倒し 2025/1/28
UBEは、ベーシック事業の構造改革スケジュールについて、アンモニアの生産停止を2年前倒しして2027年度末(2028年3月)とすると発表した。2022年に公表した中期経営計画では、アンモニアの生産停止は2030年を目途とし、それに先立つカプロラクタムの生産縮小を掲げていた。中国企業の過剰供給等によりアジア市場での事業環境が想定以上に悪化し、回復する見込みが難しいことから前倒し生産停止の決定となった。
UBEのアンモニア事業は1933年宇部窒素工業がファウザ―法によりアンモニア製造を開始したのが始まりだ。2000年代には日本のアンモニア製造工場は相次いで閉鎖が行われ、UBEも2014年に堺工場のアンモニア製造装置の停止を行っている。現在、日本でのアンモニア製造はUBEを含め4社(レゾナック、日産化学、三井化学)のみであるが、UBEのアンモニア製造能力は38万トンで4社のうち最大だ。UBEのアンモニアは、カプロラクタムや炭酸ジメチルの原料として使用されてきたが、UBEは2024年にカプロラクタムの生産縮小を実施している。
東洋エンジ、三井海洋開発 洋上でアンモニア製造へ 2025/1/31
東洋エンジニアリングは、三井海洋開発と共同で、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)で生産されるガスからアンモニアを製造するブルーアンモニアFPSOの基本設計認証(AiP)を米国船級協会(ABS)より取得したと発表した。これまで活用されず貯留層に圧入されていた随伴ガスを使用してブルーアンモニアを製造し、貯蔵・積出を行うもので、随伴ガスからアンモニアに変換する過程でのCO2およびガスタービン自家発電機からのCO2を回収することでブルーアンモニアとなる。
東洋エンジニアリングが培ってきたKBRのアンモニアプロセス設計技術やFPSO向け装置設計知見と、三井海上開発のFPSOに関する設計技術などの知見を融合させる。
合成燃料
伊藤忠エネクス 大阪南港にRD給油拠点を開設 2025/1/23
伊藤忠エネクスは、連結子会社であるエネクスフリートが運営する大阪南港店で、関西地区で初となるリニューアブルディーゼル(RD)給油拠点の運用を1月20日より開始したと発表した。伊藤忠エネクスは、2021年11月に日本初の常設RD給油拠点を神奈川県海老名市に開設、その後東京都や愛知県に常設RD給油拠点を設置してきた。大阪南港店でのRD給油拠点設置により東名阪でRDが給油でき、陸上輸送企業のGHG排出削減に貢献するとしている。
コスモ JAL、ANAに国産SAFを供給へ 2025/1/27
コスモエネルギーHDのグループ会社であるコスモ石油マーケティングは、SAFFAIRE SKY ENERGYが国内で製造するSAFを、2025年度から日本航空(JAL)および全日本空輸(ANA)に供給を開始すると発表した。日本国内で初となる国産SAFのサプライチェーン構築の実現となる。
コスモエネルギーグループは、日揮HD、レボインターナショナルと共同でSAFFAIRE SKY ENERGYを設立し、国内で発生する廃食用油のみを原料としたHEFA SAFを年間約3万kL製造する能力を持つプラントを、2024年12月にコスモの堺製油所内に完工している。
コスモ石油 DHL ExpressにSAFを供給 2025/1/28
コスモエネルギーHDはグループ会社であるコスモ石油マーケティングが、DHL ExpressとSAFの売買契約を締結したと発表した。日揮HD、レボインターナショナルと共同で設立したSAFFAIRE SKY ENERGYが製造する廃食用油を原料とする国産SAFを、2025年度よりDHL Expressに供給する。
J-オイルミルズ 非可食植物からバイオマス由来SAFの生成に成功 2025/1/29
J-オイルミルズは、沖縄県などに自生し、非可食植物であるテリハボクとポンガミアの種子から搾油・精製した油脂を用いた100%バイオマス由来のニートSAFの生成に成功したと発表した。J-オイルミルズは2022年度よりNEDO事業「食料と競合しない植物油脂利用によるSAFサプライチェーンモデル構築および拡大に向けた実証研究」で、沖縄県に自生するテリハボクやポンガミアをSAF原料に活用する事業に取り組んできた。
精製した油脂は、広島県の環境エネルギーが水素化、異性化、蒸留を行うことでSAFを生成する。精製された燃料は、ASTM D7566 Annex A2 HEFA SPK 廃食用油等の油脂を原料とした水添化によるSAFに適合し、従来ジェット燃料と最大50%容量%まで混合が可能となる。
日揮HD 済生会と国産SAF向け廃食用油供給で基本合意 2025/1/31
日揮HDは、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYと共同で取り組んでいる国内SAF製造サプライチェーン構築で、社会福祉法人 済生会と、済生会が運営する病院や福祉施設での使用済み食用油を国内SAFの製造原料として供給することに関して基本合意書を締結したと発表した。済生会は、基本合意書に基づき全国83の病院や300以上の福祉施設から廃食用油を年間36,000L程度提供する見込みだ。日揮は、この量の廃食用油からはSAFを年間30,000L生産できるとしている。
その他
伊藤忠 CO2を使用した建設用資材製造事業を検討 2025/1/29
伊藤忠商事は、UBE三菱セメントおよび豪州MCi Carbon(MCi)と協業に関する覚書を締結したと発表した。MCi社は、廃コンクリートや鉄鋼スラグ、蛇紋岩などの鉱物にCO2を結合させ、セメント代替品やコンクリート原料に利用可能な炭酸塩を製造する技術を有していて、2025年中に豪州ニューカッスルに炭酸塩製造実証プラントを建設、稼働させる予定となっている。 伊藤忠は2017年にMCi社に出資し、支援を行ってきた。今回の覚書締結に合わせ。UBE三井セメントもMCi社に出資し、3社は日本国内での製造プラントの建設検討や、国内事業化に向けた原料調達、販売などのサプライチェーン構築を目指す。
プラスチック
レゾナック 混合プラを基礎化学品へ再生技術がNEDO GI基金に採択 2025/1/27
レゾナックは、開発を進める「混合プラスチックから基礎化学品を製造するケミカルリサイクル技術」が、NEDO GI基金事業に採択されたと発表した。容器包装など混合状態で排出される使用済みプラスチックを、選別せずに熱分解し、エチレンやプロピレンなど低級オレフィン、ベンゼンなどBTXへの基礎化学品を収率60%以上で変換・再生するケミカルリサイクル技術の確立を目指す。年産数千トン規模の実証を行い、現行ケミカルリサイクルプラスチックと比べて製造コスト2割低減を目標とする。事業期間は2024年度から2032年度までの最大9年間で、事業規模は約118億円となる。
ニュースウォッチ
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