クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/4/21
クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/4/21

クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/4/21

水素、アンモニア、LOHC

住友ゴム 白河工場に水素製造装置を導入      2025/4/15

 住友ゴム工業は、タイヤの主要製造拠点である白河工場(福島県白河市)に、水素製造「やまなしモデルP2G」システムを導入し、4月より稼働を開始したと発表した。やまなしモデルP2Gは、山梨県が中心となって開発を行ったエネルギーシステムで、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用し、水電解装置によってグリーン水素を製造する。住友ゴムは、2021年8月より白河工場での水素活用によるタイヤ製造の実証を行ってきた。導入したP2Gシステムは24時間稼働させることで、年間最大100トンの水素を製造させることができ、輸送を含むサプライチェーン全体で年間約1.000トンのCO2排出量が削減される見込みだ。住友ゴムは、白河工場を「脱炭素グランドマスター工場」と位置づけ、将来的には国内外の他工場への展開を視野に入れる。

日揮 大規模アンモニア分解水素製造技術の開発を加速 2025/4/17

 日揮HDは、大規模アンモニア分解による水素製造の技術開発に向け、米国スタートアップ企業アモジー社と、アモジー社が保有する触媒活用に関する基本同意書(MoU)を締結したと発表した。アモジー社は、貴金属ルテニウム(Ru)の使用量が少なく、比較的低温で反応を可能にさせるアンモニア分解触媒技術を保有している。日揮HDは、2023年より、クボタ、大陽日酸と共同でNEDO「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」として、年間10万トンの水素製造事業への参入を視野に、アンモニアの熱分解による水素製造技術開発を推進している。日揮HDは、事業での技術実証プラントFEEDで、アモジー社の低Ru含有触媒を適用する予定で、高効率でCAPEXを抑制した水素製造技術の実現を目指すとしている。

合成燃料

千代田化工 オーストリア新興とメタン発酵効率化技術協業で覚書を締結       2025/4/16

 千代田化工建設は、オーストリアのVertus Energy(ヴァータス)社と、ヴァータス社が保有するメタン発酵を効率化する技術の開発および商用化加速を目的とした覚書を締結したと発表した。ヴァータス社は、既設の発酵タンクでのバクテリア挙動を管理することで、従来の嫌気発酵技術と比較して、エネルギー量で単位原料あたり最大60%、生成速度で3倍の効率化発酵技術の開発を行っている。覚書を通じて、千代田化工はエンジニアリング力およびプロジェクト遂行力を、ヴァータス社のWast to X技術に組合せ早期の社会実装を目指すとしている。

コスモ 大阪府堺市でサービスステーションでのSAF原料廃食用油回収を開始  2025/4/17

 コスモエネルギーHDのグループ会社コスモ石油は、日揮HD、レボインターナショナルと、2024年11月に締結した協定に基づき、大阪府堺市のコスモネットワークのガソリンスタンドサービスステーション11拠点に、家庭からの廃食用油を回収する専門ボックスを設置し、4月18日よりSAF原料化を目的とした回収の運用を開始したと発表した。2024年6月に東京都内3か所のサービスステーションで実施した実証を基に実施する。回収した廃食用油はレボインターナショナルが収集し、コスモ石油堺製油所内にあるSAFFAIRE SKY ENERGYのプラントに供給して、国産SAF原料として使用される。

日揮 国産SAFを台湾スターラックス航空に供給へ     2025/4/18

 日揮HDは、日揮グループのSAFFAIRE SKY ENERGYが製造するSAFをコスモ石油を通じて、2025年度より神戸空港で台湾のスターラックス航空に供給することになったと発表した。日揮は、これまでに日本航空、全日空、DHL Express、デルタ航空、フィンエアーへのSAF供給を発表している。

CO2回収、DAC、CCUS

三菱重工 FPSO特化CO2回収モジュールを初期FS   2025/4/15

 三菱重工業は、オランダのSBMオフショアが、ブラジルのペトロブラスと推進している浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)に特化したCO2回収モジュールの適用に関して、初期検討に取り組むと発表した。三菱重工が関西電力と開発したAdvanced KM CDR Processを、SBMオフショア社が推進するFPSOプログラム「Fast4Ward」に組み合わせて開発を検討する。ペトロブラス社が計画するFPSO上に設置したガスタービンからのCO2回収を想定し初期検討を行う。三菱重工は、2023年9月にSBMオフショア社とFPSO向けCO2回収モジュールの商用化に関する協業契約を締結していて、協業を通じて海洋CCS事業開発を加速させるとしている。

INPEX ボナパルトCCS共同事業開発でPre FEEDを開始   2025/4/17

 INPEXは子会社であるINPEX Browse E&P(IBEP)を通じて、オーストラリア北部準州ダーウィンの沖合で推進しているボナパルトCCSプロジェクトで、概念設計(Pre FEED)を開始すると発表した。IBEPは、2022年より事業をトタルエナジーCCS豪州及びウッドサイト・エナジーと共同で行っていて、これまでエンジニアリング概念選択や評価作業を実施してきた。事業は、将来的に年間1,000トン以上の炭素貯留能力を有するボナパルト堆積盆地にCO2を輸送、貯留することを計画していて、2030年頃のCO2圧入を開始する予定としている。IBEPが権益参加率53%を保有し、共同事業体のオペレーターとなっている。

運搬・貯蔵、燃焼、その他

IHI 大阪・関西万博へCO2フリーアンモニア発電を開始       2025/4/11

 IHIは、相生事業所内で実施中の液体アンモニア燃料100%によるガスタービン耐久試験で発電したCO2フリー電気を大阪・関西万博に提供を開始したと発表した。IHIは、2024年7月より耐久試験を実施していて、計画通りの発電出力およびN2O、NOxの排出抑制を確認している。

IHI インドネシア石炭火力発電所でクリーンアンモニア燃焼実証に成功 2025/4/16

 IHIは、インドネシア国営電力会社PLNおよびインドネシア国営肥料会社ププッククジャン(ププック)社と協働で、PLN社が保有するラブアン火力発電所での、グリーンアンモニアによる小規模燃焼実証を行ったと発表した。グリーンアンモニアによる燃焼実証はASEAN諸国では初めての試みとなった。ラブアン火力発電所に既設の他社製ボイラを、IHI製のアンモニア燃焼用バーナに改造し、ププック社が製造したグリーンアンモニアを用いて、少量のアンモニア比率で燃焼実証を実施した。IHIは、今後も燃料アンモニアの利活用モデルの普及に貢献していくとしている。

プラスチック

日揮 CO2循環PP製造に向け日本ポリプロと共同検討を開始 2025/4/14

 日揮HDは海外EPC事業会社日揮グローバルが、日本ポリプロと共同で、CO2循環によるポリプロピレン(PP)製造に関する共同検討を開始したと発表した。日揮グローバルと三菱ケミカルが共同で保有するメタノールからプロピレンを製造する「DTPプロセス」と、日本ポリプロが保有するプロピレンからポリプロピレンを製造する「JPP Horizoneプロセス」の融合に必要な検討を行い、水素とCO2から製造されるメタノールを原料にPPを製造するプロセス全体の効率化を図る。両社は2025年中を目途に検討を進め、技術面および経済面のシナジーの優位性を確認した上で、次フェーズに向けた準備を進める計画だ。

M&A、出資

出光 水素エンジン開発スタートアップi Laboに出資  2025/4/15

 出光興産は、水素エンジンの開発・販売を値がけるスタートアップi Labo社に出資し、協業を開始したと発表した。i Labo社は、水素化コンバージョン技術により、既存のディーゼルエンジンを改造し、鉄道・商用車・発電機向けの水素エンジン開発を行っている。i Laboは、2025年秋に開所予定の研究施設「愛知碧南R&Dセンター」の建設を目的として、増資を行っていて、出光は増資に応じて出資を行った。出光は、i Laboが開発中のベンチ試験機および実機に出光製のエンジンオイルを提供し、水素エンジンへの適合性を検証する。

三井物産 米国合成燃料事業会社インフィニウムに出資参画     2025/4/16

 三井物産は、合成燃料e-Fuelの製造技術・事業開発を行う米国Infinium(インフィニウム)社に出資したと発表した。インフィニウム社は、逆シフト反応による合成燃料製造プラントを世界で初めて米国テキサス州に設置し稼働させ、e-ディーゼルやe-ナフサを商用供給している。現在、e-SAFに特化した2号プラントを計画している。三井物産は、2025年2月13日に合成燃料製造事業に取り組むTwelve(トゥエルブ)社に出資していて、合成燃料分野での投資ポートフォリオ企業との協業を深化させることで、カーボンニュートラル燃料の製造・販売事業の拡大、および他のクリーンエネルギー関連事業との結びつきでバリューチェーンの価値最大化を図るとしている。

三菱化工機 水素ファンドに出資       2025/4/16

 三菱化工機は、水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)およびアドバンテッジパートナーズ(APグループ)が協働で設立した、水素関連分野に特化したファンド「Japan Hydrogen Fund」に出資したと発表した。三菱化工機はJH2Aに理事会社として参画している。ファンドへの出資により、JH2A会員企業との連携機会や水素関連情報の取得などで、水素関連事業拡大へ寄与を期待するとしている。

統計

ニュースウォッチ

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  • 日韓水素アンモニア対話、企業間協力を促進 2025/4/16
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